京急が踏切での脱線事故を想定し、復旧訓練を行いました。こうしたトラブル発生時、乗客としてはイライラすることもあるでしょう。

いったいそのとき、鉄道会社は何をしているのでしょうか。

踏切へ進入したクルマと衝突、脱線

 2015年10月15日(木)、京浜急行電鉄が京急ファインテック久里浜事業所(神奈川県横須賀市)で「第34回 鉄道事故復旧訓練」を行いました。動作中の踏切内にクルマが進入。列車がそれに衝突し、脱線したという想定です。

 同社によると、訓練には警察や消防などを含め203名が参加。見学者は572人で、そのうち100人は募集された一般見学者です。

京急では理解を深めてもらう目的でこの訓練を一般に公開しており、平日の日中開催にもかかわらず、定員の2~3倍もの応募があったといいます。

 訓練の流れは大きく「事故発生」「状況確認」「乗客の避難・救出」「復旧作業」というもの。その状況確認や関係各所への連絡では、正確な情報伝達を行うべく内容を逐次復唱するなど、決して拙速になることなく、確実な対応を行おうとする姿勢を強く感じました。

事故発生時、乗客はどうすべきか

 こうしたトラブルが発生した場合、乗客の立場としては不安を抱き、早くなんとかして欲しい、という気持ちを抱くことは普通で、イライラすることもあると思われます。

 ただ、“確実”を期そうとするそうした訓練内容を見ると、こうしたときは乗客も落ち着くことが、精神衛生的な意味でも好ましいのかもしれません。“二次災害”を引き起こしては、元も子もないでしょう。

 京急は、この訓練を通じて「事故発生直後の併発事故防止や、負傷者の救助、お客さまの避難誘導、脱線した車両の復旧、線路や電気設備の復旧などについて、一連の対応を改めて確認」したといいます。

 車内から車外への避難は、座席の活用も見られました。長い座席を組み合わせて“脱出スロープ”を設置。避難に活用されています。

荷台のある珍しい電車が救援に登場

 訓練では“救援列車”として、トラックのように荷台のある珍しい電車(デト17・18形)も登場。荷台に復旧機材と人員を搭載して、現場へ到着しました。

 今回の訓練では乗客の救助、脱線車両の復旧ほかクルマの撤去、破損した線路や架線の修理などが行われ、事故発生から復旧作業終了まで、およそ3時間半を要しています。

 この「3時間半」という時間を長いと見るか短いと見るか、人それぞれ、状況によって変わる部分ではあるでしょう。ただ早く復旧して欲しい、復旧したいというのは、乗客も鉄道会社も同じです。

 もちろん、鉄道会社側に乗客への充分な配慮が必要なことは言うまでもありません。