最近は学力格差の話題がマスコミやネットで取り上げられることが少なくありません。筆者も、自分が塾講師として働いていた約10年前と現在ではどのくらい格差が広がっているのか、自分の子供を通してずっと考えています。
しかし、世間一般で言われている経済力と学力の関係性は本当にあるのでしょうか。全てがお金で解決してしまうのか大きな疑問を抱いています。なぜなら、経済力以上に大切なことを塾講師をしていた時の出来事で実感したからです。
■経済力が全てとは言い切れない学力の差
経済力が全てとは言い切れない現実を、筆者の経験から紐解いていきます。
富裕層でもやる気のない子供たちとの出会い
塾で仕事をしている時、一定数の富裕層の子息が通っていました。
もちろん、習い事も複数しているなど一般家庭の子に比べて羨ましい環境です。それなのに、勉強へのやる気がない子や、中学生なのに小学校3,4年の漢字の読み書きもままならない生徒もいました。
恵まれているのに意欲が湧かない原因
「これだけ恵まれた家庭環境なのに、なぜこうなったのだろうか」と悩んでいるうち、富裕層であるのに勉強への意欲が湧いてこない子供にはある共通点があることに気がつきました。それは、母親が子供嫌いだったり子供と距離を置きたがる傾向が強いことです。
母親からの愛情が不足していることで、本人もそれを自覚しないまま成長し情緒が不安定になったり印象を受けました。特に勉強へのやる気がない生徒の母親は、子供たちの前で「あなたたちがいなければ良かった」と日頃口にしていたそうです。生徒は「勉強だけしろという母が嫌い」と私に嘆いていました。
親の愛情がどうして影響するのか?
母親の愛情ばかりに目が行きがちですが、家庭内で子供が落ち着いて過ごせられるかどうかがカギとなっていると感じました。ちなみに、前述した生徒は父親を尊敬し愛情を注がれている様子でしたが、多忙なため子供たちと過ごす時間は少ないようでした。
勉強の意欲は、自分の適性を活かしていきたいと願う気持ちと直結します。
■親の励ましと文化的活動で子供の好奇心は育つ
次に、経済力がなくても子供の好奇心や意欲を伸ばすコツを紹介していきます。
子供の可能性を潰すのは親の否定的な言葉
筆者は、塾で仕事をしている時に経済力以上に親の接し方が大切なことを痛感しました。子供の意欲や学力を伸ばすには、親の励ましがとても重要です。
経済力がないと、どうしても「お金がないから諦めろ」という言葉を投げかけがちになります。
お金がないという現実でありながら否定的な言葉を言う前に、「お金がないけど何か方法はないか」と親子で考えるのがベストといえます。成績優秀者が学費免除になるシステムもありますし、今は動画サイトで無料もしくは塾に行くより遥かに安く優良な授業を見ることも可能です。否定的な言葉は子供のやる気を削ぎ落すので、親は気をつけたいものです。
経済力のハンデを跳ねのけるのは文化活動
親がスマートフォンでゲーム三昧だったりテレビをつけっぱなしでは、子供の学習環境が良いとは言えません。落ち着いた家庭環境と、休日に親子で図書館や科学館に行く方が、子供の学習意欲や好奇心を伸ばせるはずです。
図書館では読み聞かせなどのイベント、科学館では退職した教職員による実験教室などに無料もしくは安価で参加できます。子供は何をきっかけに自分の興味関心を見つけるか分かりません。子供の好奇心の芽を摘まないようにすることが、親の務めといえるでしょう。
■まとめ:お金のせいで諦めず子供の才能を伸ばそう
経済力のある家庭の方が、多くの面で有利なのは明らかです。しかし、親子関係が安定していないなど家庭に問題があれば、経済力だけで子供の向上心を伸ばすことは難しい面もあります。一方、「色々と習い事をさせるのは厳しい」と嘆く親も多いことでしょう。
市などで行うキャンプや登山、スキー教室などは比較的手ごろな費用で参加できますし、ボランティア団体やNPO法人が運営している学習塾に通わせてみる方法もあります。親はお金のせいで子供の夢を諦めさせず、情報収集をしてあらゆる手段を考えていくことが大切です。