近鉄が特急サービスの全面リニューアルを発表。鉄道ファンから「スズメバチ」と呼ばれる車両が近い将来、見納めになりそうです。

ビジネス利便性、プレミアム感の向上が図られる名阪特急

 2015年11月12日(木)、近鉄は特急サービスのあり方を全面的に見直すことを明らかにしました。

 大阪と名古屋を結び、ビジネスや観光などで利用されている「名阪特急」については、1人用個室の導入などによる「プレミアム感の演出」、Wi-Fiや大型テーブル、コンセントなど「ビジネス向け各種設備の充実」、「プライベート感の向上」などが行われる予定です。近鉄によると現在、車内の「次世代特急プロジェクトチーム」が検討を進めているといいます。

 大阪・京都・名古屋と伊勢志摩を結び、ファミリー層や女性グループなどに利用されている「伊勢特急」については、「グループで楽しく過ごしていただける座席配置」「展望性にも配慮した客室構成」「映像コンテンツ配信など長時間車内でお楽しみいただける設備の充実」などが図られます。伊勢特急では2013年に観光特急「しまかぜ」が投入され、「伊勢志摩ライナー」のリニューアルも行われていますが、近鉄によると今後も伊勢特急の充実について、検討を予定しているそうです。

 名阪特急、伊勢特急、南大阪・吉野線の「さくらライナー」を除く、各線で通勤や観光など様々に利用されている「汎用特急」については、外観の変更といったリニューアルが行われます。

 そしてこれにより、近鉄の「スズメバチ」も見納めになりそうです。

「スズメバチ」も対象に

 汎用特急のリニューアルは、まずその主力車両である22000系「ACE」から実施。外観カラーリングが、クリスタルホワイトをベースにブライトイエローとゴールドを加えた「フレッシュなカラーリング」(近鉄)に変更されます。

 1958(昭和33)年に登場した世界初の2階建て高速電車10000系初代「ビスタカー」以来、近鉄が長年にわたり汎用特急で使用してきたオレンジと紺のツートンカラーが変更される形で、「近鉄特急の新たなイメージを創出」(近鉄)するといいます。

 新デザインになった22000系「ACE」は、12月13日(日)から営業運転を始める予定。12月5日(土)には、その車両を使った有料試乗会と撮影会が開催されます。

 塗装変更は、「ACE」以外の汎用特急車両でも2019年度にかけて順次行われる計画です。そのルックスから鉄道ファンより「スズメバチ」と呼ばれている22600系「Ace」、16600系「Ace」も対象に含まれているため、そのあだ名を生んだデザインは近い将来に見納めになる形です。

 また、今回行われる22000系「ACE」のリニューアルではインテリアにも手が加えられ、コンセントや「かさホルダー」を備えた新シートへの交換、温水洗浄便座の設置、客室内の全駅禁煙化と喫煙室の追加などが行われます。

 このほか、近鉄は各特急へ共通する今後の方向性として「車内販売または自動販売機による飲食サービスの向上」「全列車への喫煙室設置による分煙の強化」などを挙げています。