近年、各地で地震や台風、ゲリラ豪雨などによる自然災害が多発しており、災害対策への危機意識が高まっています。



本来キャンピングカーは、アウトドアレジャーを楽しむものですが、「災害対策としてキャンピングカーは役に立つ!」と、その注目度は上昇中です。



でも、災害時に役に立つといわれても、実際どのような装備が災害時に活用でき、役に立つのか知りたい方も多いはず。



万が一、災害が起きて避難生活を余儀なくされた場合でも、できるだけ不便なく過ごしたいはずです。



そこで今回は、災害時の車中泊に役立つキャンピングカー(※編集部注)の3つのポイントをご紹介します。



【※参考記事】【キャンピングカー3選】車中泊で日本全国を旅する夫婦が推す、バンコン・キャブコン・軽キャンピングカー( https://limo.media/articles/-/28248 )



■プライベート空間を確保でき、ストレスを軽減できる



自宅が被災して住めなくなった場合、どこかに避難しなければなりません。公的な避難所では、必ずしも快適な空間で安心できるとはいえないでしょう。



避難所では、プライベートな空間を持てないため、着替えや睡眠などがしづらいです。

そのため、ストレスが溜まりやすく体調が悪化しやすくなります。また、トイレは共用で多くの方が利用するので、衛生面は悪化しやすく、健康にも影響を及ぼします。



でも、キャンピングカーなら寝泊まりを目的として作られているため、プライバシーの確保が容易にできます。



そのうえ、断熱処理が施された車両やエアコン、FFヒーターなどが搭載された車両であれば、暑さ・寒さ対策も万全。



また、トイレが備え付けられているキャンピングカーでも、タンク処理ができないことを想定して水を使用しない「非常用簡易トイレ」を用意しておくと良いでしょう。



避難生活が長期に及ぶほどプライバシーの確保は重要になります。

プライバシーを確保でき、人目を気にする必要がなくなれば、ストレスを大きく軽減できるでしょう。



■キャンピングカーには電気やガス、水などのライフラインが揃っている



災害の規模にもよりますが、自然災害の影響で住宅が被災したり、危険な状態に陥ったりした場合、避難所に身を寄せることになります。



しかし、避難所に電気やガス、水など生活に必要なライフラインが揃っているとは限りません。



2011年の東日本大震災では、水道管の破損により約229万の住宅で水が使用できなくなりました。電気の復旧には、東日本大震災、阪神・淡路大震災(1995年)においても6日ほどかかっています。



東日本大震災、阪神・淡路大震災における



「ライフライン・インフラの復旧状況」



キャンピングカー「災害時の車中泊」に役立つ3つのポイント

画像出典:内閣府「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会 第1回会合[参考資料2]」被害に関するデータ等



また、内閣府の資料によると、災害時、救助活動の現場では、災害後3日(72時間)が勝負と言われています。

生死を分けるタイムリミットは災害発生から72時間、とされています。



また、救援物資は災害発生後すぐに手元に届くわけではありません。災害発生後3日間を自力で生き延びるために、日ごろから備えておくことが大切です。



そこで、車中泊を目的に制作されたキャンピングカーが、災害シェルターとして役に立ちます。



装備や車両サイズにもよりますが、キャンピングカーには、ソーラーパネルやサブバッテリーなどを使用した充電装置に加え、カセットコンロや貯水タンクなどが備え付けられているため、生活に必要なインフラが整っています。(※)



※全てのキャンピングカーに生活に必要なライフラインが揃っているわけではありません。

その点は、キャンピングカー選びの重要なポイントになります。



万が一、停電や断水などによってライフラインが使用できなくなっても、避難生活の負担を軽減でき、日常に近い生活を過ごすことが可能です。



■ペットと一緒に避難できる



ペット連れや持病を抱える方など、家族のさまざまな理由から、集団の避難所にとどまることが困難な場合もあるでしょう。



特にペットは、同行しての避難が難しく、離れ離れにならざるを得ないケースが多いです。仮に避難所に行かない選択をした場合、多くの方が自家用車での車中泊を余儀なくされます。



しかし、自家用車の多くは車中泊するようにはできていないため、限られた空間で長時間過ごさなくてはなりません。



窮屈な姿勢で長時間過ごすと、エコノミー症候群の発症にも繋がりかねません。内閣府の資料においても、エコノミー症候群は災害関連死の例として挙げられています。



日頃からキャンピングカーに慣れていれば、環境変化によるペットの負担も軽減できるでしょう。また、車内はプライベートな空間なため、他の方に迷惑をかける心配もありません。



とはいえ、人もペットも少なからずストレスは感じます。日頃からペットのストレス対策を考え、災害時のためにペットケア用品も用意しておきましょう。



■万が一の災害時も、キャンピングカーで「できるだけ快適」に過ごせるように



今回は、キャンピングカー「災害時の車中泊」に役立つ3つのポイントをご紹介しました。



キャンピングカーをシェルターとして活用するために、以下の項目を事前にチェックしておきましょう。



  • 燃料を満タンにしておく
  • カセットコンロやガスなどの備蓄量を確認しておく
  • 食料や飲料水は、「3日間分」を目安に確保する
  • 非常用簡易トイレ用意しておく
  • ペットケア用品などを揃えておく

車中泊を目的として製作されたキャンピングカーであれば、プライベートな空間を確保しつつ、生活に必要なライフラインも揃えられます。



人数の多い避難所よりもストレスを感じにくく、衛生面においても大きな効果を発揮します。また、ペット連れの方にとっては最適な避難場所のひとつといるでしょう。



ただし、キャンピングカーは災害時に役立ちますが、それだけでは災害対策として不十分です。



キャンピングカーは、生活に必要なライフラインがある災害時のシェルターとして考えておきましょう。



万が一のために、自宅に災害発生から最低3日間は自力で生き延びられる食料や防災グッズを用意しておくことがたいせつです。



■参考資料



  • 内閣府「災害が起きたら、あなたはどうしますか?~みんなで地区防災」( https://www.bousai.go.jp/kyoiku/chikubousai/pdf/160818.pdf )
  • 内閣府「災害関連死について」( https://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/pdf/r01kaigi/siryo8.pdf )
  • 内閣府「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会 第1回会合[参考資料2]被害に関するデータ等」1.ライフライン・インフラの復旧状況( https://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/tohokukyokun/1/pdf/sub2.pdf )
  • 内閣府「従来の被害想定と東日本大震災の被害(概要)」( https://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/tohokukyokun/7/pdf/5.pdf )