最近ではあまり珍しくない高齢出産ですが、経験したママたちに話を聞くと、産後の体の回復に時間がかかる、動き回る子供を追いかける体力がキツイ、周りに年の離れた若いママたちしかいない…など、やはり特有の苦労や悩みがあるようです。今回はその中でも、産後の義母の言動に傷つき、怒りを覚えたママたちのエピソードを3つご紹介します。



■「まだ産めるわよ」どうしても一人っ子を認めない義母からの二人目圧力



36歳で女の子を出産したAさんの義母は、複数人の子供を育てた自分の育児に対して絶対の自信を持っている人だったといいます。



「結婚当初から、『子供は産んだ方がいいに決まっているし、きょうだい同士で助け合って生きていくんだから、絶対に二人以上産んだほうが良い』と口癖のように言う人でした。それでも、夫とは自分たちのペースでやっていこうと話し合っていたので、第一子を妊娠したときには特に不安もなく、嬉しい気持ちでいっぱいだったんです。実際、夫は産後も育児にとても協力的で助かりましたし…。でも、高齢で産んだこともあって体力的に厳しかったり周囲のママ友たちとあまりそりが合わなかったりして、小さなストレスが少しずつ積み重なっていました」



そんなAさんも、娘さんが1歳を過ぎると育休を終えて職場復帰することに。正直、自分の力を発揮して活躍できる職場に戻れることを喜ぶ気持ちもあったそうです。

ところが…



「そのタイミングで義母から連絡があり、『復職するのは構わないけれど、二人目を産むことを考えたら、どうせすぐにまた産休に入ることになるんじゃない?』と言われました。義母は、私が上の子とそう間隔を空けずに二人目を産む前提で話をしているようで…。思い切って『私は娘がいるだけで十分幸せですし、夫婦で話し合って夫も納得しています』と伝えましたが、『自分が3人目を産んだのは38歳だった。年齢を理由に逃げていないで挑戦しなさい』と、なんとも的外れな激励を頂いて。田舎の方ですし、『兄弟神話』が根強く残っているんだなとある程度の理解はできますが、こちらの話なんて聞く耳を持たずに自分の価値観を押し付けてくるのは本当に苦痛でしたね」



■20代の義妹は産後も活動的でキラキラ…比較してくる義母にうんざり



「もともとあまり体力のあるほうではなく、妊娠中もお産もただただ辛かったという感じで、マタニティライフを楽しんだという記憶はほとんどありません」と語るのはBさん。35歳で第一子を妊娠しましたがつわりが重く、また出産も緊急帝王切開が行われるなど、大変な思いをして女の子を出産しました。



「痛む傷口をかばいながら赤ちゃんのお世話をするのは想像以上につらくて、心も体もボロボロ、毎晩泣いていたのを覚えています。ひと月経っても状況は変わらず、そんな時に義母から『お宮参りはどうするの』と連絡が入ったんです。曰く、『義妹が七五三のときに来た着物を送るから、赤ちゃんと一緒にBさんも一緒に着物を着るのよ』と…。傷口が痛むので無理だと思いますと伝えても『後に残るものなんだからきちんとした写真を撮ったほうがいい』と言って譲りませんでした。フォトジェニックなお宮参りをご希望だったんでしょうね。夫からも『自分たちだけで簡素にやるつもり』と伝えてもらったのにまったく意に介さない様子で、こちらの負担を一切考えてくれない義母に腹が立ちました」



ひたすら断り続けると「後悔しても知らないからね」と捨て台詞を残して電話を切った義母にBさんもイライラが収まらず、しばらく連絡を絶ったそうです。



「それだけでも十分に嫌な思い出なのに、この話には続きがあるんです。娘が生まれてから一年ほど経った頃、20代後半の義妹も赤ちゃんを産みました。彼女はとても活動的な人で、妊娠中も友達と遊びに行ったり頻繁に出かけたりと、『これぞハッピーマタニティライフ』というような生活を送っていて…。それは産後も変わらず、SNSに豪華な手料理やメイクした姿をアップしていて、初産とは思えないほど元気に活動している様子に『私とはずいぶん違うな』と落ち込んだりもしました。」



そんな折にBさんのもとへ義母から写真付きのメールが届きます。そこに写っていたのは、大勢の親族に囲まれて晴れやかな笑顔でお宮参りをする義妹一家の姿。



「文面には『理想的なお宮参りが叶いました。

やっぱりあの子はまだまだ若いから元気なのかしらね?』と。神経を逆撫でするような言葉に怒りと悲しみが溢れて、その後ますます義母とは疎遠になりました」



■「二人目は?」止まない催促に疲れ、夫に仲裁を頼むも…



30代後半で妊娠・出産したCさんは、ご主人の転勤先である地方都市で、頼れる友人や親族もいない、周りは年の離れたママ友ばかりというアウェイな環境での子育てに疲弊していったといいます。



「母乳育児を強く推進する産院で産んだのですが、私は思うように母乳が出ず、周囲からも追い立てられてどんどん気持ちが塞ぎ込んでいきました。退院後も慣れない土地での子育てに必死だったのですが、ある時から義母が頻繁に連絡してくるようになったんです。内容はいつも同じで、『2人目はまだなの?』という催促。義実家の法事や集まり、親戚のお祝い事など一応は用事があってかけてくるのですが、気づけば『子供にはきょうだいがいて当たり前。

上が男の子でやんちゃだからママも鍛えられているもの、次の子はどちらでも楽ね』なんて、2人目を産む前提の話が始まっているんです。無視するわけにもいかないので、悶々としながらも電話に出ていました」



その後ものらりくらりと2人目の話題をかわし続けるCさんにしびれを切らしたのか、電話口の義母の口調は次第に強いものになっていきました。



「『いい加減、本気で次の子のことを考えたら?きょうだいの年は離れすぎない方が絶対いいんだから』と。もちろん私も、自分の状況や年齢を踏まえて2人目は考えていないと何度も伝えていました。けれど義母は引き下がらず、『大丈夫、やってできないことはないわよ!』と…。ママ友も上手くつくれない、自分の実家の家族に手助けしてもらえるわけでもない、夫も忙しくて息子の世話で精一杯…こんな状況でどうして2人目を産めると思うのか、なぜここまで強要されなければならないのかと涙が出てきました。」



その日、Cさんは帰宅した夫へ初めて「お義母さんへ2人目を作る気はないとあなたの口から伝えてほしい」と訴えます。

ところが夫は困ったような顔をすると、「母さんにも悪気はないんだ。うまく聞き流して、仲良くやってくれよ」と義母をかばうような言葉をCさんへと告げました。



「それを聞いた瞬間、『ああ、この人は私の味方になってはくれないんだ』と諦めのような、呆れたような気持ちになりました。義母は今でこそ静かになりましたが当然確執は残りましたし、何よりあの出来事を機に夫への愛情が完全に冷めてしまって、離婚の二文字が頭を過ぎることも多々あります」



■おわりに



高齢で出産したからこそ、尚のこと簡単にはいかない「2人目」問題。「きょうだいは多ければ多いほうが良い」という考えが根強い義母からの圧力に辛い思いをしたり、ストレスを感じたりしているママたちは少なくありません。そんな時、義母との間に入って自分たち家族の方針についてきちんと伝えてくれるはずの夫が頼りにならないと、後々の夫婦関係にも大きな影響を与えることもあるようです。妻と実母の緩衝材のような役割を果たせるように、上手な立ち回りが求められているといえるでしょう。