「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第48回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ:企業の業績予想からどちらの銘柄が買い?
予想配当利回りがともに4.2%のA社とB社、どちらかに投資します。両社の、今期の業績予想は、以下の通りです。
A社かB社の株式を買うとしたら、どちらでしょうか?
高配当利回り株投資で注意すべきこと
高配当利回り株に投資する際に、気を付けるべきことがあります。配当利回りは、確定利回りではないことです。減配(1株当たり配当金が減らされること)になると、利回りが低下し、株価が下落することもあります。
そうならないように、なるべく減配になりにくい銘柄を選ぶべきです。なるべく収益基盤がしっかりしていて、先行き増配余地のある銘柄を選ぶべきです。
収益基盤が弱くて、先行き減配リスクのある銘柄は避けるべきです。
「収益基盤がしっかりしている」とは?
一定の利益を継続的に上げていける事業基盤を有していること。
そのためには、他社にまねできない何か差異化されたビジネスを有することが必要です。収益基盤がしっかりしているかどうか見分けるのに、利益率がヒントになります。
クイズの正解:収益基盤がしっかりしているB社
正解はB社です。
B社の方が営業利益率と経常利益率が高く、収益基盤がしっかりしていると考えられます。また、先行き増配余地も見込めます。
一方、A社は営業利益率と経常利益率が低く、収益基盤が弱く、先行き減配になるリスクもあります。
<A社とB社の各種利益率を比較>
収益基盤を見る上で、まず営業利益率と経常利益率を確認しましょう。
A社の方が純利益率が高いが、特別損益の影響のため
経常利益率が高いB社が、当期利益率が低いのは、特別損失(一時的損失)が出ている(出ると見込まれる)ため。経常利益率が低いA社が、当期利益率が高いのは、特別利益(一時的利益)が出ている(出ると見込まれる)ためです。
【当期純利益】=【経常利益】+【特別利益】-【特別損失】-【税金など】
特別利益は、不動産売却益や持ち合い株式の売却益など一時的な利益です。繰り返し発生する利益ではないので、特別利益の金額が大きくても、収益力が高いとは言えません。
特別損失は、固定資産の減損損失や、リストラ損失、災害による損失などで、これも原則一時的な損失です。特別損失が大きくても、収益力が弱いとは言えません。
先行きA社には減配リスク、B社には増配期待がある
A社は特別利益を含む純利益20のうち、15を今期配当する予定です。来期、特別利益がなくなると、純利益が大きく減り、減配になるリスクがあります。
一方、B社は特別損失によって小さくなっている純利益5を、そのまま配当する予定です。来期、特別損失がなくなると、純利益が大きく増え、増配になる期待があります。
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