■【日経平均株価】テクニカル分析 2019年12月1日



日経平均に寄引同事線出現。今後の見極めポイントは?の画像はこちら >>

■日経平均は一時、年初来高値を更新



2019年11月29日の日経平均株価の終値は、前日より115円23銭安の23,293円91銭となりました。続落です。

ただ、週ベースで見ると181円3銭高と堅調です。26日火曜日には一時、年初来高値を上回り23,608円まで上昇しました。



先週も、米中の通商交渉の進展を巡り相場が一喜一憂する展開となりました。26日には米中が課題解決に向けて対話を行う方針であることが伝わり、買いが広がりました。



しかし、トランプ米大統領が27日、香港での人権尊重や民主主義の確立を支援する「香港人権・民主主義法」に署名したことから、中国外務省が内政干渉だと反発、米中交渉の先行きへの警戒感から、上海や香港などの株式市場が軟調となり、東京株式市場も連れ安となりました。ただ、下げ幅は小さく、高値圏でもみ合いとなりました。



今週の展開はどうなるでしょうか。米国市場は28日、感謝祭の祝日で休場、29日も午後1時までの短縮取引でした。



香港人権法案の成立などを受けて、29日のダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、感謝祭前の27日と比べて112ドル59セント安の28,051ドル41セントで終えています。ただし、下げ幅は限定的で、高値圏での利益確定売りも見られます。



市場では、人権問題が通商交渉にさほど大きな影響を及ぼさないという見方が大勢のようです。ただし、足元では米政府が12月15日に予定する対中追加関税「第4弾」の発動の有無を見極めたいという静かな動きになるかもしれません。



今週からいよいよ12月です。11月29日の「ブラックフライデー」を受けて12月2日には「サイバーマンデー」となり、米国の年末商戦がスタートします。



今週は重要な経済指標もいくつか発表されます。2日には米11月ISM製造業景気指数、6日には11月雇用統計が発表されます。米経済の勢いが強いことが示されれば、ドル高・円安となり日本株にも追い風になるでしょう。



■売り手と買い手の力が拮抗している状況



先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。

足元では5日移動平均線に上値を押さえられるような動きが続いていました。まずはこのラインを回復できるかどうかがポイントでした。



実際には、週初25日に窓をあけて5日線を回復すると、28日までは5日線に下値をサポートされるような動きになりました。このまま反発することが期待されましたが、29日には再び5日線を割り込んでしまいました。



今後の展開はどうなるでしょうか。ローソク足の実体は短く、なかなか方向感を出しづらい状況です。

25日には窓をあけて上昇しましたが、始値(23,292円85銭)と終値(23,292円81銭)の差はわずか4銭でした。



始値と終値が同じ場合にはローソク足が1本の線で示される同事線(寄引同事線、同時線などと言うこともあります)となりますが、25日はまさにほぼ同事線(十字線)になりました。



チャートの形からは売りたい投資家と買いたい投資家の力が拮抗していることがわかります。株式投資は結局、この買い手側が勝つのか売り手側が勝つのかを予想することにほかなりません。



ただし、相場が動き出す前にどちらが勝つかを判断するのは難しいものです。むしろ、どちらの勢いが強いかを見極めてから出動するほうが確実です。



直近では、上値のレジスタンスとなっている11月8日の高値(23,591円)や11月26日の高値(23,608円)を上抜けてくるようであれば買い手優位、下値サポートラインである23,000円~23,100円を割り込むようであれば、売り手優位と判断します。