多摩川の下流部で、羽田空港と川崎市を結ぶ新たな道路橋の工事が進められています。東京都と川崎市の再開発地区どうしで連携を強化するのが狙いですが、どのような変化が起きるのでしょうか。

産業道路と湾岸線の中間付近に架橋

 2021年現在、多摩川の下流部に架かる新たな橋の工事が進められています。羽田空港第3ターミナル付近から、多摩川を越えて川崎市へ渡る道路橋「羽田連絡道路」の橋です。長さは約600mで、開通すれば多摩川に架かる橋では自動車専用道をのぞいて最長の橋となります。

多摩川の新しい橋「羽田連絡道路」工事進む 国際線ターミナル直...の画像はこちら >>

橋桁の架設工事が進む羽田連絡道路(2020年9月、乗りものニュース編集部撮影)。

 これは東京都と川崎市が事業を進める都市計画道路で、羽田空港周辺の成長戦略拠点を支えるインフラとして整備されるものです。事業費は約300億円となっています。

 羽田空港はこれまで騒音などの問題をうけ、沖合への空港島の拡張と移転を繰り返してきました。それにより発生した空港島南側の跡地は「羽田グローバルウィングズ」、また対岸の川崎市殿町地区は「キングスカイフロント」として、それぞれ再開発が進められています。この再開発区域双方のアクセス性を向上するための架橋です。

 またこの橋は空港のエアカーゴターミナルにほど近く、川崎市の臨海工業地帯からの航空運搬用の貨物を輸送する際、ひとつ上流に架かる大師橋を経由するよりも距離が短縮されます。

できたらどうなる?

 羽田連絡道路は2017年に着工、2020年度内の開通を目指していましたが、新型コロナウイルスの影響などにより、開通予定は1年延期となる2021年度内に変更されました。

 さて、この橋が開通することで、一般利用者の移動はどう変わってくるでしょうか。

 川崎市側から羽田空港へ向かう場合、最も海側の首都高湾岸線を経由するか、K1横羽線あるいは一般道の大師橋などを経由して内陸側から回り込むかが考えられますが、新しい橋は湾岸線と大師橋の中間にでき、羽田空港第3ターミナルのほか、旧ターミナル跡地へ2020年に開業した複合施設「羽田エアポートガーデン」に直結しています。内陸経由からこちらに転移するケースが見込まれます。

 あわせて、アクアラインを通行して房総半島と羽田空港を結ぶ路線バスも、国際線が発着する第3ターミナルへは、浮島JCTから湾岸線を経由するルートに加え、殿町ICから羽田連絡道路を渡るルートも採用するかもしれません。羽田エアポートガーデンには、空港のバスターミナルを補完するバスターミナルが設けられており、こちらに乗り入れている便が羽田空港連絡道路を利用することも考えられます。

 なお、1月15日(金)から2月15日(月)まで、東京都と川崎市が橋の名称を公募しています。名称案には必ず「橋」か「ブリッジ」が含まれるのが条件です。