ユーロサトリ2024で初公開された140mm戦車砲は、それを搭載する戦車も既存のものとは異なるフォルムをまとっていました。しかし、これは試作車ではないとのこと。

さらに140mm砲の開発スケジュールも判明しました。

初公開の140mm砲、その威力は?

 フランスの首都パリで2024年6月17日から21日まで開催されている世界最大級の防衛見本市「ユーロサトリ2024」において、多国籍企業KNDSが次世代戦車のコンセプトモデル「EMBT-ADT 140」を出展しました。

「EMBT-ADT 140」はその名のとおり、既存の戦車砲から大幅にサイズアップした140mm滑腔砲「ASCALON」(アスカロン)を搭載しているのが特徴です。2024年現在、世界で就役している戦車の主砲は120mmもしくは125mm口径が主流です。

 また、砲塔上部には30mm機関砲と7.62mm機関銃の両方を装備したRCWS(遠隔操作兵器ステーション)も装備。車体こそ既存の「レオパルト2A7」のものを流用していますが、センサー類は一新され、6つのAPS(アクティブ防護システム)/対無人航空機レーダー、4つのレーザー警報機、23個のカメラによる車体周囲360度の状況監視システムなどを搭載しています。

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「ユーロサトリ2024」に展示されたEMBT-ADT 140(布留川 司撮影)。

 これらを鑑みると、「EMBT-ADT 140」は大口径砲を搭載しているだけでなく、次世代戦車に求められるさまざまな新技術のデモンストレーターとして製作された模様です。

 ただ、やはり気になるのは、世界でもいち早く140mm砲を搭載した点。この主砲大径化についてKNDSのスタッフは「次世代の戦車の高度な装甲に対応するため」と説明していました。これは、近年の追加装甲などで防御力が上がった戦闘車両への対応が一番の理由のようです。

 具体的な射程や威力など詳細な諸元については現時点では開示できないそうですが、筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)の「射撃音は凄いの?」という問いには、「はい、(120mmと比べて)すごく大きいです!」と即答してくれました。

これは新型戦車ではありません!

「EMBT-ADT 140」の特徴には、主砲の大きさだけでなく、それを搭載する砲塔自体がまったく新しいものであるという点も挙げられるでしょう。

 140mm滑腔砲「ASCALON」を搭載する砲塔は完全無人化されており、砲弾の自動装てん装置も装備。砲塔内部は無人化されたことで、大口径砲を搭載しながらも全体的なシルエットは比較的小さくすることに成功しています。

 メーカー担当者もこれに関しては次のように語っていました。

「砲塔を小型化したことで、最新の140mm砲をどんな車体にでもフィットさせることが可能です。車体はフランス製『ルクレール』でも、ドイツの『レオパルト2』でも、はたまた全く新しい戦車でもなんでも大丈夫です」

初公開!「140mmの巨砲」戦車を実見 ハイテク・めちゃ速 もう完成形? 射撃音は「スゴイです」
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砲塔側面には誇らしく新型砲塔の名称とその口径サイズが書き込まれていた(布留川 司撮影)。

 なお、「EMBT-ADT 140」は最高速度65km/hで走行可能です。前述したような各種装備品を鑑みると。もう戦車として完成しているようにも思えます。ただ、この車両の位置づけはあくまでもデモンストレーター。よって、「EMBT-ADT 140」がそのまま次世代の戦車になることはない模様です。

 KNDSのスタッフも「この車両はドライバーとオペレーター(いわゆる砲手)の2名で動かせますが、それは試験用車両だから。

実用戦車にするためには、もう1人、指揮官となる乗員(すなわち車長)が不可欠です」と語っていました。

 説明によると、来年には「EMBT-ADT 140」で射撃試験を行うそうなので、この新たな140mm砲の真価は、そのとき試されると言えるでしょう。