世の中に存在するリールの大体が右か左のどちらかにハンドルがついている。釣りの動作に大きく関わってくるだけに、どう選ぶかは大事な問題だ。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
リールハンドルの機能
リールは釣り具の中で唯一、ギアが入っていてハンドルを回転させることでラインを巻く。スピニングリールならハンドルを巻けば、糸巻きの役目をするスプールの周囲をラインを引っ掛けたラインローラーが回ることでスプールにラインを巻いていく。

ベイトリールや両軸リールではハンドルを巻けば、スプールそのものが回転することでラインを巻き取っていく。電動リールはハンドルを回す部分が電動モーターによって動くだけで基本的にはシステムは同じだ。

仕掛けを回収する時、魚が掛かってやり取りをする時、ちょっとしたラインのテンションを調整する時など、ハンドルはしょっちゅう手で持って巻いたり、手から離したりとアクションの多い部分である。
ハンドルを巻く速度は一定ではなく、ゆっくりと巻いたり、時には素早く巻くことも必要だ。そんな自由自在にハンドルを操作するには、ハンドルに合わせてスムーズに円を描くように手を動かす必要がある。
ハンドルは右?左?
ところで人の多くは右利きか左利きのどちらか。お箸を持つ手、えんぴつやボールペンで字や絵を描く方の手など、その人によってやりやすいのは右なのか左なのかが分かれることだろう。幼い頃に矯正する人も居るかもしれないが、それは練習や慣れによる変更ともいえる。
釣りに関していうと、たとえばリールを扱う際には竿を持つ手とリールのハンドルを巻く手が、左右どちらかになる。これも利き手と同じで、ハンドルを巻きやすい方の手が人によって違う。

ハンドルは付け替えられる
よく、波止などで釣りをしているビギナーファミリーを見ていると、子供さんが必死にリールのハンドルを巻き上げているが、なにかぎこちなく巻きにくそうにしているシーンに出くわす。
「リールのハンドルを巻くことに慣れてない」や「力がないからぎこちない巻き方になる」といいながら笑って見守る親御さんもいる。確かにそれもあるだろう。
大半の人がまず、リールのハンドルを付けかえるという概念がなかったり、付けかえることができるのを知らなかったということが多い。
このように人によって動かしやすいリールのハンドルの方向がある。右利きなので右で巻いた方がやりやすいという人も多いのだが、それだけではないようだ。釣りをスムーズに快適にする上でも、自分の巻きやすい側にリールのハンドルを付けておくことを覚えておいてほしい。
やり取りの方法から考える
強い引きに角度を保って耐える(竿でためると表現する)時にはもちろん竿を保持する力が必要だ。ということは力のある利き手で竿を持つのが良い釣りもある。

逆に竿自体を支えるより、竿先が垂れ下がったくらいの角度で保持して、ラインの出し入れでやり取りをする釣りもある。タイラバやスロージギングなどは、魚の引きを真っ向から竿で受け止めるのではなく、軟らかい竿を使ってラインの出し入れで魚を弱らせ浮かせる。
投げやすさから考える
投げ釣りやチョイ投げ、ルアーフィッシングなどで必要な、仕掛けなどを「投げる」という動作を伴う釣りも多い。スピニングタックルの場合、リールの脚付近を持つ手の指で糸の放出も調整する。もう片方の手は、竿尻付近を持ち、竿尻を引きつけて、逆の手を前に出すことで竿を強く振ることができる。

