国土交通省が公表した「平成29年度 テレワーク人口実態調査」(2018年3月)によると、雇用型就業者(n=36,450)のうちテレワーク制度等のある雇用型テレワーカーが9%、制度等のない雇用型テレワーカーが5.8%、合計14.8%という結果でした。



一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、今年に入ってからテレワークを急遽導入する企業が増えています。

今後、テレワークに対する敷居が下がり、恒常的なテレワークがさらに増える可能性もあるでしょう。



■テレワークでの仕事も甘くない?



テレワークでは通勤時間が省け、自宅等で自分のペースで仕事ができるという利点がありますが、気をつけなければいけないポイントも多々あります。



まず、マイペースで仕事ができるとはいえ、納期に遅れたり、成果物の質が低ければ「ちゃんと仕事をしているのか?」と疑念を抱かれることもあるでしょう。



もちろん、出社して仕事をしたとしても同様のことがあれば評価は下がりますが、テレワークでは上司や同僚などの目がない分、自分をコントロールして時間配分をすることが求められます。



また、テレワークではグループウェアやチャットツールで情報共有をしたり連絡を取り合う企業が多いようです。これらは便利な反面、細かいニュアンスが伝わりにくい場合もあります。



そのため、伝えたい情報を整理して、誤解を招かないような文章を心がける必要があります。場合によっては、電話・テレビ会議などを利用して直接話し、認識がすれ違っていないか調整することも大切でしょう。



さらに、テレワークでは子供の世話や急な用事に対応できる一方、仕事の時間がかえって長くなってしまうこともありえます。特に今回の新型コロナ対策におけるテレワークでは、一斉休校に伴い、自宅で子供を見ながら仕事をしている方も多いでしょう。



こうした中、オン・オフの切り替えが曖昧になり、中途半端な稼働状態が続くと心身ともに疲れが溜まる一方になってしまいます。そのため、仕事と家事育児などの時間は意識的に切り分けることが大事です。



たとえば、資料作成など集中して作り込みたいものは子供の寝ている早朝や夜間に作業し、日中は連絡や調整などのコミュニケーションに時間を使うというのも一つの手です。



■テレワークのメリットとデメリットは?



テレワークを実際に経験してみると、「このままテレワークを続けたい」と感じるケースも少なくないようです。以下は、テレワークに感じるメリットの代表的なものです。



【テレワークのメリット】



  • 満員電車に乗るストレスがない
  • 自分のペースで仕事ができる
  • 自由な時間が増える
  • ランチ代や飲み会代が減る

テレワークの場合、何といっても通勤の時間やストレスがなくなることが大きいのではないでしょうか。また、周囲からさえぎられることなく仕事に集中することができたり、ランチや飲み会などの人付き合いにかかるお金が節約できるということにメリットを感じる人もいるようです。



逆にテレワークでのデメリットはどんなところにあるのでしょうか?



【デメリット】



  • 紙ベースでの仕事ができない
  • セキュリティ管理が必要なものは持ち帰ることができない
  • 家では集中できず、カフェやコワーキングスペース代がかかる

日本では紙の契約書や直筆サイン・印鑑文化が根強く残っているので、オンラインが中心となるテレワークだけでは対応できない場合があります。

社内が電子化していても、他社や行政との兼ね合いで紙ベースでの仕事が必要になるかもしれません。この点が日本社会がテレワークを進めていく上での課題となるでしょう。



また、セキュリティ管理の観点から情報の持ち出しに対するルールが厳しく、テレワークで対応できる仕事の幅が極端に少ないという業種もあるようです。そうなると、結局は出勤しないと仕事ができないということになるかもしれません。



さらに、自宅には仕事に集中できるスペースがなく、”テレワーク難民”のように、カフェやコワーキングスペースの空席を探さなくてはいけないという声もあります。



■おわりに



テレワークでは時間の使い方の自由度が増す一方、人の目がない環境なので、自分で自分をしっかりコントロールしなければいけません。

テレワークのメリットを活かしつつ、仕事の質が低下して評価を落とさないように気を引き締めて仕事をしたいものです。



【参考資料】
「平成29年度 テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-( http://www.mlit.go.jp/common/001227706.pdf )」(平成30年3月、国土交通省)