2020年原油相場レビュー
NYMEX WTI月足 期近引継足(ドル/バレル)

2020年の原油(WTI)価格は、新型コロナウイルスのパンデミックによる未曾有の危機に襲われ、歴史上初となるマイナス価格を示現するなど想定外のイレギュラーな値動きとなった。石油輸出国機構(OPEC)プラスが再び協調減産を実施、中国の経済回復、各国の経済対策、ワクチンの開発・普及への期待などによって安値からはかなり戻しているが、未だ感染者数が高止まりしているため先行き不透明感は強く、戻り上値は重い。
第1四半期(1-3月期):20.0~65.0ドル
第1四半期は60ドルを超える水準で始まったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞、OPECプラスの協調減産終了などを背景に急落した。1月はイランと米国の緊張の高まりを受け、WTI期近物は65.65ドルまで上昇した。しかし、全面戦争突入への最悪のシナリオが回避されたことで急速に弱気に転じ、50ドル水準まで値を落とした。2月は新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、中国を中心に世界経済が失速することへの懸念が強まり、軟調地合いを継続した。ただし、この時点ではそこまで深刻な見方はなく、45ドル水準までの下げにとどまった。3月に入ると、中国以外の国でも感染が広がり始め、世界経済への悲観的な見方が広がった。また、OPECプラスの会合が決裂、サウジアラビアが増産を決定しロシアも増産を示唆したことで、価格戦争が起こるとの観測が広がった。パニック売りから30ドルを割り込んだ後も売りが途切れず、月末には20ドルを割り込む場面も見られた。