新車を購入して一般に貸し出す大手レンタカー会社で、世間の平均と比べると大幅に短い期間で車両を入れ替えています。古いクルマはその後、中古車市場に流れますが、年式も新しく「お買い得」なのでしょうか。

2年で走行距離7~8万kmも

 日本では自動車の「高齢化」が進んでいます。自動車検査登録情報協会(東京都千代田区)によると、2017年3月末時点において、日本でナンバープレートを付けている乗用車(軽自動車除く)約4000万台の平均車齢は8.53年で、23年連続で「過去最高齢」になったといいます。

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レンタカーは2~3年周期で入れ替えられるという。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 これに対し、レンタカーでは「最新車種に乗れる」ことを宣伝材料のひとつとしているケースもあります。どれくらいのサイクルで車両を入れ替えているのでしょうか。

全国で「ニッポンレンタカー」を展開するニッポンレンタカーサービス(東京都千代田区)に聞きました。

――レンタカーはどれくらいのサイクルで車両を入れ替えのでしょうか?

 乗用車では、だいたい2年、地域によっては3年です。というのは、ご利用の地域格差が相当あるためです。東京など都市部ではご利用が多いので、走行距離は2年で7~8万kmになりますが、地方ならば4~5万kmといったところでしょう。10万kmに達した車両には乗りたがらないお客様もいらっしゃるので、それに対応するためのサイクルでもあります。

――新型車両が出ると、一斉に入れ替えるのでしょうか?

 いえ、段階的にです。

新モデルの発売から入れ替えを進め、1年くらいかけて(そのモデルの)全車が切り替わります。とはいえ近年はモデルチェンジのサイクルが5年から7年と全体的に長くなっていることもあり、おおむねどのクラスでも新しいクルマをご提供できています。

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 あるレンタカー業界団体の関係者も、やはり大手ではレンタカーの寿命は乗用車で2~3年だといいます。「事業者や車種によっても異なるので一概には言えませんが、コンパクトカーなどの高稼働車両でも、3年いくかいかないかくらいでしょう。走行距離は、ものによっては10万kmを超えますが、点検整備はしっかりしています」と話します。

その後は中古市場に放出 一般人には「お買い得」なのか?

 入れ替えられた古い車両はその後、レンタカー会社から国内外の中古市場に放出されるそうです。

その際、どのようなクルマを入れ替えていくかという点に、各社の戦略があるのだとか。

「業界では『夏季増車』といい、繁忙期である夏に向けて台数を増やします。9月、10月にはそのぶん『減車』をするのですが、そこで夏前に増車したぶんを売却するか、更新サイクルに応じ古いタイプのクルマから出していくかは事業者それぞれです。たとえば、『アルファード』など中古車市場で人気の高いクルマを早く売却したり、バンやトラックなど冬に稼動が少なくなるクルマを出していく場合もあります」(レンタカー業界団体関係者)

 こうした事情もあってか、レンタカーだった車両を一般向けに販売している中古車販売店によると、市場に出てくる車両は必ずしも初度登録から2~3年程度の車両が多いというわけではないといいます。全体的な傾向としては、「走行距離は通常の中古車より多い傾向で、不特定多数の方が乗られていますので外内装についてもそれ相応、ということになりますが、年式の割には安めに感じられるものが多いのではないでしょうか」とのことです。

 ちなみに、近年は格安を売りにするレンタカー事業者も増えています。

前出のレンタカー業界関係者によると、大手レンタカー会社が基本的に新車を購入して事業を行うのに対し、「格安系」の事業は中古車の在庫を活用し、車両原価を低減することで低価格を実現しているのだとか。それは「レンタカーの中古車」ではなく、一般車を出自とする中古車を使うケースが一般的だそうです。

【グラフ】貨物・乗合は10年越え 日本における「平均車齢」の推移

長い? 短い? レンタカー「2年で入れ替え」の背景 中古車ではお買い得か

20年間における「平均車齢」の推移。2017年3月末現在で乗用車は8.53年、貨物車は11.32年、バスやタクシーなどの乗合車は11.84年となっている(自動車検査登録情報協会の画像を加工)。