■オンライン時代のコミュニケーション術



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 リモートでのオンライン会議(ウェブ会議)の機会が増えた方は多いでしょう。しかし、発言が重なったり、反対に沈黙が続いたり、発言者の偏りが目立ったりなど、画面越しでは「やりづらい」という声も。

こうした会議のやりづらさを軽減するには、どうしたらいいのでしょうか。



 この記事では書籍『オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方』(桑野麻衣 著)から、オンラインミーティングを円滑に進めるための3つのポイントをお伝えします。



■オンライン会議で「傍観者」を生まないために



 オンラインツールを使ってのコミュニケーションは、同じ空間ではなく画面越しでのやりとりとなるので、どうしても一体感が出にくくなります。「遠慮がちなメンバー」や「参加意欲が低そうなメンバー」に気を取られてしまった経験はないでしょうか?



 私は仕事柄、日頃からつい一人ひとりを観察してしまうタイプなので、こうしたメンバーがいると気になってしまうことが多くありました。



 同じ場所に集まっていれば、お互いがなんとなく同じ温度感で参加していることが伝わります。温度感にばらつきがあっても、リアルな場であれば、すぐに気がついて対処することができますよね。

でも、オンラインではその差を都度埋めていくのはなかなか困難です。



 そのため、オンラインでは「開始早々に一体感を作ること」がキーになってきます。「傍観者」になりがちなメンバーが「参加者」になってもらうように、巻き込む力が必要なのです。



■オンライン会議でも一体感を作る方法



 オンラインツールにもよりますが、一体感を作るには、さまざまなやり方があります。ここでは、効果が高い方法を4つほど紹介しましょう。



(1)冒頭で全員が同じことをする

 私がこれまで実際に試してきた方法で言えば、「バーチャル背景」の設定できるZoomやTeamsなどでは、共通の背景にするだけでも一体感が出ました。ほかにも、全員が紙やノート型ホワイトボードを用いて漢字一字で何かを表したり、イラストを描いたり、といったテレビ番組でよくみられる手法も、会議の冒頭から盛り上げることができます。

視覚的に参加者全員が一瞬で「一体感」を実感できるので効果的です。



(2)司会・タイムキーパー・書記など仕事を割り振る

 上記のようなものも、もちろん楽しくて効果的なのですが、私はもっと基本的なやり方でも良いと思っています。対面の時と同様にはなりますが、「あらかじめ役割分担を明確にしておくこと」も効果的です。私も何度も経験がありますが、オンライン上でファシリテーションをしていると、対面の時以上にさまざまなことに気を取られ、つい時間管理が疎かになってしまいがち。タイムキーパーや議事録係など、事前に数人にお願いしておくことで、物理的に「傍観者ではなく参加者にしてしまう」という手もあります。



(3)オンラインツールの機能を確認・共有する

 また、いくらオンラインコミュニケーションが増えたとはいえ、まだまだオンラインツールの理解度や経験値には個人差があります。参加者全員に対して、進行役が開始時に挙手やリアクション機能、チャットへの書き込み、画面や音声のオンオフなどの「操作確認」を一通り行うだけでも空気が変わります。



 これはただの確認作業ではなく、冒頭で同じ作業をすることで一体感を高め、「メンバー全員を傍観者から参加者になりやすくすること」が目的。

ポイントは「やらせる、反応させる」といった強要するイメージを参加者に持たせないことです。あくまで参加者に寄り添い、相手の目線に立ちながら、操作についてこられているか、PC環境が整っているか等を確認するスタンスで接することが重要です。



(4)リアクションのサインを決める

 手や体を使って表現する「OKサイン」「NGサイン」「拍手」「挙手」のような進行ルールを決めて、全員に共通認識を持ってもらうことも大切です。



 日本人の特徴でもありますが、「全員が同じことをやっているのだから、自分だけが悪目立ちすることはなさそう」というように、遠慮がちな人たちの「リアクションすることへの抵抗感」をなくすこともできます。



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■リアクションの強要はハラスメントにつながることも



 昨今、オンライン会議等が増えたことで、「オンラインハラスメント」というのも注目されています。たとえば「無理矢理リアクションを強要された」という声もよく聞きます。



 私自身、そもそも「コミュニケーションとは表現すること」と定義しているので、リアクションは必要不可欠だと思っています。それだけに、参加者が「強要された」と感じない形で活発なコミュニケーションを取れるように、配慮が必要になります。



 ハラスメントというのはオンラインに限らず、対面でも同じことが言えます。「オンラインだから」というのは本質的でないと考えています。私たちの発言や行為に対して、ハラスメントだと感じる人もいれば、感じない人もいます。大切なことはオンライン、オフラインに関わらず、「ハラスメントと感じさせないコミュニケーションや関係性」を相手と構築することではないでしょうか。



 今回ご紹介したポイントを実践する際も、やらせる、反応させるのではなく、「会議が長引いてしまわないように、タイムキーパーを決めておきましょう」「画面や音声に問題はないですか?」「気になることがあったら、話の途中でも気軽に挙手機能を使ってくださいね」といった呼びかけをするなど、「相手に寄り添う姿勢」をオンラインではより意識してみてください。



 ぜひ、一体感を会議の冒頭で作ることで、積極的な意見交換ができるよう心がけてみてくださいね。



■ 桑野 麻衣(くわの・まい)
 学習院大学卒業後、全日本空輸株式会社ANA)に入社。グランドスタッフとして、最重要顧客DIAMOND会員専用カウンターのサービス責任者、教育訓練インストラクターなどを務め、7年間で100万人以上を超えるお客様サービスに携わる。オリエンタルランドへの出向、ジャパネットたかた、再春館製薬所グループ企業を経て独立。コミュニケーション、リーダーシップ、接遇マナー等のテーマで企業研修や講演を行い、これまでの受講者は3万人を超える。

著書『好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい』『オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方』のほか、PRESIDENT、MORE、CLASSY、Oggi、美人百花などメディアへの寄稿・出演も多数。



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