「お前って本当に料理不味いよな」「いい歳して何も知らないのね…。」そんな心無い言葉を家族からかけられてしまったら、あなたはどう感じますか?最初は少なからず反論していても、直接罵倒する言葉では無く、柔らかい物腰と口調で厳しい言葉を投げかけられると、だんだんと感覚がマヒしていってしまうもの。そのような状況が続くと、気付かないうちに、家族間で上下関係ができてしまっていたりします。



このような家族間マウンティング、あなたにも身に覚えがありませんか?ここでは家族間で起こったエピソードをご紹介するとともに、家族の在り方について考えていきたいと思います。



■温厚な夫だと思っていたのに…



「とても穏やかで、自分の意見を主張するよりは周りを立たせることに長けている夫を私は心のそこから尊敬していました。そんな穏やかな人となら…と、結婚を決意したハズだったのですが…それが、結婚してからは主人の態度が一変しました。いえ、変わってしまったのは他人が居る場でだけ…なのです。



私を交えて主人の友人や同僚、もしくは両方の実家に行った時など、なぜか私が至らないというエピソードを度々口にするのです。『こいつは本当に気が利かなくて~』『料理1つ作るにも、要領が悪くって困る』。

そして、最後に言うのです。『俺が結婚してくれて、良かったね』って。



実は私は主人よりも8つ年上で、同じ職場でした。結婚を期に私は転職しましたが、以前は私が先輩の立場でした。その関係性を払拭したい、彼なりのプライドの保つための言動かもしれませんが…。



『そんな事を言うのは止めてほしい』と訴えてみましたが、その話になるとのらりくらりとかわしたり、
ため息をつきながら黙って部屋を出ていったりと、話し合いになりません。

だんだんと私も『私が至らないから…』という思考になることがあり、そんな自分にハッとしてしまいます。」



■義母からのプレッシャーにモヤモヤ…



「要領が良い義母は、仕事をしながらも家事もそつなくこなす人だったそうです。そんな義母ですが、今は仕事を退職しています。



義実家と私達の自宅は、同じ町内。義実家からの希望で、義実家の近くに住むことにしたのですが、義母が度々訪ねてくるので、ちょっと困っています。仕事を辞めて自宅にいることが増えたからでしょうが、私達の家に来ては『ここの掃除は、こうやったら楽なのよ』『〇〇(夫)は濃い味が好きだけど、なるべく出汁を利かせて塩分を控えて…』なんて、アドバイスしていきます。



最初は、家事に不慣れな自分を助けてくれているから…、子どもが産まれて大変な私をサポートしてくれてるんだ…、と思っていましたが、子どもが幼稚園児になって落ち着いてきた今でも続いています。



夫に『母さん、いつも悪いね』なんて、お礼を言われた時の義母の顔は『あなた達が喜んでくれるならいいのよ』なんて謙遜する言葉を言いながら、私の方をチラッと見てほくそ笑むんです…これは私の被害妄想なのでしょうか?私も義母が善意でやってくれていると思えば『もう来ないでください!』なんて、強く言うこともできません。ですが、いつまでこんな状況が続くのだろう…とモヤモヤしてしまいます。」



■静かなマウンティングで、家族内順位が決められていく



以上でご紹介したエピソードのように、直接的な攻撃ではないにしても、周りの人達を巻き込んで徐々に自分の優位性を保持していこうとするやり方が見られます。妻もしくは嫁よりも、自分が上であることを周知の事実とし、さらには本人にも気付かれないうちにプレッシャーを掛けていくやり方。そもそも夫婦や家族間で順位があるのはおかしいのではないでしょうか?



夫婦は対等な立場でのパートナーであり、家族はお互いを支え認めあう存在のはずです。



■お互いが同じ立場でいられるように…



夫婦や家族間で順位は存在しないものですが、「やられたからやり返せ!」の精神で、相手からマウンティングされたからといって、マウンティング仕返していては、ただ問題が堂々巡りしてしまうだけです。



お互いの気持ちを考えつつ、話し合いの場を設けることがベストと言えますが、もしその様な状況を作り出すことが難しいのであれば、少しずつでもお互いがリラックスして本当の気持ちを伝えるように努めたいものです。



また、相手が言ったこと全てを真剣に受け止め過ぎない…ということも大切です。相手の言っていることが理不尽だと思うのであれば、受け流すくらいの気持ちの持ち方も大事と言えます。



縁があって夫婦となり、家族といった関係になったのです。家族間である程度の距離感を大切にしつつ、お互いがストレスを貯めない関係性を築き上げていきたいものですね。