大手リース会社などが手掛ける航空機オペレーティングリース投資は、短期的な損金算入率が高く、収益も比較的安定し、中小企業の節税対策として人気を集めてきた。
だが、人気の陰でベトナムの航空機リース投資を巡り異変が生じている。
昨年、長引くコロナ禍の影響を受けたベトナムの航空会社2社がリース料の支払猶予を要請した。これを発端に2021年後半以降、リース投資のスキームが事実上、頓挫した。さらには債権を買い取った投資ファンドが航空機の差押・競売に動くなど、トラブルが噴出している。
2021年12月17日、航空機リースを目的とした日本のSPC2社が米国ニューヨーク州南部地区破産裁判所に連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請した。
このニュースは国内では報道されず、今年1月5日、東京商工リサーチ(TSR)の配信で知れ渡った。
2社は1部上場企業の系列で、オペレーティングリース投資として匿名組合から出資を募り、関係会社を経由したサブリースのスキームで、ベトナム航空に対するエアバスA350 型機のリース事業を手掛けている。
ところが、新型コロナ感染拡大を受けてベトナム航空の経営が悪化。リース料支払いの猶予要請を理由に、主要債権者が航空機のリース契約の解除と投資ファンド、FitzWalter Capital Partners(Financial Trading)Limited(イギリス、以下FW社)への債権譲渡を行った。
さらにその後、FW社は債務者に通知しないまま、航空機の差押・競売に向けた手続きを開始した。SPC2社はこれに対抗し、「リース物件である航空機は適切に売却すれば、すべての債権者に還元・配当できるだけの価値がある」として、匿名組合の債権を保全するためにチャプター11を申請した。