今週の日本株は先週、予想を上回る好決算を発表したAI(人工知能)関連の人気株・ エヌビディア(NVDA) の株価続騰を受け、半導体株が再び活気づくかどうかに注目が集まりそうです。


 国内では、日本銀行が国債の買い入れ金額を減額したことも影響して24日(金)、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが1.005%まで上昇し、12年ぶりの高水準となりました。


 今週も金利の上昇が続くようだと、不動産業のように多額の借金をして事業を行っている企業の株価に悪影響が及びそうです。


 日本企業の2024年3月期決算発表が5月中旬に終了。多くの企業が今期2025年3月期に関して慎重で保守的な業績見通しを打ち出したことが、日本株の今ひとつぱっとしない停滞につながっています。


 国内で株価を上昇させる材料があまり見当たらない材料難の中、今週の日本株も米国株の動向に強い影響を受けそうです。


 米国では、長引く物価高や高金利政策による借り入れコストの増加で消費者心理が悪化しつつあります。


 今週、28日(火)には米国民間調査会社コンファレンス・ボードが5月の消費者信頼感指数を発表。

前回同様、大きく落ち込むようだと、米国株の好調に陰りが出るかもしれません。


 月末の31日(金)には4月の米国個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)も発表。物価の高止まりが続くようだと、米国株の上昇を支えてきた9月利下げ期待が大きく後退し、株式市場が世界的に変調を来す恐れもあります。


 先週の日経平均株価(225種)の24日(金)終値は前週末比141円(0.4%)安の3万8,646円で終了。


 米国株もハイテク株主体のナスダック総合指数は前週比で1.41%上昇して史上最高値を更新したものの、機関投資家が運用指針にするS&P500種指数は前週比0.03%高でほぼ横ばいでした。 週明け27日(月)の日経平均株価は前週末比253円高の3万8,900円となりました。


 米国株が24日(金)に反発したことで半導体関連などを好感する買いが入りました。ただ、27日が米国市場が戦没将兵追悼記念日で休場ということもあり、積極的に買い向かう動きは乏しく、上値が重くなりました。


 例年、5月最終週からは年金基金が保有する日本株の資産配分を調整するためのリバランス(配分調整)売りが始まることもあり、今週の日本株は上値の重い展開になることも考えられそうです。


先週:好決算のエヌビディア上昇独り占め!電力株などバリュー株見直し機運強まる

 先週の株式市場はAI相場の主役の座を独占する米国の高速半導体メーカー・エヌビディアの決算発表をきっかけに相場が乱高下する展開でした。


 22日(水)発表の同社の2024年2-4月期決算は売上高が前年同期の約3.6倍、営業利益が約7.9倍と市場予想を上回る素晴らしいものでした。


 今期2024年5-7月期の業績見通しに関しても引き続きAIデータセンター向け高速半導体の販売が活況で驚異的な成長が今後も続くことが判明。


 これを受け、23日(木)のエヌビディア株は前日比9.3%高で1株1,000ドルの大台を超えて急騰。

24日(金)終値も週間で前週末比15.1%高と上昇が続きました。


 しかし、日本経済新聞社が「エヌビディア祭り不発」と報じたように、上がったのは同社や一部のAI関連株だけ。


 23日(木)の米国株や翌24日(金)の日本株は大きく下落し、エヌビディアが上昇を独り占め、その他の株は置き去りという予想外の結果になりました。


 日米の全体相場の足を引っ張ったのは、米国の強すぎる景気と雇用でした。


 23日(木)発表の5月の米PMI(購買担当者指数)の速報値が2年ぶりの高水準まで上昇。


 同じく米国の週間新規失業保険申請件数も予想以上に低下して失業者の減少が顕著に。


 これらの指標結果を受け、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が9月に利下げを開始するという希望的観測が後退したことが株価下落の原因でした。


 ただ、24日(金)のS&P500種指数が前日比0.7%高と小幅反発しているため、今週はエヌビディアの好決算が再評価されてAIバブル相場が再び活気づく可能性も十分にありそうです。


 先週の日本株市場では、注目度の高かった半導体株ではなく、株価が割安で、増配や自社株買いなど株主還元余地があるバリュー(割安)株が見直し買いされる展開が優勢でした。


 割安株の一角として最近、人気化している電気・ガス業が週間業種別上昇ランキングでも上位に入り、 北海道電力(9509) が前週比14.2%高、 九州電力(9508) が前週比.4%高と続騰。


