秋前半戦は沖波止で好釣果が得られた神戸東エリアだが、内湾の波止にも回遊魚が入ってきた。11月7日にはデカアジ17匹にタチウオやサゴシまで登場。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・伴野慶幸)
神戸第8防波堤で波止釣り
回遊魚フィーバーに沸く大阪湾の各釣り場、中でも神戸港東エリアは1、2を争う人気スポットだが、秋の前半戦は沖の波止に実績が集中していた。しかし、10月中旬から内湾の波止にも回遊魚が到来し、少々のんびりムードで釣りを楽しみたい人にも釣り場の選択肢が広がった。
今回は、船長のアドバイスと私の工夫が実を結び、内湾の波止である神戸第8防波堤(通称・8防)で大いに満足できる釣果が得られたので、その時の実釣レポートをお届けしたい。
なお、神戸港東エリア全体の基本情報などは、以前の投稿「大阪湾の沖堤防を徹底解剖:神戸第8防波堤 サビキ釣りで中アジ好釣」をご覧いただきたい。
深夜からの渡堤
深夜は電気ウキ釣り、夜明けからはサビキで小アジ、あわよくばデカアジ、大サバを狙って、小アジが確保できればノマセ釣りに転じるプランで、11月7日、前日の23時過ぎに松村渡船の乗船場を訪れた。天気予報では降水確率60%の曇時々雨ということもあって、現場は2人の船長がのんびりと待機していて閑散とした状態。

おかげで船長と落ち着いて話すことができた。「アジ狙いなら6防か8防。8防の北の方で、夜明けから釣果が上がっている」また、「サゴシが入ってきているので、お客さんの反応も良く、どの波止でも釣れる」と頼もしいアドバイスを受けて、8防に決めた。
ホームページなどのSNSの充実に加え、こうした船長からの当日情報の厚みも松村渡船の強みだ。後に松村船長も合流して、乗船受付が始まり、15人ほどの釣り人を乗せて、始発便は深夜1時前に出船した。人数が少なかったこともあったが、釣り人側も全員がマスクを着用し、船長の指示に従ってスムーズな乗船が行われた。どの渡船店もコロナ対策を意識しながら懸命に釣り客に応対しているので、釣り人の側も意識して、この日のようなスムーズな乗船を心がけたい。
8防の概要
今回釣行した8防は、ポートアイランドの東側に位置する南北400mほどの防波堤。神戸港港湾計画による航路拡張のため、数年以内の完全撤去が決定しており、波止の南端の先には立ち入り禁止の柵が設置されているが、残存している部分でも十分な広さが感じられる。

当日は船長のアドバイス通りに波止の北端近くに釣り座を構えた。8防は最終的に20人足らずの釣り人に収まり、皆それぞれの釣り座に散ってストレスフリーで釣りを楽しめた。

タックル&エサ
電気ウキ釣りのタックルは、遠投仕様の磯竿5号5.4m、道糸4号を巻いたスピニングリール、電気ウキ3号負荷、市販のタチウオワイヤー1本バリ仕掛け、ケミホタル75、割ビシオモリ2号という組み合わせ。

ここで筆者の一工夫を紹介すると、ケミホタルはブルー、エサは小さなサイズの冷凍イワシを選択。この秋のポートアイランド沖一文字や和田防波堤での釣行時にも、大サバとデカアジの釣果があり、効果は実証済みだ。当日は小潮で5時前の干潮から緩やかに上げ潮になっていくという条件を踏まえ、タナはウキ下3ヒロに設定した。
足元のアジ狙い
一方、アジ狙いのサビキ釣りは竿下狙いのタックルで、磯竿5号5.4mに道糸4号を巻いた両軸リールの組み合わせ。こちらの一工夫は、デカアジ・大サバも視野に入れての4点。、ケミホタルブルー50をサビキより上に付けて、電気ウキ釣りと同様に集魚効果を狙う。

マキエカゴはサビキの上下それぞれに付けるダブル方式で、上カゴとサビキの間にクッションゴムを介した。上下からまきエサをサビキの周りにまとわせて連掛けを狙い、巻き上げの際にはテンションを極力少なくしてバラシを避けるという狙いがある。
さらに、サビキは船釣りのイサキ釣り用でハリス・幹糸ともに6号の太糸サビキを選択するとともに、デカアジが小魚をベイトとしていることから、4本のハリのうち、2本にハゼコと呼ばれる3cmぐらいの小魚エサを付けてアクセントとした。

電気ウキでデカアジ
波止には別の渡船店の先客がいたが、東西にキャスティングしていたので、私は北端で6防との間の通称・水道を狙うことにした。電気ウキ仕掛けは30mぐらい遠投、竿下サビキは波止際から4mぐらいの竿下で、海底まで落としていく。
早アワセは禁物だ。飲み込ませての向こうアワセの感覚で、じっと待ってから、ゆっくりと竿を上げるとヒット。クンクンという弱めの引きに、「サバではない」と感じつつ期待感を込めて慎重に寄せてくると、コロッとした魚体が見えた。慎重に抜き上げると、期待通りのデカアジにニンマリ。時合いかと思い、活け〆を断念してクーラーの中へ入れ、釣りを続行。するとしばらくして、同じような感じでデカアジを追釣。