ここでよく確認したいのは、基本的に投げる時にはリールの脚付近を持つ手の側に竿を振りかぶるということだ。右手でリールの脚付近を持っていれば、頭の右側から竿が振られる。
ここでも右側から投げた方が良いのか、その逆なのかで、持つ手の位置がかわってくる。
投げる動作には次の動作も関わってくる。たとえば、竿を振って仕掛けを海に投入したら、竿尻を持っている手は竿から手を放して今度はリールのハンドルを巻く体勢に入る。この時に、反対側の手でないとハンドルが巻きにくいと感じれば、竿を持ちかえる必要がある。
ルアーなど着水したら間髪入れずすぐさま巻き取り始めたい釣りでは、竿を持ちかえるのも手間ということで、右側からキャストする人は左巻き、というシステムを推奨する人もいるくらいだ。確かに、何回も投げる動作をする釣りなら、竿の待ちかえはいちいち面倒になってくるかもしれない。
ベイトリールの場合
ちなみにベイトリールの場合はリールのスプールを押さえておいた指を、投げる時に緩めることでスプールが自由に回転してラインが放出されるが、投げる、持ちかえるといった動作については原理は同じだ。

筆者の場合
参考になりにくいかもしれないが、筆者の場合は基本的に右利きだが、古くから両方の手を使って釣りをしているので、実をいうと釣りに関してはどちらでも構わない。投げるのも左右どちらでも大丈夫だし、リールもどちら側のハンドルでもOKだ。しかし、竿の動かし方によっては苦手な方向もある。
たとえば船のカワハギ釣り。揺らしたり弛ませたり、微妙なテンションを入れたり抜いたり、時には激しくたたき、アタリと見れば即アワせる。この場合、竿を右手で持たないと微細な動きができないため、ハンドルは左手巻きである。
ベイトリールに関しては、カワハギ釣りとイカメタルなど細かな動きを必要とする釣りに関して左手巻きが中心。タイラバやジギング、船タコ、タチウオなどは電動リールも含めて右巻きで対処することが多い。
同じ理由で、スピニングタックルの場合は、アジング、メバリング、エリアトラウトなどのライトで繊細な動きを必要とする釣りでは左手巻き、投げ釣り、チョイ投げ、シーバス、ショアジギングなどは右手巻きタックルを持参している。
これはどちらかというと、「竿を持つ手」を主眼としていて、その先にハンドルを回す動作が付いてくる感じ。強いていえば、半強制的にハンドルを巻く方の手を決定している。ハンドルをどちら側に付けるのか?という疑問に対しては、「巻きやすい方」、そして「竿の用途による」といういい方もできる。
練習すれば慣れる
ちなみにフカセ釣りでは、多くの人が竿を持ったまま、反対の手でマキエシャクを使ってまきエサを撒く動作を伴う。筆者も以前は、フカセ釣りをする際に、仕掛けを投入したら竿を左手に持ちかえて、右手でマキエシャクを持ってまきエサをしていたが、「左手でマキエシャクを使えれば便利だなあ」と思うようになり、慣れないながらも左手でマキエシャクを使い始めた。
以降、左手でまきエサを撒き続けていると、いつの間にか慣れてしまい、今では右手で撒いた方がぎこちない状態になってしまったくらい。つまり、右利き、左利きで最初はやりやすい方があるハンドルの方向も、練習と慣れでかなりできるようになる。
まとめ
今回紹介したように、「リールのハンドルをどちらの手で巻くのか=ハンドルを左右のどちらに付けるのか」の大きな要因としては、「ハンドルを巻きやすい方」と「用途に応じた必要性」を考える必要があるが、釣りにそこまで慣れていない人なら、まずは「巻きやすい方」を選択すると良いだろう。
その上で竿を使うアクションなどでどうしても竿を持ちたい方の手が出てくれば、練習をする……といった具合だ。
注意点
ハンドルを左右で簡単に付けかえる機種も多いが、最初から右ハンドル機、左ハンドル機といった具合にどちらか片方のセッティングしかされていない専用機もあるので、購入の際には気を付けて見ておきたい。また、ハンドルの方向をかえるためにあらかじめ付属している部品などが必要な場合もあるので注意しておきたい。
また、釣り場でハンドルを外して反対側に付けるのも、本来はあまり良くない。細かなネジなどの部品やハンドルまでも海に落としてしまったり、なくしてしまう可能性があるからだ。できれば、リールのセッティングは自宅で行うことをオススメする。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>