イギリスのバンド「コールドプレイ」が、観客の飛行機移動による環境負荷からワールドツアーを中止。一方、同国にはメンバーが飛行機を操縦しツアーするバンド「アイアン・メイデン」も存在。

ジャンボの「専用機」まで運航しています。

ボーカルは航空会社のパイロット

 イギリスのロックバンド「コールドプレイ(Coldplay)」がワールドツアーを中止しました。その理由を同バンドのボーカル、クリス・マーティンさんは2019年11月21日(木)、「観客が飛行機で移動することで、大量の温室効果ガスが発生するため、環境への負荷が大きい」としているそうです。

 一方、同じ国には、バンドメンバー自ら飛行機を操縦してワールドツアーを行う、世界的にも名高いバンドがあります。1980(昭和55)年にデビューしたヘヴィ・メタルバンド「アイアン・メイデン(IRON MAIDEN)」です。

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羽田空港に飛来したアイアン・メイデンのボーイング747「エドフォースワン」(2016年4月、伊藤真悟撮影)。

 このバンドのボーカル、ブルース・ディッキンソンさんは、イギリスのアストライオス航空で、ボーイング757型機のパイロットだった経歴をもっています。

 その前歴を生かし、2008(平成20)年に行われた同バンドのワールドツアーでは、アストライオス航空のボーイング757型機をチャーター。ディッキンソンさん自ら操縦のもと、45日で5大陸を飛び回り、23公演を行いました。機内へ積み込まれたのは主に、機材やステージセットですが、ファンが会場国へ移動する際のフライトも、ファンサービスで担当したともいわれています。

 チャーター機の尾翼には、CDのジャケットに登場するキャラクター「エディ・ザ・ヘッド(Eddie the Head)」が描かれ、胴体にはバンドのロゴも。愛称はファンからの応募で選ばれた、アメリカの政府専用機「エアフォースワン(Air Force One)」をもじった「エドフォースワン(Ed Force One)」です。

伝説はこれだけでない! B747の新「エドフォースワン」導入のワケ

「エドフォースワン」の伝説は、これだけではありません。

 2016年に行われた「アイアン・メイデン」のワールドツアーに先駆け披露された新「エドフォースワン」は、日本でもなじみ深い「ハイテクジャンボ」ことボーイング747-400型機。エールフランス航空に所属していた機体で、もちろん「エディ・ザ・ヘッド」が描かれ、航空会社のロゴの代わりに「IRON MAIDEN」のバンドロゴが入っています。

「ジャンボ」投入の理由は、バンドの機材やセットが、ボーイング757型機では積みきれなくなったこと。ディッキンソンさんはこのためにボーイング747型機のシミュレーター訓練を重ね、資格を獲得したそうです。

「飛行機環境に悪い」でツアー中止の一方 自ら「ジャンボ」操縦 世界渡るバンドの伝説

ボーイング747「エドフォースワン」全景。
エンジンにもペイントされている(2016年4月、伊藤真悟撮影)。

 2016年の「アイアン・メイデン」ワールドツアーでは、「ジャンボ」バージョンの「エドフォースワン」が4月18日に羽田空港へ飛来。両国国技館で2日間行われた公演のためでした。

 なお「アイアン・メイデン」は2020年にもワールドツアーを計画しており、5月に横浜と大阪で公演が行われる予定です。