今回はファミリーフィッシングで有名な愛知県愛西市の木曽川立田地区にスポットを当て、そこでの釣り物やポイントにおける釣り方を中心に紹介したい。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

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木曽三川の特徴

コロナによる密を避ける動きから、釣りをはじめとするレジャーがあらためて注目されるようになってきた。それにより、例年にも増して釣り場は活気であふれている。

そして、この地方にも数多くのメジャーフィールドが点在する。

その中でも魚影の濃さはもちろんのこと、水質や景観の良さから近年注目を集めているフィールドがある。それは木曽三川だ。木曽三川は濃尾平野(愛知県、岐阜県、三重県)を流れる木曽川、長良川、揖斐川の総称。そのどれもが各々の特徴を持ち合わせており、それらが最も隣接する木曽三川下流地区は数多くの魚種が釣れることで有名だ。

木曽川で釣り入門 【代表的な対象魚5選と立田周辺のポイントを紹介】
ハゼはこれから最盛期を迎える(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

濃尾平野を流れる木曽三川には特徴がある。木曽川や揖斐川は、海から海水が差し込むことで伊勢湾から数多くの魚が遡上する。対して長良川は河口堰(かこうぜき)の影響からか海水の差し込みが少なく、近年は淡水系の魚が中心となっている。

もちろん長良川も海からの遡上が全くないわけではないが、木曽川や揖斐川の方が格段に遡上量は多い。そのため木曽川や揖斐川を中心に、海水の魚を楽しむ人が多い。

また近年は海水の差し込みが強くなった分、初冬に海へと下らない個体も増えた。それにより、一年を通して木曽三川で釣りを楽しめるようになってきた。

これは温暖化による海水温の上昇や海流の変化、地盤沈下などによる自然的な要因。加えて川や海などにおける人工建造物などの人為的な要因によるところが大きいように思われる。

代表的な釣り物

木曽三川では、ファミリーフィッシングに代表されるハゼ、テナガエビ、チチブなどが有名だ。あとは玄人好みのマダカやウナギの魚影も濃い。

先ほども述べたが、近年海水の差し込みが強くなった分、クロダイやマゴチも狙えるようになってきた。そのため川筋であっても、一日に五目釣りを達成できるほど魚種が豊富になってきた。以下で魚種別の道具立てを見ていこう。

ハゼ

釣り場全体で釣れることからリールザオ、ノベザオともに楽しむことができる。チョイ投げは、2m前後のリールザオ(コンパクトロッド、ルアーロッド)、オモリ5~15号、ハゼ2本バリ仕掛け(ハリ5~6号)。オモリは、各ポイントの流れの強さに合わせる。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

ノベザオの釣りはミャク釣り、ウキ釣りなど好みで選択してほしい。船着き場内ならば3m前後、それ以外は大規模河川であることから、3.6m以上あるとポイントを効率良く探れる。エサはイシゴカイ。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

テナガエビ

足元のブロック周りを、ノベザオを中心としたウキ釣りで狙う。道具立ては、2.7mぐらいまでのサオ先が軟らかいノベザオ、岬オリジナル手長エビ仕掛け(ハリ2号)。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

テナガエビはエサを捕食するときに引き込む性質があり、できるだけその抵抗を減らす必要がある。またこの釣りの醍醐味でもある、サオ先に伝わるブルブル感を堪能したい。

そういった理由から、サオ先はできるだけ軟らかいものを使用する。また干満による潮の周期的な流れがあることから、市販の仕掛けが通用しないポイントや時間帯があるので注意してほしい。

それに関しては、地元の釣具店で詳しい説明を受けてほしい。エサは、イシゴカイがベスト。またテナガエビは待ちの釣りでもある。そのため数釣りに挑戦する場合は、複数本のサオによる置きザオがオススメだ。

