アユ釣りラストスパート。終盤に入り、アユ釣りは数型ともに楽しめる。

アユは23cmを超えると、一気にパワーアップする。サオは胴から曲がりアタリ、引きともに別次元の世界になる。27cmを超えればもう格闘だ。今回は大河川と中小河川のおける大アユ釣りのポイント、タックル、釣り方、オモリの使い方などを紹介したい。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

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大アユ有望河川

【東海エリア2019】シーズン終盤『大アユ』攻略法 オモリを使いこなそう
大アユ釣りはまさに格闘(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

アユのトモ釣りのセオリーに、「アユは1に場所、2にオトリ、3に腕」と言う格言があるように、釣れる河川で釣りをすることが大事だ。

9月になれば大アユが狙える河川は結構ある。中部なら長良川郡上、中央管内。

益田川、白川、付知川、宮川下流。北陸なら福井県の九頭竜川中部、勝山。富山県の神通川などだ。

長良川郡上で狙うなら下流部の美並地区か、各エリアにあるトモ釣り専用区を狙うのがベター。長良川中央管内なら洲原や熊ケ瀬、立花地区。新美濃橋から山崎大橋辺りが実績ポイントだ。

益田川なら大岩、大淵が点在する中山七里。白川なら下流部。付知川も下流部が有望。宮川下流も管内の下流部が有望。

基本落ちアユシーズンになってくるので、自然と下流部が良くなってくる。北陸の九頭竜川は坂東島、北島、飯島地区がいいが、鳴鹿エン堤下流でもサオ抜けを狙えば大アユが出る。

神通川は空港前辺りが有望だ。

ポイント選択

大アユのポイントは時期によって異なる。盆明けから9月中旬ごろまでは瀬を中心に流芯でも大アユが狙えるが、9月下旬ともなれば気温が下がりアユは産卵を意識し、荒い流れから深場や緩い流れに着き場を移す。

そしてアユが着くポイントは、案外毎年一緒であることがデータを取っていると分かる。そのため多少の時期のズレはあるものの、釣れる河川とポイントは絞りやすいと思う。重要なのはタイミング。近年は釣り人が多く情報が流れるのが早いためか、釣れた話が出たポイントはすぐに釣れなくなる傾向がある。

状況を先読みしタイミングを合わせて行くか、釣れたポイントに似たポイントを探すのも手だ。元気があればウエットスーツを身にまとい限界ギリギリまで立ち込むか、超長竿ザオを使い手つかずのサラ場を直撃する方法もある。

大アユのタックル

大アユ狙いのタックルについて説明する。

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タックル図(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

サオ選び

サオは大河川なら長ザオが断然有利。長ザオによって生まれるイトフケの余裕がオトリの動きを良くするし、掛けたときにタメが利く。中小河川の放流河川なら、9mの急瀬タイプがあれば十分対応できると思う。

穂先は大アユをオトリに扱うことを考えると、太チューブラーが無難。ただし大河川で野アユの活性が低い場合は、ソリッド穂先も有効になる。

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穂先は太チューブラーが無難(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

天上イト

長ザオの場合のみ感度を上げるためPEラインを使用するが、他はフロロカーボンラインの1号前後が基本になる。なおPEラインを使用する際は、糸絡みなどのトラブルを軽減するためフッ素コートスプレーを吹きかけている。

水中イト

九頭竜川、神通川など大河川では、比重が重いタングステンメタルをメインに使用する。イト自体が沈むので、水量が多い河川に適していると思う。中部の河川では泳がせ主体の釣りになるので、複合メタルをメインに使用する。水中イトの特性を知り、適材適所に使い分ければ効率アップだ。

ツケイト

ツケイトは上下ともになし。PEラインでチチワを作り、水中イトに直接編み込んでいる。大アユが掛かると、案外上ツケイトで飛ぶケースが結構あるので、数年前からこの方法にしている。この方法にしてからトラブルが激減した。

ハナカン周り

大アユ釣りで最もトラブルが多い個所だと思う。ハナカンはフック式で中ハリスはフロロカーボンライン1.2~2号、サカサは泳がせなら普通サイズでいいが、立ち込みや返し抜きをする場合は、大きめの方が扱いやすい。

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ハナカンはフック式(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

ハリ

基本は3本イカリと2本、3本チラシ。3本イカリは追いがいい状況なら太軸を選択、追いが悪ければ泳ぎと刺さり込み重視で、細軸の大バリにする。チラシは基本3本チラシで、オモリを使用した大河川における引き釣りに効力を発揮する。

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ハリの選択も重要なファクター(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

チラシなら掛かってしまえばまずバラシはないし、追い気のないアユも口掛かりで掛かるケースもある。イカリで釣った後でも何匹も拾えるのもメリット。ただし根掛かりのリスクもある、特に渓流相の川で使用すると根掛かりが多い。根掛かりが多い流れでは2本チラシにすれば根掛かりは減る、ただし掛かりは遅くなる。

オモリを使いこなそう

オモリの使い手は良型をそろえる。理由は簡単。オモリを使えば良型が潜む瀬のド芯、荒瀬、深瀬など泳がせでは到底オトリが入らない流れにオトリを送り込むことができるからだ。つまりオモリを使いこなせば大アユに巡り合える確率が格段にアップするのだ。

