アメリカが最新鋭ステルス戦闘機F-35「ライトニングII」について、運用期間を延長する見通しを発表。このF-35、22世紀まで現役で飛び続けるかもしれません。

現在の最新鋭機は、22世紀でも通用する可能性があるのです。

21世紀の最多生産機になる可能性を持つF-35

 アメリカ国防総省は2016年3月24日(木)、最新鋭のステルス戦闘機であるロッキード・マーチンF-35「ライトニングII」の運用を、当初の予定よりも6年延長して2070年まで使用する見込みであることを明らかにしました。

 F-35は2015年、アメリカ海兵隊により垂直離着陸型F-35Bの初期作戦能力が宣言され実用化に至っており、2016年中には、航空自衛隊も導入する空軍型の陸上離着陸型F-35Aが初期作戦能力を獲得する予定です。

「2070年まで運用」というのは一見すると非現実的のように思えますが、F-35Aの耐用命数は設計上8000飛行時間であり、年間に200飛行時間を消化するとしても40年間の運用に耐えます。8000飛行時間という“寿命”は、現代戦闘機としてはごくありふれたものです。

 また「2070年まで運用」というのは、あくまでもアメリカ空軍・海軍・海兵隊における計画です。

 F-35は21世紀中、最も多く生産される戦闘機になるであろうという観測もあり、生産の完了は現在のところ、まったく予想もつきません。恐らく外国への輸出機に関してはさらに数十年、22世紀(2101年以降)まで運用されるものと推定できます。

 現用機のなかで特に寿命の長い戦闘機としては、ボーイングF-15E「ストライクイーグル」の16000飛行時間が挙げられます。目下、その最新型であるF-15SAが生産中であり、今後80年の運用に耐え得ることを考えれば、F-15Eもまた22世紀まで生き残り続ける可能性があります。

最新機が出ているだろう22世紀でも、F-35が有効な理由

 F-35やF-15がいくら構造上の寿命において22世紀まで使えるとしても、今後に登場するであろう次世代の新型戦闘機に対して、性能面で不安はないのでしょうか。

 実は現代戦闘機において、純粋な“飛行機としての機動性”はあまり重要視されていません(もちろん優れているほうが良いにしても)。

また将来における戦闘機の機動性も、恐らく現代機と比べてそれほど大きな差が生じるとは考えらていません。

 そのため、真に重要なコンピューターやレーダー、それらを制御するソフトウェアなどの戦闘システムをアップグレードすることで能力を向上させることができ、新鋭戦闘機と同等の性能を将来にわたって維持し続けることが可能であると推測されています。

 すでにこうした考え方は世界的に広く認められており、たとえば航空自衛隊のF-15J「イーグル」も、旧式の「F-15SJ」と比べ、搭載する電子機器やミサイルのほぼ全てを更新した「F-15MJ」は「別の機種である」と表現しても過言ではないほど、能力が向上しています。

 F-35もまた将来的には、ハイパワーマイクロ波や赤外線レーザーといった光速度の指向性エネルギー兵器の搭載、前線で機上3Dプリンターを使いドローンやミサイルを生成する能力、そして空中戦や対地攻撃能力を持ったドローン「UCAS(無人航空戦闘システム)」に対応する前線管制機能、高度化されたデジタルネットワークにおける端末としての能力などが付加され、いま生産されたばかりのものとは比較にならない戦闘能力を有すことになるでしょう。

 遠い将来、「21世紀の航空戦はF-35『ライトニングII』の時代」として語られるようになるかもしれません。そうでなくともF-35は、今後登場する「21世紀型戦闘機」においてひとつの指標となることは、ほぼ間違いないといえます。