チチブ類

チチブ類はテナガエビ同様、足元のブロック周辺に生息する。テナガエビの外道であるチチブは、釣り人から敬遠されがちだ。しかしハゼ以上に簡単に釣れるので、お子さんには人気のターゲットとなっている。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

また黒っぽい見た目に反して美味であり、近年専門に狙う人も増えてきた。特別な道具立ては必要なく、2.7m前後のノベザオ、ミチイト1号前後、袖バリや赤虫バリなどの小バリ(2号程度)を使用する。

ミャク釣り、ウキ釣りともに楽しめる。また積極的にエサを追うことから、1本ザオで手返しよく釣ることが数釣りのコツとなる。

マダカ

流芯を中心に変化のあるポイントを狙う。つまり、カケアガリなどの底の変化、障害物やその周りの流れの変化を釣るといい。そういったポイントにはマダカのエサとなる小魚や甲殻類が多い。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

道具立ては、4.2m前後の投げザオ、リールにはミチイト5号150mほど巻き、30号前後のスパイクオモリ、岬オリジナル仕掛け(セイゴバリ15号以上)となる。

潮の流れの強さからスパイク型のオモリを使い、自然に浮かせて流すための長尺仕掛けがここでの主流だ。エサはアオイソメの房掛け。エサ取りが多いときは、ユムシを併用する。大規模河川なので、3本のサオで投げ分け、広く探ることをオススメしたい。

ウナギ

石組み、ヨシ周り、水門前などの障害物周りを中心に狙う。そして、それらがより複合的に集まるところが1級ポイントとなる。流れの緩いポイントなら、オモリ15号前後のサオで狙える。しかし木曽三川では、強い流れに隣接した障害物周りで、太物の掛かる傾向が強い。

そういったポイントを狙う場合、マダカ同様の道具立てを使用する必要がある。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

ハリは、ウナギバリやセイゴバリの14号前後。最近ではウナギとしては珍しい長ハリスで狙う人も多い。エサはアケミ貝、大黒ミミズ、アオイソメなどを使用する。

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ウナギもまだまだ狙える(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

立田大橋周辺ポイント

立田大橋周辺のポイントを紹介しよう。

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立田大橋周辺図(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

上流・下流テトラ帯

上流、下流ともに足元から5mほどの平テトラ、その前に2mほど斜めに石が組んである。その先は、どちらも砂底のオープンウォーターである。水深は下流側が遠浅なのに対し、上流側は手前から深くなっている。

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上流テトラ帯(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

また上流側は、沈所(沖に向かって入っている石組み)が多く変化に富む。ハゼのチョイ投げは、下流側でオモリ5~8号、上流側でオモリ8~15号が目安だ。砂底のため、引き釣り、置きザオともに楽しめる。

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下流テトラ帯(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

またノベザオでのミャク釣りは、足場が広がる干潮前後にテトラ先端から狙うと面白い。テナガエビは上流、下流ともに狙うことができる。

特に釣り人が少なく変化に富んだ上流側に良型は多いが、その分エサ取りのチチブも多い。

マダカは深みと変化に富んだ上流側に実績がある。ウナギもマダカと同じ理由から上流側で狙いたい。

上流・下流船着き場

上流、下流ともに足場は良く、ノベザオを使用したハゼ釣りが面白い。近年、増水などの影響で船着き場内に砂がたまり、昔に比べて浅くなった。そのため、満潮前後の水位が高い時間帯に釣行してほしい。

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上流船着き場(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

干潮時は、船着き場沖へのチョイ投げをオススメ。また増水時などは魚の避難場所となり、1級ポイントへと変化する。またここでは、両サイドに沈所が入っていることが多い。そのため船着き場角から沈所脇へのハゼのチョイ投げ、沖のカケアガリへのマダカやウナギの投げ釣りも面白い。

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下流船着き場(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

下流水門前

時折、排水をかける水門だ。そのため水門沖は砂泥底となっており、昔からウナギを狙う常連さんが多い。また小魚が集まることから、マダカの魚影が濃い。ただ浅場に隣接したポイントのため、日中はできるだけ満潮前後を狙いたい。

