アカムツ(ノドグロ)が生息するのは光すら届かない深海です。それゆえ、仕掛けによるアピールが、釣果を伸ばす秘訣となります。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 編集部)
アカムツとは?
アカムツ(標準和名)は、スズキ目ホタルジャコ科アカムツ属の水深100~300mに住む深海魚。砂泥底を好み、底層に小さな群れを作って生活しています。

アカムツは口の中が黒いことから「ノドグロ」の通称でも有名です。ノドグロといえば高級魚として、釣りをしない人にもよく知られており、皮や皮下に脂があるので、皮付きの料理がとても美味しい魚になります。
塩焼きにすると皮と身の間から濃厚で上質な脂が滴り、皮付きの切り身でしゃぶしゃぶや皮目をさっとあぶった刺し身なども絶品です。
アカムツ釣りの概要
そんな美味しいアカムツは船からの釣りで狙うことができます。釣り座によっての釣果の差が出にくく、仕掛けや誘いでの工夫や、エサといったこだわりが釣果に直結しやすい釣りで、食味だけでなく釣趣も楽しい釣りです。また、クロムツやシロムツ、カサゴ類といった美味しいゲストが釣れるのも魅力的。
釣り物としてポイントが開拓され始めたのはここ最近ですが、出船地域は東北から九州までと広がってきています。特に富山湾、佐渡沖などの北陸地方や、太平洋側の茨城、千葉、神奈川に加え東京湾でも狙える関東地方、駿河湾や遠州灘、志摩沖などの東海地方で人気があります。
アカムツ釣りの時期
一年中狙える魚で周年出船している船もありますが、浅場に寄る産卵期が狙い目となり、この産卵期に合わせて出船する船宿が多いです。産卵期は海域によって変わるものの概ね夏~秋ごろ。関東以北では120~160mラインの浅い場所で狙える海域も多く、初心者でも挑戦しやすい時期となります。
旬でいえば年明け~春ごろに産卵に向けて脂を蓄えるため、この時期に出船している船で狙ってみるのもいいでしょう。
アカムツ釣りのタックル
続いてアカムツ釣りに向いているロッドやリールなどを紹介します。

ロッド
ロッドは船宿指定のオモリを背負えるものがまず前提となります。仕掛け図では深場想定の250号となっていますが、オモリは狙う水深によって120~250号ぐらいまで使用し、浅場狙いであれば120~150号ほどのオモリでライトなタックルが使える場合もあります。
その上で、アカムツ専用や深場用のロッドが発売されており、それを使うのが間違いないですが、その他のロッドを代用する場合はアカムツは口切れしやすいため硬いロッドより、柔らかいロッドが向いています。7:3調子か6:4調子の、穂先感度がいいものを選ぶといいでしょう。
リール&ライン
オマツリ防止のため、船中でミチイトの号数をそろえることもあるので船宿に事前に確認します。また、狙う水深も確認し、「水深+150m」ほどの余裕のある糸巻き量の電動リールを用意しましょう。
ミチイトは正確なタナ取りを行うため、10m毎のマーカー入りが基本ですが、フグやスミヤキによる高切れを防ぐため、単色のものを使うという人もいます。その際は、電動のカウンターと実際の誤差を事前に確認しておきましょう。また、荷物にはなりますが、高切れした場合を考えて予備のミチイトをもっておくと安心です。
仕掛け
仕掛けは大別すると胴突きと天ビン吹き流しの2種。潮流の影響を受けにくく操作性のいい胴突きの使用が定番ですが、潮の流れ具合によっては吹き流しが有効なこともあります。船宿によって、使う仕掛けの種類や針数が指定されている場合があるので事前に確認しましょう。
ハリ
ハリはホタバリ、ムツバリなどが主流ですが、両者のメリットなどを備えたアカムツ専用のハリも各社からリリースされています。赤や蛍光塗料で塗装されたものや、ケイムラ加工が施されたものもありバリエーションは豊富です。

