かつて関東から中国地方にかけ、多くのJR線で走っていた国鉄型の普通列車用電車「115系」。約1900両も製造されましたが、近年は急速に廃車が進み、運行路線も大幅に減っています。

115系がいまも運転されている路線をまとめました。

車両数は分割民営化時の2割を切る

 JR線の普通列車に使われてきた電車「115系」が、急速に数を減らしています。車両数は約30年前の国鉄分割民営化のころに比べ、2割を割り込みました。

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新潟エリアの115系電車。写真の上越線からは引退した(2013年5月、草町義和撮影)。

 115系は1963(昭和38)年に製造が始まった、普通列車用の国鉄電車です。

国鉄在来線の電気方式は3種類(直流1500V、交流2万V/50Hz、交流2万V/60Hz)ありますが、115系は直流1500Vで電化された路線に対応しています。

 車体の内外は、115系に先立ち開発された111・113系電車とそっくり。座席は昔懐かしい4人掛けのボックス席のほか、ドア付近には通勤電車と同じレール方向の座席を設けており、短距離の通勤輸送から中距離の行楽輸送まで、幅広く対応しました。

 一方で111・113系とは異なる部分もあり、雪や寒さに強い構造の車体(耐寒耐雪構造)を採用。抑速ブレーキという急勾配に対応したブレーキも装備し、これにより上越線や中央本線など、雪深い山岳地帯も走れるようになっています。

 関東、中部、近畿、中国の各地に導入され、座席間隔の拡大や耐寒耐雪構造の強化、冷房装置の搭載など改良を重ねながら、1983(昭和58)年まで約1900両が製造されました。

国鉄が分割民営化された1987(昭和62)年4月1日時点では、JR東日本JR東海JR西日本の本州3社が合計1875両の115系を引き継いでいます。

 1960年代の国鉄型車両の面影を強く残した車両ですが、寄る年波には勝てず、近年は新型車両の導入に伴う廃車が進んでいます。2019年4月1日時点の車両数は318両(訓練用や引退後も廃車扱いになっていない車両を含む)。国鉄分割民営化時点の約17%です。

新潟エリアは残りわずかに

 JR東日本では、関東エリアと甲信エリアでの運転が終了。いまは新潟エリアに21両(3両編成7本)残っていますが、普通列車の多くは新型のE129系電車に置き換えられており、115系を見かける機会は大幅に減りました。

なお、新潟エリアの115系は、えちごトキめき鉄道の妙高はねうまラインにも乗り入れています。

引退近づく! 坂と寒さに強い国鉄電車「115系」いまどこを走っている?

山陽本線を走る115系(2019年7月、草町義和撮影)。

 JR西日本では291両と比較的たくさん残っており、そのほとんどは中国地方の山陽本線と同線から分岐する路線で運転されています。広島を中心としたエリアでは、2019年3月のダイヤ改正にあわせて引退しました。なお、JR東海の115系は2007(平成19)年までに引退しています。

 このほか、長野県の第三セクター・鉄道が、JR東日本から譲り受けた115系を59両保有しており、JR線にも乗り入れています。

2014(平成26)年には、3両編成1本が観光列車「ろくもん」用として改造されました。ただ、鉄道はSR1系電車という新型車両の導入を計画。将来的には大半の115系がSR1系に置き換えられるとみられます。

 2019年8月5日時点で115系の普通列車が運行されているおもなJR線は、次の通りです(ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2019夏』などによる)。

JR東日本

・信越本線 篠ノ井~長野(鉄道115系の乗り入れ)
・信越本線 直江津~新潟(えちごトキめき鉄道の妙高はねうまライン 新井~直江津間に乗り入れ)

・弥彦線 東三条~吉田

JR西日本

・山陰本線 綾部~城崎温泉
・舞鶴線
・山陽本線 姫路~三原
・ 播州赤穂~東岡山

・本四備讃線(瀬戸大橋線) 茶屋町~児島
・伯備線
・福塩線 福山~府中
・山陰本線 伯耆大山~西出雲
・山陽本線 岩国~下関

※一部修正しました(8月9日19時05分)。