■金本位制の議論進展を注視、日銀批判にも警戒が必要
金本位制の話になると、「経済規模に比べて金の絶対量が少ない」、「景気後退に機動的に対応できない」といった反論がよく聞かれます。しかし、こうした技術的な問題は制度設計である程度までは対応可能です。
たとえば、金準備率を引き下げる、経済成長に合わせて基準となる金価格を見直す、通貨供給量にある程度の変動幅を許容する、などが提案されています。
共和党はFRBの金融緩和を“放漫財政の隠れ蓑”として批判しています。また共和党内には金本位制やFRBの廃止を支持する声も少なからずあり、下院議長のポール・ライアン議員も金本位制を支持している模様です。
トランプ政権は、国内の雇用を守るため、すなわち失業の輸出を許さないためには自由裁量による金融政策を拘束する必要があると考えており、金本位制もしくは金本位制に類似した通貨制度を念頭に置いている模様です。
FRB人事も含めて、今後の議論の進展には注意が必要と言えるでしょう。
また、トランプ政権はFRBの量的緩和を為替操作として非難していますので、日銀の量的緩和を為替操作として非難しても“自分のことを棚に上げている”わけではありません。“FRBも同じことをやっていた”というのでは反論になっておらず、日銀には為替操作の“名人”の称号が授与されるかもしれません。