ゴールデンウイーク最終夜の5月8日、良型メジナの吉報を聞き、南房総へ開幕戦に挑んだ。食いが渋く苦戦したが、厚みがありパンパンの乗っ込み個体40cmを2尾と41cm1尾をキャッチした釣りの模様をリポートする。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター木村圭太)
夜の磯釣りシーズン開幕
ゴールデンウイークとともに、季節は一気に初夏の雰囲気へ。海の中もフグや小サバなどエサ取り達が賑やかになり、昼間のフカセ釣りは苦戦を強いられる。寒さの心配が無くなるこれからの時期、私の中で磯の夜釣りシーズンが開幕となる。
狙う釣り物は、黒鯛、メジナ、イサキなどがメインターゲット。他に大型アジ、フエダイ、コショウダイ、コロダイなど夜の磯釣りでは様々な魚が顔を見せてくれる。
当日のタックル
突如として決めた夜フカセ開幕釣行。急いでタックル準備をしていると、昨夏の終わりに夜釣りタックルとしていた竿を壊して処分してしまったことを思い出す。
かといって昼間のフカセ釣りのタックルは今のところ、一番タフな磯竿でも1.2号。普段チヌ師の私、0号~0.6号の細竿がメイン。愛用のレバーブレーキリールも道糸が一番太くても2号。
ため息をつきながらロッドスタンドを見ると以前サビキ釣り用に使っていた3号4mの磯竿が。この竿とセットで使用していた4号道糸のスピニングリールも発見。

久しぶりの夜釣り、岩場でのタックル破損や魚のサイズを考えると少しでもタフな方が良い。前向きな妄想で今回はこれらをメインタックルとして準備した。
エサ・コマセ・仕掛け
当日はまきエサにオキアミ3kgを1枚、アミエビ1kg、メジナ用の集魚材を2袋、つけエサは自宅の冷凍庫に常備している私オリジナルの加工オキアミとまきエサブロックから取った生オキアミを用意。
天気予報を見ると出番は無いかもしれないが黒鯛用の各種ねりエサも当然のごとくクーラーボックスへ。仕掛けは先述のナイロン道糸4号。円錐タイプの電気ウキ(0号~2B浮力までを使用)、潮受けストッパーにヨリモドシ、ハリスはフロロカーボンラインの2~4号くらいまでを持ち込む。

針はグレ針の6~7号やチヌ針2~4号など大粒のオキアミをしっかりつけられるサイズをチョイス。夜の海だけにつけエサをしっかりアピールすることをイメージしている。私の場合は昼も夜も黒鯛メジナ狙いが中心だが、もっとタフなタックルや仕掛けを組んで大物をターゲットに狙う釣りもとても夢がある。
風裏の館山坂田の磯へ釣行
さっそく準備したタックルを車に積み込み南房へ。一晩中南東寄りの風予報、風速6~7m、いくつかのポイントの中から風裏になりそうな館山坂田の磯に向うことに。
途中、暗闇越しに車の窓外の海を眺めると、内房はずっとベタ凪。釣り場に着くと、ためらうことなく荷物を担いで磯場へ降りていく。ひっそりとした小さなワンド状の入江の両端に釣座となる岩場が突き出ている。左の水産試験場側の磯に釣座を構え、さっそく持ってきたまきエサや仕掛けの準備を始める。
曇り空から小雨スタート
車で向かう途中も何ヵ所か雨に打たれた。釣座に着いたとき天候はギリギリ曇り空に留まっていたが、まきエサを仕上げ終わる頃には微かに小雨がパラつき始める。
開幕戦故に念のため寒さや雨に備え、防寒インナーにレインウェアと万全に着込んでいる。真冬ほどではないが、昼間と違って気温が上がる要素がないため油断大敵。不意に波を被ることもあるので少し暑いくらいで丁度良い。
当日の潮回り
当日は小潮、磯に着いた頃には日付が変わり9日の午前0時半を少し回ったところ。ほぼ満潮からの釣り開始となる。潮位も約120cm、干潮を迎える午前6時20分頃になっても潮位は100cmほど。
潮の動きは期待薄だが潮位の変化が少ないので、のんびりとウォーミングアップの開幕戦となりそうな潮回りだ。
電気ウキを灯して実釣開始
いつもなら0号かBの電気ウキでスタートするが、風波なのか少しざわついている感じ。潮の流れはそれほど無いが、何となく2Bの電気ウキを手に取った。リチウム電池を差し込みウキの浮力と同じ2Bのガン玉をヨリモドシ上に打つ。30cmほどの遊動幅をとった半遊動仕掛けで先ずはウキ下2ヒロ弱をとってみる。
第一投を振り込むと、着水した電気ウキの赤い光がなんともいえないワクワクした気分を誘う。開始から数投、釣座右前面の10m程先に振り込んだ仕掛けは緩やかに左に流れる。
当たるも針に乗らず
釣り開始から30分ほど経過した午前1時過ぎ、何となくウキに反応がある。消し込みはせず、少しユラユラとシモっては浮いて来る。仕掛けを回収するとオキアミの頭だけが噛じられている様子。
同じ流れに乗せて投入し直すと、流れの途中で仕掛けが止まる。とても緩やかにジワジワとウキが沈み水面下20cmほどまで入っていく。
ついにと思い聞きアワセを入れてやると、ググゥーっと一瞬竿先を引き込むも素針を引いた。手元に残る感触はターゲットのメジナと直感する。手応えから良型を確信し、一気に集中力が高まっていく。
40cm級メジナ登場!
