インドの「ラファール」が撃墜された理由が報じられました。
長大な射程にうえ空中警戒機もついていた?インド空軍の「ラファール」がパキスタンとの軍事衝突の際に撃墜されたのは、当初の予想をはるかに上回る射程を持つ空対空ミサイルが使用されたためだったと、2025年8月2日付のロイター通信が報じました。
インド空軍が運用している「ラファール」(画像:インド空軍)
5月6日から7日にかけて発生したインドとパキスタン間の軍事衝突では、インド側が2機から5機の戦闘機を喪失したとされ、そのうち1機以上が「ラファール」であることが確実視されています。
ロイターが行ったパキスタン関係者8名、インド関係者2名への取材によると、当初インド空軍は、パキスタンが保有する中国製PL-15「霹靂(へきれき)」空対空ミサイルの射程を約150km程度と見積もっていたようです。
しかし、撃墜された「ラファール」は射程外と判断されていた約200kmの距離で攻撃を受けたと報告されています。
PL-15の輸出仕様(PL-15E)はこれまで最大射程150kmとされてきましたが、原型となるPL-15は射程200~300km以上とも言われており、アメリカ製AIM-120 AMRAAM(アムラーム)と同等の性能を持つアクティブ・レーダー・ホーミング式の長距離空対空ミサイルです。
この「ラファール」を撃墜したのは、PL-15と同じく中国製の戦闘機J-10Cの輸出型「J-10CE」でした。同機は欧米の最新鋭機で標準的な装備とされるAESA(アクティブ・フェーズド・アレイ)レーダーを搭載するなどの改良が施されており、現在もアップグレードが進められているF-16「ファイティングファルコン」に匹敵する性能を持つとされています。
さらに、パキスタン空軍はPL-15の長射程だけでなく、軍事衝突の直後からサーブ製FSR-890「エリアイ」早期警戒機を運用しており、これとJ-10CEとの間でデータリンクを確立。目標情報を共有し、PL-15ミサイルを発射して「ラファール」を攻撃したと見られています。
一方、「ラファール」はフランスのダッソー社が製造するマルチロール(多用途)戦闘機で、フランス本国では2000年から運用が始まっています。今回の撃墜は、実戦での「ラファール」の初の撃墜例となります。
同機はギリシャ、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)などでも運用されているほか、2020年代に入ってからはクロアチアやセルビアも購入を決定するなど、ステルス戦闘機を導入しない、あるいはコストや外交上の制約から導入できない国々にとって、有力な選択肢の一つとなっています。
ラファールか? これが、確認された機体の残骸です(画像)