家計簿は昔からある、家計のための”手書き財務管理ソフト”です。いまも毎年書店で売り出されてそれなりの人気商品となっています。



この家計簿、令和の今ではオンラインアプリが主流になりつつあります。新興フィンテック各社からいろいろなアプリが出ているようですが、中身は似たりよったり。



取引している金融機関とリンクさせてオンラインで入出金情報をアップデートし、家計の支出入を管理するソフトですね。筆者も金融機関の残高管理のために使っていました。



■手書き家計簿は苦手…



家計簿をつけることは悪いことではありません。収支を見える化することでムダな支出を抑えられます。

大賛成です。しかし、筆者は家計簿、特に手書きの家計簿が苦手です(手帳もつけられません)。



その理由は、



  • 細かい収支やレシートを細かに記入して、計算するのが面倒
  • 記入漏れや誤記など、内容の正確性に疑問
  • 家人も苦手
  • 紙の家計簿は場所を取る
  • 家計簿は後で見ない(確定申告書でさえ提出後は見ない)
  • 家計簿をつけても収入は増えない
  • 等の理由です。



    そもそも収入に多少変動があったとしても、支出にそれほど大きな変動はありませんから、毎月の家計の中で大口支払いとなるものさえわかっていれば、大まかな管理には十分です。



    月々の大きな支出は住宅ローン返済/家賃、教育費、食費、光熱費くらいで、それほど変動はしないものです。となれば、大口の買い物や無駄遣いをしなければ収支尻に大差はありません。



    ■オンライン家計簿アプリで便利になる点



    そこで、オンライン家計簿ですが、上記1. から4. はかなり省力化と正確性の向上が期されますので、入力ミスさえなければ1円単位で正確に記帳されるでしょう。最近ではレシートもスキャンして読み込めるはずですから、かなり楽にはなりました。



    似たようなパターンでは法人の会計フリーソフトがあります。こちらの方が先行して存在していたイメージがありますが、記帳事務をクラウド化して自動入力・マニュアル入力をさせ、決算書も自動作成してくれる優れものです。



    私も使っていますが、このフリー会計ソフトには感謝しかありません。実際、法人の確定申告もこれでできましたので、当面個人も法人も確定申告事務を税理士さんにお願いすることはないでしょう(笑)。



    参考:フィンテック利用に関する3カ国比較 ~日本の利用率は概して低い~

    オンライン家計簿をつけるのはやめたほうがいい理由



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    出典:総務省「スマートフォン経済の現在と将来に関する調査研究」(平成29年)



    ■オンライン家計簿アプリの問題点



    ただし、オンライン家計簿には問題があります。それは、フィンテックのおかげで利用している金融機関やクレジットカード会社の取引データを取り込めるのはいいのですが、それらのデータが家計簿アプリ業者に丸見えになるということです。



    収入内容は入金データの項目名で分かりますし、支出データも同じです。読者の各種控除後の給料がいくらで、毎月のローン返済はいくら、光熱費や教育費はいくらと、全てガラス張りになるということです。



    もちろん個人情報が流出しないように厳重に管理されているとはいえ、データはシステム関係者であればいつでも閲覧可能です。



    大概のアプリ提供業者は金融機関の広告収入が収入源ともなりますので、結局こういったデータから属性情報を分析してタイムリーな金融商品の宣伝や勧誘を直接間接に行うわけです。

    筆者にもそういった類のメールが毎日送られてきます。



    こうした情報は、決して親切心から送られてくるわけではありません、あくまでビジネスなのです。高額商品であれ廉価商品であれ、メール広告を打つ手間は同じですから、そこで宣伝される商品は大概利幅が大きな商品であることは、容易に想像ができます。



    ■おわりに



    まとめると、私がオンライン家計簿を使わない理由は、以下の4つです。



  • 個人の財務・金融情報が第三者に丸見えになる
  • 商品の宣伝に使われる
  • そもそも入力が面倒
  • 家計簿をつけても収入は増えない
  • 何事もそうですが、利便性を求める際はその対価を考えたいものです。



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