ヤマハのバイク「MT」シリーズが、車両のカラーデザインコンテストで2輪車として初のグランプリを獲得しました。黄色く塗られたホイールが受賞の決め手となりましたが、これは本来、タブーとされていたことだそうです。

バイク初の「オートカラーアウォード」

 2017年12月、ヤマハのバイク「MT」シリーズ(MT-10、MT-09、MT-07)が、日本流行色協会(東京都千代田区)主催の車両カラーデザインコンテスト「オートカラーアウォード2017」でグランプリを獲得しました。

タブー打破した「黄色いホイール」なぜ誕生? ヤマハ「MT」、...の画像はこちら >>

ヤマハMT-10。シリーズにはMT-9、MT-7もある(画像:ヤマハ)。

「オートカラーアウォード」は、車両カラーデザインの企画力や、内外装の美しさなどを顕彰するコンテストとして1998(平成10)年度から毎年開催されています。2016年度はマツダ「ロードスター」、2015年度はスズキ「アルトラパン」など、これまでのグランプリはすべて4輪車でしたが、今回初めて2輪車が受賞しました。

 日本流行色協会は「MT」シリーズの受賞理由を「通常、タンク部分が目を引くというバイクのデザインの中で、タイヤに注目させるという発想が新しく自由な印象をうける。

(中略)ホイール部分に色をつけることはタブーとされてきたが、マーケットを意識しすぎず、デザイナーが自分の意志でその常識をくつがえした」などとしており、着色されたホイールが評価の決め手になったようです。なお、「MT」シリーズにはボディー、ホイールとも複数の配色パターンが設定されていますが、今回受賞の対象となったのは、グレーのボディーに黄色いホイールというパターンです。

 この「黄色いホイール」というアイデアについて、ヤマハに聞きました。

――受賞の感想はいかがでしょうか?

「オートカラーアウォード」は2014年度から4輪車のほか2輪車も対象となり、当社では2015年度、2016年度に2輪車で特別賞を受賞しているのですが、グランプリは初めてです。4輪車が主流のコンテストですので、受賞は意外でもあり、うれしくもあります。これを機会に、バイクへ注目が集まればうれしいです。

受け入れられるギリギリを攻めた「黄色ホイール」

――ホイールを塗装した車種はほかにもあるのでしょうか?

 はい。スポーツモデルのバイクを中心に、ホイールを青や黒などに塗ったものがあります。いずれも近年ラインアップに加わったものです。

――「黄色いホイール」というアイデアはなぜ生まれたのでしょうか?

 お話しした通り青や黒など、バイクで好まれそうなホイールの色はあったのですが、保守的な「当たり前」を壊して、受け入れられるギリギリのラインを攻めてみたい、ということで黄色を追加しました。

――なぜホイールへのカラーリングが「タブー」といわれるのでしょうか?

 塗装が細かく欠ける「チッピング」が発生し、それが目立ちやすくなるという恐れからです。個人のカスタムとしてホイールが塗装されたバイクを見ることはありますが、メーカー標準においては珍しいかもしれません。

ただ、チッピング防止のために特別な塗料を使っているわけでもありません。

 実際にチッピングが目立つかどうかは、色によっても異なってくるとは思いますが、青や黒のホイールでの実績から、黄色でもいける、と判断しました。
 
――こうしたカラーホイールのバイクは、今後も増やしていくのでしょうか?

 はい。この黄色いホイールの「MT」のコンセプトは「受け入れられる非常識」です。当初は社内でも賛否が分かれたものの、売り上げは好調で、「モーターサイクルの当たり前を変えたい」という当初の狙いは達成したと考えています。今後も“攻めて”いくつもりです。

タブー打破した「黄色いホイール」なぜ誕生? ヤマハ「MT」、車両色コンテストでバイク初の王冠

「オートカラーアウォード2017」会場の様子。ノミネート車両は4輪車が多いが、2輪車は川崎「Ninja」やホンダ「モンキー」もある(画像:日本流行色協会)。

※ ※ ※

 ヤマハは、この黄色いホイールの「MT」のような、いままでにないカラーリングのバイクを通じて、「若いマインドを持った、いままでバイクにあまり興味のなかった層にアピールしていきたいです」としています。

【画像】「オートカラーアウォード」過去4年のグランプリは?

タブー打破した「黄色いホイール」なぜ誕生? ヤマハ「MT」、車両色コンテストでバイク初の王冠

2013年度から2016年度までの「オートカラーアウォード」はいずれも4輪車(画像:日本流行色協会)。