那覇市の繁華街「国際通り」の交差点で、信号を停止し、交通渋滞の緩和につなげる実験が始まりました。信号の間隔や、その交差点ならではの地理的要因が渋滞を引き起こしているといいますが、停止した結果、どのような効果が生まれているのでしょうか。

信号の設置間隔が短すぎる故に…

 那覇市の中心部付近にある交差点で、交通渋滞の緩和を目的に信号の運用を終日停止する実験が行われています。

隣の交差点と近すぎる信号、停止してみてどうなった? 那覇・繁...の画像はこちら >>

国際通りにある交差点で信号を停止する実験が行われている(画像:那覇市)。

 場所は県庁からおよそ500m東側、道幅の広い「国際通り」に、脇道である「浮島通り」と「ニューパラダイス通り」が交わる交差点です。沖縄随一の商店街である国際通りのほぼ真ん中に位置し、クルマも歩行者も多いところですが、2018年7月18日(水)から信号機にカバーがかぶせられています。

 那覇市の都市計画課によると、渋滞の理由は、ひとつとなりの信号との間隔が近すぎるためだといいます。同課に話を聞きました。

――なぜ信号を停止する実験を行っているのでしょうか?

 当該の交差点は、ひとつ西側にある松尾交差点からの距離が30mほどと短く、これに起因する渋滞を解消するためです。松尾交差点で信号を待つ国際通りの車列によって、浮島通りから国際通りへの左折や、ニューパラダイス通りから国際通りへの右折ができずに、両通りでクルマが滞留してしまうのです。ニューパラダイス通りからの右折車が、国際通りの真ん中をふさいでしまうこともあります。

 逆に、この交差点で信号を待つ国際通りの車列によって、松尾交差点側でも渋滞が発生しています。松尾交差点で国際通りに交わる一銀通りでは、国際通りへ左折できない車列が連なり、直進車にも影響を及ぼしている状況です。

大きなデメリットも発覚

――なくすことでどんな効果が生まれていますでしょうか?

 まだ正確なデータが出ていませんが、当該交差点の信号がなくなったことで、各通りがスムーズに流れている印象です。

浮島通りやニューパラダイス通りではドライバーの判断で右左折ができるようになりましたが、それぞれの通りに注意喚起の看板を新設していることもありドライバーも徐行していて、歩行者とぶつかりそうになるようなシーンは見られません。歩行者も自己判断で、余計なストレスなく通行できるようになったのではないでしょうか。

――デメリットはないのでしょうか?

 視覚障がい者の方にご迷惑をおかけしていることです。当該交差点付近にある松尾バス停から、浮島通りの横断歩道を渡って福祉施設へ向かわれる方が多いのですが、横断歩道の音声装置も停止しているため、付近の方に「渡れますか」と声をかけて渡っておられるような状況で、対応を依頼されています。実験に際して見落としていた点で、反省せねばならない大きなデメリットと認識しています。対策を現在検討中です。

※ ※ ※

 車両側の信号のみを停止し、歩行者用はそのままにするということも考えたそうですが、車両だけが自己判断で通行するのは危険ということで、すべての信号を停止することになったといいます。ちなみにこの交差点は、浮島通りおよびニューパラダイス通りにのみ横断歩道があり、歩行者は国際通りを横断することはできません。

隣の交差点と近すぎる信号、停止してみてどうなった? 那覇・繁華街のど真ん中で実験

手前は浮島通りから国際通りへ左折するクルマ(画像:那覇市)。

 那覇市都市計画課はこのほかの混雑箇所にも、どのような対応ができるかを検討していくといいます。「場所ごとに混雑の要因は異なります。今回のように、信号をなくすということで視覚障がい者の方に影響を及ぼすこともありますので、慎重に検討していきます」と話します。

今回の実験は、2019年1月18日(金)まで実施される予定です。