LCCはチケットが安いかわりに様々なコスト削減をしていますが、飛行機に関しては、国内老舗の航空会社よりはるかに機齢が若い状況です。中古で安く済ませず、戦略的に新造機を導入するケースも珍しくないのは、どうしてなのでしょうか。

中古機は安いけどデメリットがある!

 LCC(格安航空会社)はチケットが安いかわりに、「フルサービスキャリア」と呼ばれる航空会社と比べて、さまざまなコスト削減をしています。機体に関しても中古で安く導入している――かと思いきや、少なくとも日本では正反対で、戦略的に新造機を一斉導入するケースも全く珍しくありません。どうしてなのでしょうか。

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ジェットスター・ジャパン機(乗りものニュース編集部撮影)。

 たとえば、国内の2大LCCであるジェットスター・ジャパン、ピーチの2社を見ても、保有する飛行機の平均機齢をフルサービスキャリアのものと比較すると、大きく下回っています。2社はともに、世界でもっとも売れている旅客機「エアバスA320」系統を使用していますが、これらのうち、新造機が占める割合はかなり多いです。

 とある国内LCCの担当者は次のように説明します。

「中古機材を導入する際には、事前に確認すべき整備に関する事項が非常に多く膨大です。私どもで定めた基準を満たしているか、過去にどんな整備が行われたのか、詳しく調べます。場合によってはこの調査が、1年も掛かってしまうこともあります。また、このような整備の多くは海外で行われますが、そのあいだの人件費も考慮する必要があり、これもコストを大きくする要因となります。これらの労力やコストを考え、新造機導入のメリットが多ければ、そちらを取るのです」

 加えて同氏は「導入後の整備はもっと重要です」と強調しました。

あえて新造機を導入する理由とは

 LCCの担当者はさらに、中古機のデメリットを次のように話します。

「一般的に飛行機は、飛行時間や飛行回数に比例して不具合の発生確率は増える傾向にあります。特に、今まで異なる環境や品質管理体制で運航されていた飛行機は、より多くの労力を割く必要がある可能性もあります。それに応じたコストもかかりますし、そのあいだ、飛行機は使用できませんので、稼働率にも影響してきます」

 同氏は、「LCCのビジネスでは、機材をできるだけ多く稼働させることが重要」とのこと。中古機はその点でリスクがあるというわけです。想定より機材の稼働率が低いとき、一部の飛行機を他社にサブリース(転貸)するケースも珍しくありません。

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AirJapan機(乗りものニュース編集部撮影)。

 通常フルサービスキャリアでは、新造導入された旅客機は20年から25年使用されることが一般的です。しかしLCCでは、それよりもはるかに短い期間で、その航空会社での役目を終えるケースも。

 これもやはり、機体の稼働率、つまり同じ機体が担当する運航便数が多いことが関係しているようです。「見方によっては、機材の整備や点検、部品交換がフルサービスキャリアよりも、実は多くなります。その際の部品も都度コストが生じますし、稼働率も下がってしまいます。

そういったコストを総合的に検討したうえ、比較的機齢が低い状態で退役させることも選択肢のひとつ」なのだとか。

 とはいえ、日本のLCCがすべて新造機を導入しているわけではありません。中古機の場合、調達元は様々ですが、フルサービスキャリアのグループ会社にあたるLCCでは、親会社から機体を調達するパターンも多いようです。

 たとえばJALグループの国際線LCC「ZIPAIR」の一部機体、ANA(全日空)グループのLCC系国際線航空会社「AirJapan」などでは、それぞれJAL・ANAで用いられていたボーイング787-8が使用されています。