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オモリの使い方がキモだ(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

大アユ攻略4カ条

大アユと勝負する上で必須事項を紹介。

1.イトは絶対に緩めない

オモリを使う釣りではイトを緩めると根掛かりする確率が上がる。そのため、イトは常に張った状態をキープする。オトリの動きによって、サオの角度は寝かしたり起こしたりを繰り返す。足を使って上流へ上流へ引き上げるのが基本だ。

2.最初からオモリを使う

オトリが弱ってからオモリを付けていたのでは、かえって掛かりが遅くなる。オトリが元気なうちに多くのポイントを探った方が効率が良いし、オモリを付けた状態の方がオトリは長持ちする。

3.必ず手前から攻める

オモリを付けたからといって、いきなり流芯を攻めるとオモリ釣りのリズムが狂う。例えば手前の流れはオモリ0.8号で、少し立ち込んでオモリ1号に替える。流芯は2号で釣るなどし、その川のその流れの押しの強さをしっかり体にナジませることが大事。

川によってポイントによって押しの強さは違う。その違いを知ると根掛かりなどのトラブルは減るし、川底の形状を把握しやすくなる。

4.オモリを過信し過ぎない

オモリの引く釣りのクセが付き過ぎると、釣りが雑になることがある。オモリの引き釣りで掛かりが悪くなったら、素直にオモリを外して泳がせ気味に釣ると、また違うアユが反応し掛かることはよくある。

オモリを付ける位置

オモリを付ける位置は、ポイントによって変えよう。付ける位置は、オトリの大きさ分というのがセオリー。オトリが20cmならオモリを付ける位置はオトリから20~25cm上だが、ポイントによって付ける位置を変えると釣果はアップする。

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オモリの位置はポイントにより調整する (提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

例えば中小河川のサオ抜け狙いで、段々瀬を攻める場合は少し下に付けた方がいい。理由は段々瀬などのサオ抜けになりやすいポイントは、根掛かりしやすい。そんなポイントでオモリの位置が上だと、根掛かりが多発だ。サオは立てザオ気味に、オモリでつり上げるように操作するといい。

また段々瀬では野アユのナワバリ範囲が狭いので、オモリの位置が下の方が動きが制約されて掛かりやすくなる。

大河川では逆にオモリの位置は上になる。理由はその方が野アユに対しアピールできるからだ。オモリからハナカンまで長さがあれば、その分オトリの泳ぎは良くなる。イメージするなら、オモリの下でオトリが自由に動いている感じだ。オモリの位置が通常通りだと動きが制約され、アピール度が低くなる。

大アユとのやり取り

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大アユがかかったら重心を後ろに掛けて耐える(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

大アユ釣りの醍醐味は、掛けてからの取り込みにある。ここぞと思う流れにオトリがナジんだら「絶対に掛かる」、「絶対に取り込む」の気持ちでアタリを待つ。前もって抜くか寄せるか決めておき、掛ったらすぐにはサオを立てず、サオを信頼し弾力をフルに生かし掛かりアユの疾走を止める。

サオをすぐに立てると走られ、掛かりアユがなかなか浮いてこない。立ち込んでいる場合は重心を後ろにかけて耐える。野アユの疾走を十分に止めた後、抜くなら抜き、寄せるなら石裏や手前の流れに誘導し取り込む。掛かった場所が荒瀬ならまず瀬の芯から外し、手前の岸際に押さえ込むように寄せる。

そして大アユ釣りで大事なことがもう1つある。それは適切な休憩時間が必要ということ。大アユ釣りはタックルが強固な分サオは重い。場所によっては立ち込みが結構必要で、デカいほど取り込みに時間がかかり場合によってはついて下り体力を消耗する。数釣りよりも体力と集中力を消耗するので、それに応じた休憩時間を設けないと大事なときに釣りが雑になる。1日2回以上は休憩が必要だと思う。

オトリアユの扱いについて

大アユ狙いでは、養殖アユを多めに準備した方がいい。大アユ狙いはトラブルが多いし、いい天然が釣れないと大アユには出会えない。

また9月以降はメスのオトリが断然有利になる。終盤ともなればオスは黒ずんでくる。メスなら9月いっぱいは変色しない。また産卵を意識してか、メスオトリにオスは好反応を示す。

最後に

どんな釣りでも目標を持つことは大事だ。目標があればそれに向かってポイントを調べ、情報収集をしてタックルを準備する。雑誌や新聞を見て、今年はあそこに行ってみようなど想像を巡らせる。こんな時間が一番楽しかったりする。

目標が達成できれば忘れられない思い出になる。シーズン終盤、忘れられない思い出を作るためにも、準備万全のタックルと気持ちで挑んでほしい。

【東海エリア2019】シーズン終盤『大アユ』攻略法 オモリを使いこなそう
万全の準備で大アユ釣りに挑もう(提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)

<週刊つりニュース中部版 松森渉/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2019年9月6日号に掲載された記事を再編集したものになります。