多くの釣り人にとって船釣りといえば、乗合船での釣りのこと。そして乗合船は複数の見ず知らずの釣り人同士が同乗して同じ釣りを楽しむ場です。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター永井英雄)
乗合船のマナー
船釣りを始められたばかりの方々が、休日を利用して楽しいひと時をより楽しく過ごすため、最低限知っておくべきことを紹介したいと思います。
船という限られたスペースの中で、特に仕立船でもないかぎり利用されるのは乗合船が多いことを想定。船上では、出船前に決められた釣り座で一日ないし数時間以上隣り合わせた人と接することになります。
お互いが「楽しみ」の釣りが、釣りを終えてみたら何とも不快な気分になってしまい、その日の釣行がつまらないものになってしまわないように、最低限のマナーにあたるゴミ、喫煙など、守るべきことを取り上げたいと思います。
イナダ釣りでの経験
今回、本稿を寄稿しようと思った動機ですが、昨年秋、会社の同僚と湘南方面にこの季節旬のイナダ釣りに行った際、船上で隣り合わせた隣人の振る舞いに対して、不快感を持ったことから始まります。
その日隣り合わせた方は、見た目が70歳前後のご年配。
隣合わせて、ご挨拶を「よろしくお願いします」と交わして、すでにナナマルさんはロッドへラインを通し、支度がおおかた済んだ様子でタバコを一服中。筆者と同僚とも喫煙者なので、両側喫煙者であったため、ひとつ安堵(船宿によって喫煙ルールは異なるので要確認)。
タバコのポイ捨て
しかし、すぐに呆れたことが…。なんと停泊中とはいえ、吸っていたタバコの吸い殻をひょいと投げ捨てたんです。
想像をたくましくして、今日の船上では、この先、なんかいろんな物が捨てられるのではないかと思わせる、朝一番のナナマルさんの洗礼でした。
ハリスをポイ捨て
出船し、釣り場に到着、釣りが開始されましたが、この日は潮が緩慢で、イナダ君はごきげん斜め。あまりアタらず、そのかわりソウダカツオが元気で、盛んに釣れ上がってきました。サバと並んで青物特有の横走りするソウダ君は、隣人とのオマツリなど顧みず突っ走り、筆者の左右隣人のオマツリは、何度かに及びました。
読者の皆さんがすでに想像されている通り、ナナマルさんがやってくれました。筆者とオマツリした仕掛けのハリス、ラインをほどいていてくれているところまでは、さすがに年の功、歴戦のつわものと心の中で賛辞も送り、朝一番のポイ捨ても大目に見ようかと思っていたところ、なんと、マツッてよれたハリスを切り、切ったハリスを海へ無造作に落としているではありませんか。
さすがに口頭注意
ここで、最初の筆者からの注意。「ちょっと、オジサン、切ったハリス落としちゃダメだよ。ゴミ袋か船にあるバケツに仮で入れておくとかしないとね。」 ナナマルさん、ニャッとバツの悪そうな苦笑いをして、その場をつくろいましたが、こちら(筆者)は不快感が募ります。
ゴミ処理方法を教える
以後、オマツリに関しての「海上投棄」はなくなりましたが、時間が経過し昼食時。続いてやってくれました。昼食のパンを食べ始めたナナマルさん、その包装パッケージを朝一番のタバコと同様、無意識、無造作にポイ。
さきほどのオマツリ時のクレームでてっきり学習したかと思いきや、サメのような脳しかないオジサンだったようで、サメ同様、食べる~捨てるが本能的な行動=行為だったようです。
そこで、また筆者の二度目のクレーム。
ここでオジサン、サメの脳からヒトの脳に戻った様子で、やっとゴミを意識するようになりました。ナナマルさん、きっと昭和の50年代より前の感覚を持ったまま成長なく、最近の船釣り事情なども顧みず釣行していたのだろうと思え、かえって憐れに思えました。
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周囲への配慮
釣行前、とかく初心者なら翌日の釣行そのものに気を取られ、竿、リール、仕掛け作りなどの準備に余念がありません。しかし、釣り人のほとんどが朝食や昼食を摂ったり、仕掛けの残骸、オマツリで絡まったラインを切った残骸、仕掛けのパッケージなど、ゴミが多数発生します。
またタバコを吸う人は、隣人への配慮、挨拶、携帯灰皿などの準備も忘れてはならないこと。こうした準備を怠らない、忘れないことが大切です。左右の隣人、当日船に乗り合わせた全員に対して迷惑にならないためにも、釣行前の準備に以下のことなどを加えておきましょう。
それでは、前章の釣行記から、ポイントとなる場面を振り返りながら検証してみましょう。
レジ袋をゴミ袋に活用
船上での「ゴミ袋」として代用できるのがコンビニやスーパーの「レジ袋」です。コンビニやスーパーで昼食等を買ったとき、最近では代金も生じますが、あえてレジ袋も買い求め、これを船上でも利用。
朝食や昼食で出たゴミを収納、かつ前章で触れたオマツリ時の不要なライン、ハリス、ハリなど、さらに飲物から出た空き缶、ペットボトル用と、分別も可能なように、最低三つ以上は用意。筆者は分別用に三つ、プラスサイズ小も二つぐらい必ず用意しています。
袋の固定も大事
船上で、レジ袋が飛ばされないために、船の海水給水管、竿掛けのアングルなど、釣りのじゃまにならず、仕掛けが絡みにくい場所にくくることがよろしいと思います。
レジ袋をいいかげんにくくったり、引っかけておくだけにしておきますと、釣り場の移動で船が走っているときに、飛んでしまったり、収納したゴミが周囲に散乱させてしまうため、最初の移動時には注意をしておく必要があります。
筆者は、洗濯ハサミを数個持参し、レジ袋を船べりのエサ置き側のヘリに挟み、使っています。
喫煙者の注意点
前「釣行記」朝一番の場面、タバコのポイ捨てなど、陸っぱりでも一般生活圏でも当然してはいけないことが、海上、船上では「釣り」「誰も見ていない?からの免罪のポイ捨て。バツ×です! 免罪などありませんから。また出船前、帰船後の停泊中でもいけません。
「携帯灰皿」を持参
中には船宿側で、船べりに「灰皿」を人数分用意されているところや、携帯灰皿を無料で配布してくれる有り難いところもあります。そうした船宿の善意や好意に応えるべく、釣り人もマナーを順守することが肝要です。
隣人への確認
乗船して、朝一番の挨拶を交わす際、一言「喫煙」に触れ、隣人に拒否された場合は、船上で喫煙可能な場所で吸うか、喫煙を下船までがまんするしかありません。
最近では船宿によっては、「禁煙」の船も出てきていますし、喫煙可能でも、隣人が嫌煙者であれば、その日の釣行を自身の喫煙で台無しすることになり、船上の相互、皆さんが楽しむことを前提としている乗合船では、一人の「勝手」は許されないと肝に銘じるべきです。
環境への意識も持とう
昨今では、地球環境の問題が世界規模で提唱されており、海上や海中の投棄された廃プラなど深刻な問題になっており、釣り人にあってはラインや仕掛けのハリス、船上での食事等から出るごみなども対象外ではありません。
むしろ自然を相手に楽しむ趣味をしているため、より海洋生物への悪影響を少しでも減らし、次世代以降にも「楽しい釣り」ができる環境を意識する必要があると考えます。釣り人だからこそ、環境に対して「意識高い」系でありたいものです。
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<永井英雄/TSURINEWSライター>
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