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水門前(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

またハゼやテナガエビの魚影も濃く、水門周りの石組みではテナガエビを楽しめる。

また干潮前後には水門沖がたまり場になるため、チョイ投げによるハゼの数釣りが期待できる。

沈所周り

昔から干潮になると現れる、岸から沖に向かって出てくる石組みだ。ここはハゼやマダカの1級ポイント。ハゼは沈所脇を5~8号程度のオモリでチョイ投げすると面白い。マダカは沈所先端からの投げ釣りで狙う。

木曽川で釣り入門 【代表的な対象魚5選と立田周辺のポイントを紹介】
干潮時に姿を見せる(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

ただ沈所沖は急流のため、30号前後のオモリが必要だ。またここは石周りなので、テナガエビも楽しむことができる。ただ干潮限定の釣り場であり、時間的制約を受けてしまうことが欠点。それから足場が不安定で、石が濡れていると滑りやすいので要注意だ。

砂浜周辺

こちらも干潮になると現れるポイント。ここは足場が良く、小ハゼが数多く集まるポイントだ。根掛かりがないため、小さな子供でも楽しめる。チョイ投げが面白い。また砂浜沖は流芯のため、マダカの好ポイントとなる。

木曽川で釣り入門 【代表的な対象魚5選と立田周辺のポイントを紹介】
楊柳の砂浜(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

砂底のため根掛かりはないが、流芯を狙うことから30号前後のオモリを使用したい。また、ここも沈所同様に時間的制約を受けてしまうことが欠点である。ただ足場が良くシジミなども採れるため、ファミリーに人気のポイントだ。

木曽川で釣り入門 【代表的な対象魚5選と立田周辺のポイントを紹介】
下流の砂浜(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

右岸一帯

右岸にもたくさんの好ポイントがある。例えば立田大橋対岸。広場前は釣り禁止だが、橋下に川岸へと続く道があり、その前ではハゼ、チチブ、テナガエビが狙える。その上流側や下流側には浅場の沈所があり、ハゼの魚影は濃い。

そして船頭平閘門から水郷公園にかけては新たに護岸が整備され、今後楽しみなポイントができた。ここでは手前の浅瀬一帯でハゼ、石組周りにテナガエビやチチブの魚影が濃い。

また流芯に近いポイントや突堤もあり、そこではマダカを中心にウナギも狙える。ただ整備されて間もないため、現在は安全上の観点から車の横付けができない。そのため、付近の公園や河川敷の駐車場に車を止める必要がある。

レジャースポットも点在

ここ木曽三川では、河口域から上流域まで車横付けのポイントが数多くある。また車横付けを問わなければ、開拓可能な好ポイントが数多く点在する。そして立田周辺は、トイレが完備されたバーベキュー広場やグランドゴルフ場がある。

木曽川で釣り入門 【代表的な対象魚5選と立田周辺のポイントを紹介】
ヨハネス・デレーケなどの歴史資料館も(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

また近くには国営木曽三川公園やヨハネス・デレーケに代表される歴史資料館もいくつかあり、レクリエーションや学びの場としても確立している。老若男女問わず、誰もが楽しむことのできるスポットだ。皆さんぜひ、魅力あふれる木曽三川に出かけてはいかがだろうか。

最後に釣り人のマナーである現場での安全対策(ライフジャケットなど)や、ゴミの持ち帰りなどによる環境美化にも努めていただくようお願いしたい。

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<週刊つりニュース中部版 桑山卓久/TSURINEWS編>

▼この釣り場について
木曽川・立田大橋周辺
問い合わせ:岬釣具店 TEL=0567(24)5965
この記事は『週刊つりニュース中部版』2022年7月22日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 木曽川で釣り入門 【代表的な対象魚5選と立田周辺のポイントを紹介】 first appeared on TSURINEWS.
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