先程のバラしたポイントを意識して丁寧に仕掛けを入れていく。仕掛けが馴染む頃合いを考えて後打ちでまきエサを被せていく。2投程打ち返しをすると、赤い電気ウキの光が先程より少し速いスピードで海中に引き込まれていった。
しっかりと掛けアワセを意識して、先に道糸のスラックを巻き取り、硬い3号竿全体にテンションをかけて乗せるようにアワセを入れた。
足元はシモリが張り出しているので、少し手前で強気に浮かせる。安物だか強めのタックルにして良かった。ヘッドライトで確認すると狙い通りの良型メジナ、ギリギリ40cmといった感じ。ストリンガーに繋いでキープし、追釣を狙う。
想定外の当て潮に苦戦
先程と同じパターンを意識して、仕掛けを投入してみるも活性が低いのか通りすがりの魚だったのかパッタリとアタリが遠のいた。ふと気がつくと予報に無かった真正面からの向かい風と小雨、そして風波による当て潮で仕掛けが一気に押し戻されてくる。
夜の闇の中でも、こちらに向かって少し白波立っているのがわかる。予想だにしなかった展開に、この状況が短時間で過ぎ去ってくれることを祈りつつ打ち返す。
睡魔でひと休み
釣れない時間が長くなると一気に睡魔が襲ってくる。一旦竿を置き飲み物を飲んで、少し身体を落ち着かせる。気がつくと先程のメジナから1時間近く経っている。
向かい風が落ち着き始め「これならアタリが取れそうだ」と仕切り直す。
そっと聞きアワセや逆に鋭く振りかぶってアワセてみても、すっぽ抜けてしまう。まるで真冬の寒グレ釣りの様なシビアな展開。
仕掛け変更で41cmメジナ
魚の気配を感じるだけに、何が打開策をと迷走する。加工オキアミと先程ヒットエサの生オキアミをローテーション。仕掛けのタナを1ヒロ半程に浅くしてみるも全く反応が無い。元の2ヒロ弱のタナに戻すと、反応はある。魚は海底スレスレからあまり動かない様子。何とかウキにアタリを出したい。
もしかすると半遊動仕掛けの遊動幅が原因かもしれない。ウキを遊ばせない方が良いと判断し、15cmほどタナ浅くして潮受けを下から上げてウキを固定する。
すると答えはすぐに出た。今宵で一番のアタリ。鋭くウキが斜め横に走りながら引き込まれる。アワセを入れ、魚の引きを確かめるとメジナの感触。やはりずっしりとしている。少しドラグを鳴らしながら、徐々に寄せ無事にネットイン。先程よりもわずかにサイズアップの41cmをキャッチ。
狙い場所調整で追釣
午前3時を少し回った。食いが渋い中でも何とか2尾キャッチ出来た。今日のパターンなのかと、先程と同じコースを攻めるも仕掛けの流れが悪い。気がつくと、小雨とともにまた風波立って来ている。
チヌ針の3号からグレ針の6号に変えてみる。反応が薄い感じ。つけエサが先程のタナに届いていないのかと、さらにハリスにG5のガン玉を足してみる。電気ウキの余浮力で、この状態でもウキは沈んでいかない。波の中で仕掛けは安定するが、今ひとつ違う気がする。
先程までは、緩やかながら自然に流れる中で食ってきていた。はて、どこを狙おうか。仕掛けをもとに戻してみた。2尾目の時のウキ固定のまま、違う場所に仕掛けを振り込んでみる。いくつか試していると、先程打っていた場所より少し先に緩やかに右に流れる潮がある。そのまま少し流して行くと、一発で来た。
ウキが反転するように左斜めに沈んでいく。グッとアワセを入れる。ジワジワと寄せて無事に3尾目のメジナをキャッチ出来た。1尾目と同サイズといったところ。これだけ食いが渋い状況の中では自分としては上出来。
朝マヅメは不発
夜明けまでが勝負と同じコースに再投入を繰り返すも、周りが薄っすらと明るくなって来た。残念ながら、エサも取られず反応も無い。完全に明るくなる前にと諦めず打ち続けるもアタリが続かない。一旦、仕掛けを引き上げてタックルを組み直すことにした。
夜明けと朝マヅメに望みを託し黒鯛を狙ってみることに。チヌ竿に持ち替え、ハリスにガン玉を打ち先程よりも海底にエサを落ち着かせる様にセッティング。一気に明るくなり、雨足も強まって来た。そして、ついにエサ取りのフグが出てきてしまった。
一点集中で仕掛けとまきエサを打ち続けるもフグはどんどん増えるばかり。仕掛けの着水と同時にフグにエサを引ったくられる。1時間ほど粘ってみるも雨がさらに強まってきたため残念ながら納竿とした。
最終釣果と夜釣りの魅力
釣座を洗い流し、片付けをしつつストリンガーを引き上げるとどのメジナも厚みがありパンパンの乗っ込み個体。40cmを2尾と41cm1尾。持ち帰って捌いてみると、やはり白子や卵が入っていた。
当日の釣果(提供:TSURINEWSライター木村圭太)寒グレとは違い、既に脂乗りは落ちているが、刺身やフライ、さんが焼きにして美味しくいただいた。特にフライが絶品でソースやタルタルソースによく合う。
良型が浅場に乗っ込んでいるこの時期。もう少し楽しめそうだ。これから夏にむけて、イサキやコショウダイなどもターゲットとなる。昼間の釣りでは普段出会えない様々な魚種とのビッグファイトを楽しんでいきたい。
ワクワクする夜釣りだが、ライフジャケットやスパイクブーツ、ウェーダー、ライト類、虫よけ対策など準備は万全を期していただきたい。また、潮位や天候も必ず確認して無理せずに安全な釣行を。
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<木村圭太/TSURINEWSライター>
▼この釣り場について館山坂田の磯
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