航空自衛隊が新たに導入する空中給油・輸送機KC-46Aは、鳥取県にある美保基地に配備される計画です。しかし、配備が目前に迫っているにもかかわらず地元自治体から最終合意を得られていません。

新型コロナの猛威が空自の新型空中給油機にも影響

 防衛省中国四国防衛局は2020年9月3日(木)、鳥取県境港市にある航空自衛隊美保基地にKC-46A空中給油・輸送機を配備するにあたり、鳥取県に対して再協議の申し入れを行いました。

 基地の地元である境港市および米子市はKC-46Aの配備に同意していますが、鳥取県は最終的な同意の判断を留保していることから、防衛省として同意を得るために行った模様です。

 なお一部報道によると、鳥取県は配備に向けた準備を進めることは認めているものの、改めて最終的な判断は留保する考えを示したとのことです。

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アメリカ空軍のKC-46A(画像:ボーイング)。

 航空自衛隊は当初、KC-46Aを2020年度に1機、2021年度に1機配備する計画だったものの、新型コロナなどによる影響で機体の製造が遅れ、最初の機体の配備が2021年度にずれ込むといいます。

 なおKC-46Aの調達は、当初3機の予定でしたが、のちに追加取得が決まり、2020年現在では6機導入される計画です。

この6機で美保基地に1個飛行隊が新編される見込みです。

既存のKC-767とソックリのKC-46A でも性能は大違い

 航空自衛隊は2020年現在、ボーイング767-200旅客機がベースのKC-767空中給油・輸送機を4機運用しています。同機は2010(平成22)年度から本格的に運用されていますが、空中給油機としてだけでなく、航空自衛隊が保有する最大の輸送機として海外派遣任務などにも多用されるようになったことから追加調達が検討され、2015(平成27)年度に選定されたのがKC-46Aでした。

空自が導入予定の新型機 KC-46A空中給油・輸送機とは? いまだ地元から最終同意得られず

F-15J戦闘機に空中給油を行う航空自衛隊のKC-767(画像:航空自衛隊)。

 KC-46Aは、KC-767と同じくボーイング767-200旅客機がベースですが、主翼や降着装置などは大型のカーゴタイプである767-300Fのものを流用しているため、全長や全幅(翼幅)などがKC-767よりも大きくなっています。なお、この大型化により燃料搭載量もKC-767の72.877tから96.297tへと増加しています。

 またジェットエンジンも、KC-767が搭載するGE(ゼネラル・エレクトリック)製ターボファンエンジンよりも強力な、プラット・アンド・ホイットニー製ターボファンエンジンに換装されています。

 ほかにも、KC-767の給油装置は機体後方下部にあるフライング・ブーム式ひとつしかありませんでしたが、KC-46Aは主翼下に左右ひとつずつ、ブローブ・アンド・ドローグ式を装備するため、給油装置の数が異なるのも特徴です。