 電力株が人気化している背景には、米国巨大IT企業の マイクロソフト(MSFT) が日本国内で巨額投資を行うなど、大量の電力を消費するAI向けデータセンターの建設ラッシュで電力会社が潤うという思惑もあります。


「風が吹けば桶屋がもうかる」的な類推も働いて思わぬ企業の株が上昇することもあるのが個別株投資の醍醐味(だいごみ)といえるでしょう。


 他にも業績悪化で売り込まれてきた家電メーカーの シャープ(6753) が信用取引で株をカラ売りした投資家が市場から株を買い戻す動きによる上昇(「踏み上げ上昇」といいます)で底値圏から前週比15.2%も急騰。


 訪日外国人者数が今年3、4月連続で300万人を超え、インバウンド需要で潤う百貨店株も好調でした。


 阪急阪神百貨店を傘下に持つ エイチ・ツー・オー リテイリング(8242) が前週比10.6%高となりました。


 一方、エヌビディアの好決算で大きく買われてもいいはずの半導体関連株は、半導体切断装置の ディスコ(6146) が前週比9.7%高で上場来高値を更新したものの、主力の 東京エレトクロン(8035) は0.8%安。半導体運搬装置の ローツェ(6323) が8.3%安に沈むなど、強弱まちまちでした。


 これらの半導体株は、エヌビディアが前回2月21日(水)に驚異的な2024年2-4月期の売上増加見通しを発表したときは軒並み大幅上昇しています。


 今回のエヌビディア決算に対する反応が鈍いのはさすがにここまで株価が上昇し過ぎたせいもあるでしょう。


 今週、半導体株に対して改めて見直し買いが入るかどうかが、日本株全体の好不調にも大きな影響を与えそうです。


今週:米国景気・物価指標に一喜一憂の展開?円安進行で日銀の金融引き締めに警戒!

 今週、米国では28日(火)に5月の消費者信頼感指数、29日(水)に5月リッチモンド連邦準備銀行製造業指数、30日(木)に2024年1-3月期の実質GDP(国内総生産)の改定値など景気指標が相次いで発表されます。


 そして、月末31日(金)には米国の4月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)も発表。


 米FRBが最重要物価指数と見なす、変動の激しいエネルギー・食品を除くコアPCEデフレーターは前年同月比2.8%の伸びと、前月3月から横ばいで高止まりする予想です。


 物価の伸びが予想を超えてしまうと、市場が期待する9月利下げ説がさらに後退して株安につながる可能性が高いでしょう。


 日本国内では、日銀が金利正常化に動くという思惑から10年国債の金利が1%を超え、12年ぶりの高水準にあることが心配です。


 金利上昇のきっかけは5月13日(月)に日銀が量的金融緩和策の一貫として行ってきた国債の買い入れオペレーションの金額を突如、減額したことでした。


 具体的には満期まで5年超10年以下の長期国債の買い入れ額を500億円減額しました。


 日銀の国債買い入れ減額は為替市場で進む円安をけん制するための措置という見方もあります。


 しかし、ニューヨーク外国為替市場では24日(金)、一時1ドル157円台に到達するなど(終値は1ドル156円90銭台)、再び円安が進行しています。


 これを受けて24日(金)、日本政府の為替政策の実務を取り仕切る財務省の神田真人財務官は、イタリアで開催されたG7(主要7カ国)財務省・中央銀行総裁会議後の取材で「いつ何時でも必要な措置を取る用意がある」と発言。


 今週は再び為替介入に対する警戒が必要になりそうです。


 31日(金)には財務省が発表する外国為替平衡操作の実施状況で、4月29日(月)、5月2日(木)に行われたとみられる政府・日銀の為替介入の有無と規模が明らかになります。


 日銀が仮に大規模な為替介入でも一向に歯止めがかからない円安を阻止しようとして、国債の買い入れ金額を減額するなど金融引き締めの姿勢を鮮明にすると、不動産株など借入金の多い企業だけでなく、日本株全体にとっても非常にネガティブといえるでしょう。


 4月の新年度に入って以降、停滞モードが続く日本株。


 今週はバリュー株や低迷株の見直し買いだけでなく、堅調な米国株に連動した半導体株などの反発に期待したいところです。


(トウシル編集チーム)