新型コロナウイルス感染拡大下、国内航空会社で実施が相次ぐ、同一空港を発着する「遊覧チャーター」。ただ、JALなどが今回実施したのは、このなかでも異色のオプションや、イベントが盛り込まれたものでした。

成田空港の「裏側」見られるオプションツアー

 JAL(日本航空)やNAA(成田国際空港)などが2020年12月5日(土)、成田空港を発着する周遊フライト「チャーターDE海外旅行気分を満喫!~シンガポール~」を実施しました。

 新型コロナウイルス感染拡大のなか、国内航空会社でトレンドとなっているのが飛行機に乗って目的地に向かうのではなく、フライト自体を目的にして同じ空港に戻ってくる「遊覧チャーター(貸し切り)便」です。ただ、今回実施されたものは「ただ乗るだけ」ではありません。

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遊覧チャーター便となったJL1965便を見送るJALのスタッフ(2020年12月4日、乗りものニュース編集部撮影)。

 遊覧チャーター前に実施されたのは、プラス1万円のオプションである「成田空港スペシャルバスツアー」。これはNAA(成田国際空港)協力のもと、一般の人が普段は入れない成田空港の「裏側」を見ることができるというものです。

 バスで向かったのは、2020年に供用が始まって間もない、駐機場周辺の航空管制を行う管制塔「新ランプタワー」の研修室。一般利用者が同施設に入るのは、これが初めてとのことです。

 見学後は第1ターミナル前にあるA滑走路の超至近距離に位置し、普段は見られないアングルから飛行機の離着陸を見られる「消防西分遣所」へ。ここでは空港用の消防車を見学したり、至近距離の旅客機を撮影したりできました。なお、NAAによると、今回のバスツアーの参加人数は40人とのことです。

チャーターフライトも従来と全然違った!

 バスツアー後、JALの遊覧チャーター便が出発となります。

コロナ禍で実施されるJALの遊覧チャーターは、海外の就航都市をテーマにすることが多く、今回のフライトもシンガポールがテーマです。

 とはいえ出発前には、これまでの遊覧チャーターとは違う“お楽しみ”も。同一空港を発着する国内線ではあるものの、「模擬入国審査」が実施されたのです。今回のフライトは、シンガポール政府観光局が全面協力。出発時にはシンガポール政府観光局が、本当の海外旅行さながら、パスポートを模した冊子にスタンプを押しています。

成田空港のマル秘施設行けます JALのユニーク「遊覧飛行」 なぜか「入国審査」も

JALの遊覧チャーター便開始前に実施された成田空港のオプションツアー(2020年12月4日、乗りものニュース編集部撮影)。

「疑似審査場」を抜けた先の搭乗ゲートではシンガポールの名物を模した2m以上の「マーライオン」像がお出迎え。このほかゲートには、フォトスポットなども設置されています。

 使用された飛行機は、実際に国際線で用いられているボーイング767-300ER型機(機内仕様はA44。ビジネス、エコノミーの2クラスで199席)でした。フライトは、シンガポールが主権民主国家となった1965(昭和40)年にちなみ「JL1965便」と名付けられ(オペレーション上の便名は異なる)、149人が搭乗。同日正午ごろ成田空港を出発し、約3時間半のフライトへ向かっています。

 JALによると、機内ではシンガポールをイメージした機内食の用意に加え、抽選会や謎解きイベントも実施されたとのことです。