「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第62回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。


今日のクイズ

 今日は、株価指標で割安な銘柄を当てるクイズを出します。


 PER(株価収益率)が低い株、PBR(株価純資産倍率)が低い株、配当利回りが高い株を、株価指標から見て割安な株と言います。それを当てるクイズです。


 以下4銘柄のうち2銘柄は、予想PER6倍台、PBR1倍割れ、配当利回り4%台と、株価指標から見て極めて割安な株です。それはどれでしょう。【1】~【4】から2つ選んでください。


【1】 ファーストリテイリング(9983) (カジュアル衣料品店「ユニクロ」経営)
【2】 日本郵船(9101) (海運大手)
【3】 オリエンタルランド(4661) (東京ディズニーリゾートを運営)
【4】 INPEX(1605) (日本最大の原油・ガス開発生産企業)


PERとは

 株式投資をするとき、投資する銘柄のPER(ピーイーアール:株価収益率)を見ていますか? PER10倍だから株価は割安とか、PER40倍だから割高といった話を聞いたことがありますか?


 PERは以下の式から計算されます。


ユニクロ、郵船、オリエンタルランド、INPEX、PER・PBRが低く配当利回りが高い株はどれ?
PER=【株価】÷【1株当たり利益(今期予想)】の計算式

 詳しい解説は、以下のレポートからお読みください。


 クイズでわかる!資産形成2024年12月14日: PERの高い株・低い株、どちらを買うべき?PER何倍なら割安?


PBRとは

 株式投資をするとき、投資する銘柄のPBR(ピービーアール:株価純資産倍率)を見ていますか?PBR0.7倍だから株価は割安とか、PBR5倍だから割高といった話を聞いたことがありますか?


 PBRは以下の式から計算されます。


ユニクロ、郵船、オリエンタルランド、INPEX、PER・PBRが低く配当利回りが高い株はどれ?
PBR=【株価】÷【1株当たり純資産】の計算式

 詳しい解説は、以下のレポートからお読みください。


 クイズでわかる!資産形成2024年4月6日: PBR1倍割れってどういう意味?今、注目される理由とは


正解は・・・

 予想配当利回りが高く、PER・PBRが低いのは、【2】日本郵船と【4】INPEXです。


<ファーストリテイリング、日本郵船、オリエンタルランド、INPEXの株価指標:2025年1月6日>
ユニクロ、郵船、オリエンタルランド、INPEX、PER・PBRが低く配当利回りが高い株はどれ?
出所:各社決算短信・QUICKより作成、配当利回りは今期1株当たり配当金(会社予想)を1月6日株価で割って算出、1株当たり配当金はファストリ450円、郵船260円、オリエンタルランド14円、INPEX86円、今期とはファストリ2025年8月期、郵船・オリエンタルランド2025年3月期、INPEX2024年12月期、PERは1月6日株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出

 株価指標で見ると、日本郵船とINPEXが割安で、ファーストリテイリングとオリエンタルランドが割高であることがわかります。


なぜ株価指標でこんなに大きな差が生じるか

 株価指標で見て、高い銘柄と安い銘柄には大きな開きがあります。なぜ、こういう開きが出るのでしょうか? PERを例にして説明します。


 PERは、株価が割安であるか割高であるかを測る指標として使われています。日本だけでなく、世界中の投資家が見ている重要指標です。


 一般的には「PERが高ければ割高、低ければ割安」ですが、実際にはそう単純ではありません。PERだけ見て、割安・割高を判断するのは適切ではありません。PERの問題をよく理解した上で、PERを見る必要があります。


 PERの低い銘柄群には、一般的に以下の特色があります。


  • 利益の成長性が低いと考えられている銘柄
  • 利益が不安定と思われている銘柄(景気敏感株など。景気が悪化すると業績が大幅に悪化する)
  • 特別利益(株や土地などの売却益など)によって、一時的に利益水準が高くなっている銘柄
  •  反対に、PERの高い銘柄群には、一般的に以下の特色があります。


  • 利益の成長性が高いと考えられている銘柄
  • 利益が安定的と思われている銘柄(ディフェンシブ株。景気悪化の影響が小さい)
  • 特別損失(不採算事業からの撤退損など)によって、一時的に利益水準が低くなっている銘柄
  • 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、他社にマネできない鉄壁のビジネスを有し、安定的に高収益を稼ぐと思われていることから、株式市場で高く評価されています。


     一方、日本郵船やINPEXは、海運市況やエネルギー市況によって、利益が大きく変動し、利益が不安定だと考えられているため、株式市場で低い評価となっています。


     確かに、日本郵船などの海運株の過去の業績を見ると、海運ブームの時に高い利益を上げていますが、海運不況になると巨額の赤字を計上するなど、業績は不安定です。そのために、株式市場で低い評価になっています。


     海運業は、グローバルに再編が進み、かつてのような過当競争にはならないと見ています。海運需要は、グローバルに成長が見込まれると考えています。財務内容良好で、安定収益が期待できる日本郵船に対し、株価評価は低すぎると思っていますので、日本郵船は買い推奨しています。


     INPEXも、過去にはエネルギー価格が低下する中で、ガス田の開発コストがかさんで収益が長期的に低迷した時期がありました。今後は先行投資が実り、生産量が拡大する中、世界的なLNG需要の拡大によって市況の上昇も見込めると考えています。従って、INPEXも買い推奨しています。


    テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく学びたい方へ

     最後に、私の著書の紹介です。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方など学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ形です。


    「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ 」


    ユニクロ、郵船、オリエンタルランド、INPEX、PER・PBRが低く配当利回りが高い株はどれ?
    2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレの書影

    「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編 」


    ユニクロ、郵船、オリエンタルランド、INPEX、PER・PBRが低く配当利回りが高い株はどれ?
    2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編の書影

    (窪田 真之)

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