しなの鉄道が、115系に代わる新型車両の概要を発表。26編成のうち3編成は有料ライナー用車両として、座席の向きを変えられるタイプを導入する計画です。

115系電車を置き換え

 しなの鉄道は2018年5月31日(木)、老朽化が進む115系電車の置き換えとして、2019年度から2026年度にかけて新型車両を導入すると発表しました。

しなの鉄道、新型車両26編成を導入へ まず「有料ライナー」用...の画像はこちら >>

総合車両製作所の「sustina」を採用したJR東日本のE129系電車(2016年5月、草町義和撮影)。

 現在、しなの鉄道はJR東日本から譲渡された国鉄型電車の115系22編成(59両)を保有。1978(昭和53)年に製造された車両が多く、また、すべての車両は製造から約40年が経過しているといいます。同社によると近年は故障件数が増加。さらにJRでの115系の廃車が相次ぎ、部品調達が困難化していることから、早期の車両更新が必要としています。

 導入を計画している新型車両は、JR東日本グループの鉄道車両メーカー、総合車両製作所(J-TREC)の「sustina(サスティナ)」モデルを採用します。共通プラットフォームによる設計費の低減や、他社での運用実績があり初期不良のリスクが低減できるなどのメリットがあります。

 車体は軽量ステンレス鋼。車いすスペースや車いす対応洋式トイレ、自動制御式冷暖房、乗客がボタンを操作して開閉できるドアなどを導入。駅ホームと車両の段差は、現行115系の305mmから、新型車両は210mmに減ります。かさ上げされた箇所では、ほぼフラットといいます。

有料ライナーの座席は「クロス」「ロング」転換

 車両は2両×26編成を導入。収益性を考慮し、初年度は有料ライナー対応型の車両を3編成導入する計画です。

 有料ライナーは現在の快速列車の一部を変更するなどして朝夕に運行。土休日も観光用として使用する予定です。座席は向きを転換できるタイプで、有料ライナー時は、2人掛けの座席が進行方向を向いたクロスシートで、一般列車時は窓に背を向けて座るロングシートで使用されます。ライナー用車両の定員は228人、うち座席定員は80人です。

 一般車両はロングシートと4人用のボックス席(クロスシート)を組み合わせて配置。定員は270人で、うち座席定員は100人です。座席間隔は115系の430mmから、新型車両はライナー用車両、一般車両ともに540mmへと広がります。

 車両更新の総事業費は約110億円です。このうち車両購入費などの106億8000万円は、国としなの鉄道が3分の1ずつ、長野県と沿線市町が6分の1ずつを負担します。車両付帯設備費の3億8300万円はしなの鉄道が全額を負担します。

 導入初年度は、2019年4月に車両を発注し、2020年3月以降に納車、試運転を実施。2020年7月ごろに営業運転が始まる予定です。

【画像】ライナー用車両と一般車両で異なる座席配置

しなの鉄道、新型車両26編成を導入へ まず「有料ライナー」用から

新型車両の座席配置イメージ。ライナー用車両と一般車両で異なり、さらにライナー用も座席の向きを転換できる(画像:しなの鉄道)。

しなの鉄道、新型車両26編成を導入へ まず「有料ライナー」用から

2両または3両編成で走るしなの鉄道の115系電車(画像:しなの鉄道)。