ルアーフィッシングにおいて、釣果やバラシ率に直結する要素の一つが「フックの種類」である。ルアーに標準でついているトレブルフックをそのまま使っている人も多いだろうが、状況やターゲットによっては「シングルフック」への交換が釣果アップやバラシ軽減につながるケースも少なくない。

ここでは、シングルフックとトレブルフック、それぞれの特徴や違い、そして使い分けについて解説しよう。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)

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シングルvsトレブルの違い

まずは両者の基本的な特徴を整理しよう。

トレブルフックは1つのアイから3本のハリ先が出ているフックで、ルアーに標準装備されていることが多い。複数のハリ先があることで「フッキング率が高い」というのが最大のメリットだ。

シングルフックは名前の通り、ハリ先が1本のシンプルな形状をしており、強度が高くバラシにくいという特性を持っている。

意外と知らないルアー釣りの基本:シングルフックとトレブルフックって何が違うの?
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シングルフックのジグ(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

つまり、「かかりやすいのはトレブル」「外れにくいのはシングル」と覚えておくとわかりやすい。

トレブルフックはバラしやすい?

トレブルフックは、フッキング率の高さが魅力だが、実は「バラしやすい」という大きな欠点も抱えている。これはいくつかの要因によるものだ。

第一に、フック1本あたりの軸が短いため、刺さりが浅くなりやすいという構造的な理由がある。口に掛かっても、魚が暴れると浅掛かりの部分が外れてしまいやすいのだ。

第二に、フック1本あたりの強度が弱く、青物のようなパワー系の魚に伸ばされやすいという点も見逃せない。3本あるうちの1本しかしっかり刺さっておらず、それが伸ばされてしまえば、バラしは避けられない。

また、トレブルが魚の体表に掛かってしまった場合、ファイト中に外れやすくなることもある。

根魚はトレブルフック有利

このようなデメリットを踏まえても、トレブルフックが活きるターゲットも確かに存在する。それが、メバルやカサゴなどのライトゲームのターゲットとなる根魚だ。

これらの魚をプラグで狙う際には、複数のハリ先を持つトレブルフックを使ったほうがいい。わずかなアタリでもどこかしらが掛かってくれる可能性が高い。

また、これらの魚はパワーファイトで引きちぎるようなことはまずないため、フックが伸ばされるリスクも少ない。したがって、トレブルフックがバラしにくく、フッキングにも優れる最適な選択肢となる。

意外と知らないルアー釣りの基本:シングルフックとトレブルフックって何が違うの?
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メバルはトレブルで釣ろう(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

青物はシングルフック一択

一方で、ブリやサワラ、ヒラマサなどの青物を狙う場合は、シングルフックの使用が強く推奨される。その理由は明確で、魚の引きが強烈なうえ、ルアーを深く咥え込むことが多いため、しっかりと貫通して、かつ伸ばされにくいフックが必要不可欠だからだ。

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シングルフックできれいにかかる(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

シングルフックは軸が長く、太軸のモデルも多いため、パワーに対して強く、ファイト中にフックが曲がる心配が少ない。また、1点でガッチリ掛かれば、バレる確率は格段に下がる。さらに、魚のダメージも最小限に抑えられ、リリース前提の釣りにも向いている。

実際、オフショアジギングや大型青物のショアジギングでは、シングルフックが主流であり、LSJ(ライトショアジギング)でも同様に、シングル化しておくと安心してファイトに集中できる。

フック交換で釣果UP

特にメタルジグでは、ルアー購入時に付属しているトレブルフックをそのまま使う人も多いが、ターゲットや釣り方に合わせてフックを交換することは、釣果を大きく左右する要素となる。釣り場で「あれ?バレた…」という悔しい思いを減らすためにも、自分の釣りに合ったフックを選ぶ意識が重要だ。

また、トレブル→シングルへの変更は、根掛かりの回避にも効果的である。

特に磯やゴロタ、障害物の多いエリアでは、シングルフックの恩恵を実感する場面が多い。

<井上海生/TSURINEWSライター>

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