東京湾アクアラインでは特に週末、渋滞が目立ちます。なぜそうなり、どうしたら解決できるのでしょうか。

いくつかの可能性がありそうです。

渋滞をほぼ解消したある装置

 本格的な夏になり、渋滞も本格化してきました。大都市圏の渋滞は、年度末の3月がひとつのピークで、4,5,6月は沈静化し、夏の訪れとともに再び盛り上がります。暑いとどうしてもクルマの利用が増えますし、レジャーとビジネスの需要がバッティングすることで、8月は年間で最も渋滞の多い季節のひとつになっています。

 夏の週末は、東京湾アクアラインの渋滞も激化します。特に土曜日午前中の下り渋滞と、日曜日午後の上り渋滞は深刻です。

 日曜日午後の上り渋滞は、海ほたるPAを先頭に10~20kmというのがパターンです。以前は、海ほたるPAの10km先、浮島JCT(トンネル内)を先頭にビッチリ渋滞しましたが、2年前から海ほたるPAが先頭になり、トンネル内の渋滞はおおむね解消されました。

 理由は、2015年のGW前に設置された「ペースメーカーライト」にあります。

「ペースメーカーライト」とは、LEDの光を80~50km/hで流して、ドライバーのうっかりによる速度低下を抑える装置です。昨年、首都高3号線下り大橋JCT先に設置された「エスコートライト」と原理は同じですが、アクラインのペースメーカーライトのほうが約1年先輩。その効果を見て、首都高側がパクったといってよいでしょう。

渋滞を引き起こしている海ほたる

 首都高のエスコートライトは道路左側のみで、長さも約250メートルと短く、渋滞緩和効果はほんのわずかにとどまっていますが、アクアラインはトンネル両側にLEDが設置されており、延長も1kmあります。

 アクアラインの海底トンネル部は、入口からまず下り坂になり、出口手前で上り坂になっています。上り線でいうと、浮島JCTの手前約1.2km地点から4%の上り坂になっており、これが自然と速度が低下する「サグ」効果を発揮して、渋滞が発生していました。

 ペースメーカーライトは、その速度低下を抑えるべく、渋滞が始まる時間帯は80km/hで、渋滞開始後は50km/hで光を流し、ドライバーに速度の低下を知らせています。

 NEXCO東日本の調査によると、ペースメーカーライトの運用によって渋滞の開始が10分ほど遅れ、平均速度は6.9km/h上昇。トータルの渋滞量(渋滞時間×渋滞長)は半分以下に減少しました。

 最近は、浮島JCTを先頭にした渋滞はほぼ見られなくなりました。

 そしてその手前、海ほたるPA先頭の渋滞は、PAに入ろうとするクルマが多すぎてオーバーフローしてしまうことが主な原因です。これを緩和するには、手前にもうひとつPAを設置すべきでしょう。日本、いや世界唯一の海上PAである海ほたるの魅力に対抗するのは困難ではありますが、人は手前、手前に誘導されやすいもの。木更津金田~木更津JCT間のどこかに、上下線を統合したPAを新設し、地元産品の販売やグルメに力を入れれば、収益も期待できます。もともと館山道の木更津以南には君津PAがあるのみで、しかもトイレと自動販売機だけ。

海ほたるPAにクルマが集中するのも当然です。需要はあるはずですから、検討していただきたいところです。

アクアラインはペースメーカーライトが足りない?

 もうひとつ、土曜日午前中に発生するアクアライン下り線の渋滞について、以前はこれも海ほたるPAを先頭にしていましたが、最近は、浮島JCTからトンネルに入って1.2km地点にあるサグが先頭というケースが多くなっています。ここは下り坂からほぼ平坦に勾配が変わる地点で、やはり自然に速度低下が起きて渋滞が発生。その渋滞が首都高湾岸線両方向に伸びます。

 この解消には、ペースメーカーライトの設置が効果的なはずです。

併せて海ほたるPA手前の上り坂へのサグにも設置すれば、かなりの効果が得られるのではないでしょうか。

 渋滞緩和のための付加車線の設置には、大変な費用がかかります。ましてや海底トンネルであるアクラインではほぼ不可能。しかしLEDライトを設置するだけなら、費用はごくわずかです。せっかく実績を上げているアクアラインのペースメーカーライトですから、もっと設置範囲を広げるべきではないでしょうか。