タチウオは指3本幅サイズ
1時間を過ぎた頃には、電気ウキがジワーッと沈み、もたれるようなアタリ。これはタチウオだと、完全に沈み切らないように焦りも感じつつ、一層慎重に待つ。相当待ってから竿を上げるとヒット。うねうねとした感触に頬が緩む。波止際に寄せてくると、細長いステンレス光の魚体が見えた。おそるおそる抜き上げ無事捕獲。

散発もデカアジ追加
深夜3時頃になると、私の釣り座ではアタリのペースが落ちたが、波止の中ほどで西向きに釣り座を構えたグループから「やったー。タチウオや」、「アジ、アジ。おっきいで」といった歓声が聞こえてきた。
魚は波止の近くを回遊しているのは間違いないと希望を捨てずに粘り強く釣り続けていると、散発ながらアタリが出る。釣れたのは中サバでがっかりさせられることもあったが、後に2匹ほどデカアジを追加。
4時前には、最初に釣れたサイズよりも、心持ち大きめのタチウオを上げて1人小さくガッツポーズ。このタイミングで、先客のルアーマンたちも指4本幅サイズのタチウオを立て続けに2匹キャッチ。タチウオの時合い到来かと意気込んだが、5時前にアタリは止まってしまった。
結局、夜明けまでにデカアジ、タチウオとお土産はそこそこ確保できたが、竿下でのサビキ釣りは不発で、夜明け以降のノマセ釣りができないかもしれないと少々不安が頭をよぎった。
場所移動でアタリ連発
夜が明けると、先客のルアーマンたちがキャスティング本番を迎えるので、邪魔にならないように、私は北端を離れて少し南側に釣り座を構え直した。西向きか東向きかの選択は、夜中に歓声が上がったグループが西向きで釣っていたのを思い出して、西向きで釣ることにした。
夜が明けても空は曇天、わずかな可能性が残っていると判断して、電気ウキ釣り仕掛けは遠目に投げ入れ、捨て竿感覚で波止に置き、夜中は不発だった竿下サビキに注力することにした。
最初のうちはしばらくアタリがなく、不安がよぎったが、4回目ぐらいの打ち返しで、底取りを慎重にしていたところにググッとした感触が竿に伝わった。引きは強い。これはと期待を込めて慎重に巻き上げると、ハゼコを付けエサにしたハリにデカアジが付いていた。
逃すまいと慎重に抜き上げ無事捕獲。ハゼコを付けエサに、置き竿ではなく、竿は手持ちで細やかな底取りをするのが吉とパターンを掴んだ。その後も3投に1回ぐらいの割合でアタリがあり、デカアジの釣果が次々と積み重なっていった。船長は預言者なのか?乗船前のアドバイス通りの展開に、クーラーの中はボリューム感に満ちていった。

50cm超のサゴシ手中
7時前、突如として捨て竿が海に引きずり込まれそうになった。慌てて手に取ると、デカアジでも大サバでもない強い引きが竿いっぱいに伝わってきた。ひょっとしてドラゴン級のタチウオか…と、期待を込めて巻き上げるが、魚は強く抵抗し、なかなか波止際に寄せられない。ドラグを緩めにして、持久戦に持ち込む。
ジジーッとスプールが滑ること数回、何とか寄せてきたところ、シャープな魚体が見えた。しかし、タモをセットしておらず、抜き上げるしかない状況に一瞬焦ったが、このタックルはラインブレイクの心配はないタチウオ釣り用のワイヤーハリスだと気づき冷静さを取り戻す。

ルアーマンに80cm超サワラ
時折、雨粒が落ちてきたので、レインウエアを着ての釣りとなったが、打ち返しを繰り返し、ポツリ、ポツリとデカアジを追釣する。7時過ぎにはルアーマンたちがサゴシをヒットさせたが、この後に真のクライマックスが待ち構えていた。
8時過ぎに「来た~」の雄たけびとともに、ルアーマンが手にしたジギングロッドが折れんばかりにブチ曲がった。私も釣りを中断して大捕り物に見入る。結果、80cmオーバーの見事なサワラが波止に上がり、2人揃って歓喜のスマホ撮影会と相成った。
当日の最終結果
私は釣りを再開し、デカアジ2匹を追釣して、8時半に納竿した。ノマセ釣りは出番がなかったものの、船長のアドバイスと私の工夫が実を結び、最終釣果はタチウオ2匹、サゴシ1匹、デカアジ17匹の大釣りとなった。
9時の迎え便で波止を後にし、船長にお礼を言って帰路へと車を走らせた。帰宅後、夕食の食卓には、釣果の料理が華々しく存在感を放っていた。

<伴野慶幸/TSURINEWS・WEBライター>
▼この渡船について松村渡船
出船場所:兵庫県神戸市灘区
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