神奈川・静岡県境地域の自治体が長年にわたり求めてきた「伊豆湘南道路」の実現に向けた動きが進んでいます。関係自治体が「第三の東名」と称するルートですが、現在はどのような状況なのでしょうか。
伊豆湘南道路は神奈川県小田原市、真鶴町、湯河原町、静岡県熱海市を経て函南町へ通じる新たな道路構想です。神奈川県側で西湘バイパスと、静岡県側で伊豆縦貫道と接続し、箱根の国道1号や相模湾沿いの国道135号の代替となる計画です。
1990年代から建設促進期成同盟会が結成され運動を続けてきましたが、2018年夏の台風による高波で国道135号が寸断されたことを契機に動きが活発化、2025年以降は「神奈川と静岡の県境をまたぐ道路(伊豆湘南道路)に関する委員会」に国土交通省の担当者がオブザーバーで参加するようになり、国のコミットが明確になりました。
そして2026年度の関東地方整備局における事業概要では、「計画の具体化に向けて神奈川県及び静岡県と連携して、東名、新東名、国道1号の代替性など、広域的な視点も含めた道路として求められる機能や役割に加えて、地形・地質上の課題等の検討を進めます」と、以前よりも具体的に検討を深める方針を示しています。
前出の委員会で直近に開催された第6回(2026年3月23日)では、これまでに挙がった課題と対応状況の、2025年に行われた第2回目の意見聴取の結果などが確認されました。回収された意見は全体で3万4227件で、周辺住民からの回答は1回目の約6倍、企業・団体等からの回答も約2倍になったといい、知名度の向上が伺えます。
「どこにトンネルを通すか」技術専門部会も初報告また、ルート帯を絞り込むための「技術検討専門部会」の報告も初めて行われました。静岡県側の接続先は伊豆縦貫道の一部をなす東駿河湾環状道路の函南ICが想定されますが、神奈川県側の接続先を西湘バイパスにするのか、小田原厚木道路にするのか、そして地形・地質・地下水や災害リスクも踏まえた「重点検討エリア」について、技術的な課題や配慮すべき事項を整理する方針となりました。
技術検討専門部会は「伊豆湘南道路を規格の高い道路とした場合、山間部はトンネルが一定区間続くことが想定される」としており、重点検討エリアとして「箱根山」「湯河原・熱海温泉」「丹奈盆地周辺」「沿岸部」「神奈川県側接続先」の5つにするとしています。
それぞれ、火山による熱水変質帯や火山ガスのリスク、源泉への影響、断層や地滑り帯のリスク、沿岸部を通した場合の土砂災害・津波などのリスク把握などを進める構えです。
伊豆湘南道路ができると、静岡の東名・新東名から、神奈川の海沿いを経て、東京まで自動車専用道でつながる計画です。このため、関係自治体は伊豆湘南道路を「第三の東名」とアピールしているのですが、丹那トンネルなど歴史的にも“超・難工事”が行われたエリアを貫くため、慎重な検討が進められると見られます。
今後は、「神奈川と静岡の県境をまたぐ道路(伊豆湘南道路)に関する委員会」が「技術検討専門部会」の報告・意見を踏まえながら検討を進め、さらに一般の意見聴取も行いつつ、概略ルートを決定していく方針です。

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