また、バラシを減らすため孫針仕様にし、1本をホタルイカのエンペラ、もう1本を目と目の間辺りにハリ付けするという仕掛けもあります。
アカムツ釣りで船中トップ釣果 ありそうでなかった専用鈎の効果とは?
水中ライト
基本的には、曇天時など光量が少ない場面で活躍します。水中での抵抗を受けにくい小型のものがオススメです。状況次第で、エサ取りやサメを寄せやすいので注意しましょう。また、「使おうと思ったら電池が切れていた」などがないように釣行前に交換するか、予備を忘れずに持っていきましょう。
アカムツ釣りのエサ
ホタルイカが定番です。単体で使用する場合はエンペラからハリを刺し、縫い刺しが基本となります。また、サバの切り身、カツオのハラモ、鮭皮などと併せてエサ付けするのも有効です。
ホタルイカ+切り身の例(提供:週刊つりニュース関東版 編集部)切り身エサは、身を削いで海中でヒラヒラと漂うように調整します。切り身エサの大きさはアピール重視なら長さ8cm前後、幅は1.5~2cm。食い込みの良さを重視するなら長さ5cm、幅1cmぐらいまで小さくしましょう。
エサのアレンジ
潮が濁っているような場面や、水中ライトが使用できない海域では、切り身を食用の染色材を使い、赤や緑、青に染めるのも有効とされています。
着色した切り身と匂い玉(提供:TSURINEWSライター近藤惣一郎)また、匂いとカラフルな見た目でアピールするアイテムの「匂い玉」も同様に効果的な場合があります。
アカムツの釣り方
基本的なアカムツ釣りの釣り方を解説します。
仕掛けの投入
仕掛けの投入時はオマツリ防止にオモリを沖へ軽く投げるのがコツです。また、投入は船長の合図で一斉投入する場合や、指示通りに順番に投入する場合があります。
電動デッドスローでの釣り方(作図:週刊つりニュース関東版 編集部)回収と再投入も船のルールや、潮の流れ、水深によって自由に行えるか、一流しで一投入のみなのか分かれるので、ルールは事前確認し当日の船長のアナウンスも聞き逃さないようにしましょう。
誘い方のパターン
仕掛けを投入したら底を取ります。オモリが底についたら糸フケを取り、誘いを入れましょう。誘い方の一つのパターンとしては、電動リールを利用したデッドスローでの巻き上げ。高活性時以外底層から離れることは少ない魚なので5~10m程度巻き上げたら落とし込んで底を取り直します。
その他の誘いでは、底の位置から竿先で聞き上げと聞き下げを繰り返し、底~3mぐらいをゆらゆらと誘う方法。底についた時にゼロテンションでのステイや、カワハギの弛ませ釣りのようにクラッチフリーでエサを漂わせるといった誘いも織り交ぜると効果的です。
また、動かさずゼロテンションステイで待ってアタリを取ったり、1m程度のタナで置竿で放置したり(頻繁に底は取り直す)といった静かな釣りが有効な場合もあります。
アタリと取り込み
アカムツのアタリは明確なものが多く、微かなアタリでも待っていると竿先をゴンゴンと叩くようなアタリに変わります。ぐぐっと引き込まれたら、大きくゆっくり竿を立てるようにアワセを入れます。
ハリ掛かりが確認できたら、口が弱くバレやすいので、よっぽどの高活性でない限り、追い食いは待たないで一尾を大事にすることを推奨します。口切れしないよう中低速で巻き上げてきましょう。水圧変化には強く、バレても浮いてこないことも多いので、取り込み時はタモ網を使って取り込みます。
釣果を伸ばす仕掛けの使い方3つのポイント
シモリ玉やマシュマロボール、フロートパイプにタコベイトなど装飾となる仕掛けを使いこなすのがアカムツ釣りの釣果アップのコツです。仕掛けを効果的に使うために意識するポイントを3つにまとめました。
エサを漂わせる
フロートパイプやマシュマロボールなどで浮力をアップさせたり、パイプでハリスの一部を固定したりすることで、エサの漂い方を変化させます。
主に潮流の速さを参考に流れがないときは浮力を上げ、弱い力でも自然と漂うようにしたり、逆に速すぎるときはハリ先の動きを抑えて仕掛けが暴れない工夫をしましょう。
また、潮が速い時はハリスを長くし、遅い時は短くしてエサがより漂いやすくする方法も有効になります。
エサ取り対策が重要
エサや水中ライトの項目でも光によるアピールについては触れましたが、仕掛けにもケイムラや夜光蓄光タイプのパイプやマシュマロボールをハリの近くに付けてアピール度を上げると効果的です。
とはいえエサ取りが多い場面などでは過剰なアピールは逆効果なこともあるので、状況によって使い分けが必要になります。特にサバがいる状況では、このサバを掛けないようにすることがアカムツを釣る近道といっても過言ではありません。
エサや装飾でのアピール度を下げるほか、サバのいる上層に仕掛けがいかないよう捨て糸を短くし、底中心で動かさないといった釣り方をするといった対策も効果的です。
仕掛けでベイトをイミテート
アカムツ釣りが盛んな静岡の駿河湾では、サクラエビやシラス、ウナギ稚魚などを捕食しているという意見が多く、それを模して、タコベイトやフラッシャーなどを使用します。
静岡・福徳丸船長の仕掛け(提供:週刊つりニュース関東版 編集部)普段何を捕食しているかは海域や時期によっても変わるので、日々船上での釣果を見ている船長や仲乗りに、どのような仕掛けが有効か聞いてみるのも近道です。
【富山湾2020】アカムツ釣り入門 魚影濃く初心者にもオススメ
侍Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック:犬吠埼沖アカムツ攻略法
東京湾アカムツ釣り入門 都心から電車釣行で高級魚「ノドグロ」が狙える
<週刊つりニュース関東版 編集部/TSURINEWS編>
The post アカムツ釣り釣果を伸ばす3つのコツ 【仕掛けへの工夫・誘い】が重要 first appeared on TSURINEWS.