「働かずに経済的自由を獲得し、アーリーリタイアすることはできるの?」



このような疑問を持たれたことがある方もいらっしゃることでしょう。



実は今、欧米のミレニアル世代(1981年~1996年生まれ)でアーリーリタイア(FIREムーブメント)が広まっているのです。



■「FIREムーブメント」とは?



FIREムーブメントとは、Financial Independence and Retire Earlyの略で、経済的自由と早期退職を実現することを指します。



朝から晩まで働き、ストレスにさらされながら生きるライフスタイルを捨て、倹約をしながら貯蓄率を高め、リタイア後は投資を活用し貯蓄からの収益での生活の実現を目指します。



実際に欧米のミレニアル世代では30代でアーリーリタイアをする人が増えているのです。



■FIREムーブメントが広がりを見せる背景



ミレニアル世代はデジタルネイティブ世代とも言われ、物心つくころにはインターネット環境があり、パソコンやスマートフォンが普及した環境に育った世代です。
彼らはモノを消費するよりも、ボランティアやイベントなどのコトに消費することに重きをおいています。
モノに依存をしないため、マイホームやマイカーに対し依存せず、シェアハウスやカーシェアなどシェアリングエコノミーに一定の理解があります。


このような特徴があり、彼らが社会人となり始めた昨今、ライフスタイルやキャリアに対する価値観も大きく変わってきました。



彼らは決して働きたくないと考えているわけではなく、ストレスで精神を消耗するお金の稼ぎ方に別れを告げ、人生をより豊かにするために時間を使うようになったと言えます。
そのため特定の組織に属さず、フリーランスとしてキャリアを形成したり、本業の他に副業を持つなど、これまでの働き方と異なる動きをすることも特徴のひとつです。



また彼らはお金を稼げること=幸福とは考えず、昇進、昇格するよりも早く退社し、しっかり休みを取れるワークライフバランスを重視します。
彼らが大切にする個性を生かした生き方を追求し、FIREムーブメントという考え方が広まっていったと言えます。



■FIREムーブメントのキーワード、「4%ルール」とは



FIREムーブメントの基本的な考え方として、働いている間は支出を極力抑え貯蓄に専念し、リタイア後に投資によって貯蓄からの収益で生活することを目指します。



そのためまず自分の生活費を把握し、年間いくらあれば生活することが可能かを考えます。
たとえば月20万円あれば生活可能と仮定すると、年間の生活費(12ヶ月)は240万円となります。



年間240万円の収益を得るためにいくらの資産を築くかを考える際に「4%ルール」というものがあります。



4%ルールとは、リタイア後の投資による運用利回り4%を目指すことです。



運用利回り4%は、株式、債券、不動産、金などの資産でポートフォリオを組めば決して実現不可能な数字ではありません。
年間240万円の収益を得ようと思うと、240万円÷0.04=6,000万円となり、働いている間に6,000万円の資産形成を目指すということになります。



■20代、30代が早期退職を目指すには



それでは具体的にどのような方法で早期退職を実現すればよいのでしょうか?



前述させて頂いた通り、4%ルールを適用し年間240万円で生活しようと思うと、6,000万円の資産が必要となります。
そもそもこれほど大きな金額を一般的な会社員が貯蓄することは可能なのでしょうか?



収入と貯蓄の関係を説明した「パーキンソン第二法則」というものがあります。これは収入が増えれば増えるほど、同じように支出も増えていくというものです。



このパターンに陥ってしまうと、貯蓄することが難しくなります。
ではこのようなパターンに陥らないためにはどうすべきなのか?



その答えは収入がいくらであっても貯蓄率を維持する、です。



貯蓄率を維持するポイントは以下の2つです。



①小さなぜいたく品の購入を控える

貯蓄率を維持するためには、日々の倹約が重要です。
最も簡単な倹約の方法として、ぜいたく品を購入しないことが挙げられます。
ぜいたく品は何も家賃の高い家や、高級車、ブランド物の財布などだけではなく、日々の小さなぜいたく品も含まれます。



たとえば平日の5日間毎日スターバックスのコーヒーを購入したとしましょう。
(ドリップコーヒー Tallサイズと仮定 1杯:330円)
1週間:330円×5日=1,650円
1ヶ月:1,650円×4週間=6,600円
1年間:6,600円×12ヶ月=7万9,200円
なんと平日の5日間毎日スタバのコーヒーを飲むだけで、1年間で7万9,200円もかかるのです。



このような日々の小さなぜいたくでも年間に換算してみると、とても大きな支出となります。



②強制貯蓄を実行する

支出を抑えることができれば、後は積極的な貯蓄をするのみです。


しかしいざ貯蓄をしようと思っても、思うように貯蓄することが出来ない可能性があります。



正しい貯蓄の方法として考えられるのは先取り貯蓄という方法です。
一般的な貯蓄の方法 → 収入-支出=貯蓄
積極的な貯蓄の方法 → 収入-貯蓄=支出



つまり、支出をする前に貯蓄を強制的に行うのです。
銀行の自動積立などを活用し、毎月強制的に貯蓄するようにしましょう。



■日本でもFIREムーブメントは普及する?



日本のミレニアル世代の多くはバブル崩壊後に生まれ、好景気を知りません。
昔は一生同じ会社に勤めていれば自然と給料は上がっていきましたが、近年企業の稼ぐ力も衰え始め、一生同じ会社にいることがかえってリスクとなりうることもあります。



転職も当たり前になり、どこの組織にも属さないフリーランスとして働く人も増えてきています。
毎日ストレスにさらされていても昇給が約束されているわけではないため、自分で資産形成し、その資産が収益を得ることを考え始めている方もいらっしゃるでしょう。



今後の日本経済とミレニアル世代の特徴を踏まえれば、日本にもFIREムーブメントが普及することは十分考えられるでしょう。