これまで私は、夏場のムラソイのごく浅ルアーゲームにおいて、魚の活性の鍵は「強い日差しによって生まれる影の存在」だと考えてきました。それはこれまでの釣果からも事実だと思われます。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・アングラー「K」)
曇天のライトロックゲーム
今回の釣り場は、山形県庄内地方の磯場です。ここは私の故郷でもあり、年に何度かはこの地を訪れています。
夏場に訪れると、必ず挑戦するのが水深30cmほどのごく浅場に潜む大物ムラソイをターゲットにしたライトロックゲーム。手軽で引きが強く、数も狙えるのが魅力です。

釣果を上げるために知っておくべきなのは、この時期のムラソイの活性は天気に大きく左右されるということ。ピーカン(快晴)の日が好条件とされています。
しかし、今年の釣行日は期待に反して曇天のローライトコンディション。私のタックルは、6.9ftのライトクラスのパックロッドに、ダイワの2500番スピニングリール。ラインはPE0.8号を巻いています。
リグは、以前執筆した記事と同じ「直リグ」を使用しました。
釣行開始
磯に到着したのは午後4時前。すでにムラソイゲームの絶好の時間帯は過ぎていました。
しかし、やはり反応はありません。「やはりね…」と、自分の予想が当たったことを確認する展開です。
この釣りは、1カ所で粘るものではなく、どんどん場所を替えていくスタイル。釣れればテンションも上がって次のポイントへ意欲的に移れますが、釣れないと疲労ばかりが溜まっていきます。
結局、約1時間の間にキャッチは2匹。やはり厳しい結果でした。かなり疲れました。ワームを見に来てUターンしてしまったり、ミスバイトが多発したりと、活性の低さは明らかでした。
「やはりローライトでは厳しいのか…」
その後、アタリも遠のいてきたため、リグをジグヘッドに変更。磯の先端に立ってキャスティングゲームに切り替えることに。すると、小さいながらもキジハタとムラソイを追加できました。

残念だったのは、ドスンと重いアタリで明らかに大物がヒットしたものの、バラしてしまったことです。アタリも落ち着き、辺りも暗くなってきたころ、寒さを感じ始めました。薄着で来てしまっていたため、釣りを切り上げて帰ることにしました。

潮変化が好機に?
磯の先端から岩を伝って戻る途中、来たときと違い、ちょろちょろと海水が流れ始めているのに気づきました。スマホで確認すると、ちょうど上げ潮が効き始める時間帯。少しずつ水が押し寄せてくる感じで、まるで「堤防が決壊した」ような流れです。
それを見て、「さっきまでは何の反応もなかったけど、この状況ならどうなんだ?」と興味が湧いてきました。一度たたんだタックルを再度セットし、試してみることに。時間はすでに午後6時を回っていました。
無反応エリアでバイトあり
何か面白い予感がしながら、「夕方のムラソイのごく浅ルアーゲームだ(笑)」と心でつぶやきつつ、半ば冗談のような気持ちでワームを投入。
すると――すぐさまムラソイからの反応がありました。しかも、先ほどまで全くの無反応だった場所からです。
「嘘?」と思うような展開。中には、ほとんど体を水面から出して、水深5cm程度の場所までバシャバシャと追いかけてくる個体も!
「なんだ?明らかにさっきとは活性が違う!こんなに暗くなってきてもムラソイの活性は上がるのか!」
私にとっては、まさに目から鱗の体験でした。

光より潮が重要?
確かに、一般的に魚は潮が効いていれば活性が上がるもの。ただ、私はこの釣りにおいては、「潮よりも天気(=太陽光)」がより重要だと信じて疑いませんでした。
しかし、今回の結果が確かだとすれば、「夜のごく浅ムラソイゲーム」だって成立する可能性があるということになります。なんだかちょっと、試してみたくなりますよね。
潮止まりからの短時間、岩と岩の間に流れ込むタイミングに賭ける釣り…。夜、磯の狭い岩場でワームを送り込む?
それじゃあ危ないし、根がかりだらけになるかもしれません。じゃあ、テンカラで照らす? それは逆に魚が警戒してしまうかもしれませんね。
確かめるには、それなりのリスクがありそうです。なかなかコアでマニアックな釣りに感じます。だから、こんな釣りを誰もやらないのかもしれません(笑)
というわけで、今回の釣行で得た発見については、まだ自分の中で整理がついていません。この件については今後も継続して、いつか検証してみたいと思っています。
いつになるか分かりませんが、気長に続編をお待ちいただければ嬉しいです(笑)。
<アングラー「K」/TSURINEWSライター>