家族になにかあったときに備え、保険に加入している人も多いのではないでしょうか。加入していると、「いざというときも金銭面は大丈夫」と大きな安心感が得られるでしょう。



しかし、必要以上の保険に加入した結果、家計を圧迫しているケースも珍しくありません。そのような「保険貧乏」になっていては、家計のやりくりや将来への貯蓄にも影響を与えてしまいます。そんな事態を防ぐためにも、保険に関する知識をいま一度おさえておきましょう。



■死亡保険金額はいくらかけている?



周囲の人は死亡保険にいくらかけているのでしょうか。その金額は、世帯主の年代によって差があります。



それは、各年代によって必要とされている保障が異なるため。

そこで、生命保険文化センターが2018年9月に公表した「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>( https://www.jili.or.jp/research/report/zenkokujittai.html )」をもとに、年代ごとの保障内容の違いをみてみましょう。



【世帯主の年齢別でみた世帯普通死亡保険金額(全生保)】
29歳以下:2475万円
30-34歳:2883万円
35-39歳:2857万円
40-44歳:3032万円
45-49歳:3050万円
50-54歳:3183万円
55-59歳:2618万円
60-64歳:2493万円
65-69歳:1615万円
全体:2255万円



普通死亡保険金額が最も高いのは、世帯主が50-54歳の世帯という結果に。その後は、年代が上がるにつれて金額が減少しています。教育費や住宅ローンの返済といった出費がひと段落し、保険を減らす家庭が多いのかもしれませんね。



■「貯蓄性保険」という手もある



保険料が安い、高額な死亡保障をかけられるといったメリットのある「掛け捨て保険」。手軽な反面、「保障期間に注意が必要」「これまでに払ったお金は戻ってこない」といったデメリットも存在します。



そこで、貯蓄性の役割も果たす「貯蓄性保険」も視野に入れておきましょう。たとえば、「養老保険」なら



・保険期間内に死亡した場合、死亡保険金を受け取れる
・満期時に生存していた場合、満期保険金が戻ってくる
・満期保険金が支払った保険料の合計を上回る可能性がある



といった特徴があります。いざという時の備えをしながら、お金を蓄えておくことができます。そのほか、終身保険・学資保険・個人年金保険も貯蓄性保険に含まれます。



このように、保険の種類によってさまざまなメリット・デメリットが存在します。「保障だけではなく貯蓄の機能も兼ね備えた貯蓄性保険がいい」と考えている方は、それぞれの特徴を理解したうえで選びましょう。



■「保険貧乏」にならないために



あれもこれも…と保険に加入していると、保険料が支払いきれず保険貧乏になってしまう可能性が高まります。なかには、「貯蓄性保険を解約したら解約返戻金が手に入る」と安心している人もいるのでは。しかし、「保険料が払えず解約したら、解約返戻金が思っていたよりも少なくショックを受けた」というケースも少なくありません。



解約のタイミングによっては、今までの払った保険料の合計を下回る金額になることも。また、解約返戻金の返戻率によっては、「低解約返戻金型」「無解約返戻金型」に区分されているものがあります。



「いざとなったら解約すればいい」と考えるのではなく、自分にとって必要な保障を見極め、それに見合った内容かつ支払保険料が安いものを選ぶことが大切です。

加入前に、



・今後も払い続ける保険料かどうか
・解約返戻金がある場合、その保険がどの区分に該当するのか
・自分にとって必要以上の保障内容ではないか



といった点を十分確かめておきましょう。



■まとめ



保険は種類によって特徴が大きく異なるため、それぞれの違いを理解したうえで選ぶ必要があります。また、「貯蓄性保険なら支払った保険料が必ず返ってくる」とも断定できません。「安心のために保険に入ったのに、保険貧乏になってしまった…」と後悔しないためにも、今の家計状況や今後の見通しを踏まえて判断しておきましょう。



【参考】
「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>」生命保険文化センター



【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。