短期的には価格競争激化が業績圧迫、長期の需要見通しは良好

現地コード 銘柄名 01347

華虹半導体


(フアホン・セミコンダクター)


株価 情報種類

26.30HKD
(2/14現在)


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 中国の半導体ファウンドリー大手、華虹半導体の2024年10-12月期決算は市場予想を下回る内容だった。売上高はほぼ市場の予想通りだったが、価格競争に加え、研究開発費と初期投資費用の増大が響き、4,900万米ドルの営業損失を計上した。

経営陣は2025年1-3月期の粗利益率について、9-11%との見通しを示したが、これも市場予想を3ポイントほど下回る水準。製品需要は堅調ながらも、新規設備に絡む減価償却費の増大が響く見通しとなった。ただ、BOCIは生成AIモデル「DeepSeek」から生まれる潜在需要や在庫調整の完了、国産半導体への切り替え需要による恩恵を理由に、同社株は再評価に値するとの見方。目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続している。


 2024年10-12月期決算を見ると、売上高は前年同期比18%増、前四半期比で2%増の5億3,900万米ドル。ウエハー出荷量の伸びを受け、ガイダンスの上限に達した。粗利益率は11.4%と前四半期比0.8ポイント低下したものの、設備稼働率の改善により、ガイダンスを上回る数字。ただ、純損益は2,500万米ドルの赤字となり、市場予想とBOCIの予想をそれぞれ188%、186%下回った。エンジニアリングウエハー・コストの増大やファブ新設の初期費用に加え、為替差損(4,900万米ドル)の発生が痛手となった。


 2025年1-3月期について、経営陣が示した売上高見通しは5億3,000万-5億5,000万米ドル(中央値で前四半期比1%増、市場予想からは4%下振れ)。通期では少なくとも前年比10%の増収となる見通しを示した。また、1-3月期の粗利益率に関するガイダンスは9-11%(中央値で前四半期2ポイントダウン、市場予想から3ポイント下振れ)。

それでも1年から1年半後には粗利益率20%を目指すとの目標を再確認している。


 BOCIは2025年には、CIS(CMOSイメージセンサー)、MCU(マイクロコントローラユニット)、ロジックおよびRF(無線周波数)、NORフラッシュメモリなどの需要が健全に推移するとみている。家電需要の回復や自動車および産業機器の在庫調整の終了、STマイクロやインフィニオンなど主要IDM(垂直統合型デバイスメーカー)によるAI需要と現地化需要の増加が寄与する見通しという。


 一方、新規の無錫Fab9(第9工場)が完工し、2025年半ばには4万Wpm(ウエハー月産量)の生産能力が追加される。2026年半ばには全体で計8万3,000Wpmに達する見通し。


 BOCIは半導体の最終需要の回復を見込みながらも、価格競争を理由に、2025年の粗利益率は緩やかな回復ペースにとどまるとみている。また、「DeepSeek」を契機にAIインフラブームが到来するとしながらも、半導体業界が新規の生産能力を全面的に消化するには1-2年を要するとの見方。2025年、2026年の予想EPS(1株当たり利益)を21%、20%引き下げた(予想売上高はほぼ据え置き)。ただ、目標株価の算出ベースを予想PBR(株価純資産倍率)0.9倍から1.1倍に引き上げたのに伴い、目標株価を上方修正している。


(Bank of China int.)

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