晩秋のイカダ&カセで狙うカカリ釣りクロダイは、初心者も本命に出会える確率が非常に高くなる数釣りシーズン。今回は、この時期ならではの釣りの組み立て方を解説してみたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 橋本直)
晩秋のカカリ釣りクロダイのエサ
やはり、この時期にメインとなってくるエサはシラサエビやオキアミで、エサ取りが多い場合にはサナギやコーンも必要となってくる。
シラサエビ
シラサエビを使用する場合、どのようなエサも同じだが、ダンゴに混ぜたりアンコにしたり、しっかりマキエをしてステージを作る必要がある。
シラサエビは活発に動き、その動きにクロダイが反応してリアクションバイト的に反応するので、クロダイからの反応があるまでダンゴに混ぜて寄せていこう。
オキアミ
カカリ釣りにおいても定番のエサ。シラサエビのエサで釣りを組み立てていても、ある程度釣れると食い渋る場合がある。そのような場合、目先を変えるのにオキアミを使用して食いが戻った経験も多々あるので、このエサもローテーションに入れていこう。
サナギ
近年、高水温でエサ取りが多く、クロダイの口までエサが届かない場合もある。そのような場合、サナギなどの硬いエサを使用する。
サナギミンチをアンコにしながらダンゴを打ってステージを作る必要もあるが、一粒刺し、ちぎって刺す、かけらを多数刺したりと、いろいろなバリエーションがある。
コーン
サナギと同じ感覚で使用。一粒だけ刺したり、ハリいっぱいに刺したり、サナギやオキアミとミックスにしたり、いろいろな使用方法がある。
アケミ貝
数釣りの場合、丸貝で使用することは少ないが、マキエとして持参しておきたい。そのままでまいたり、つぶしてまくなど、クロダイの足止め用として使用したい。
ボケ
カカリ釣りで冬の定番エサでもあるボケだが、秋は「小ボケ」とも言われている小さなボケが非常に有効な場合もある。ただし、釣具店への入荷がない場合もあるので、持参する場合は事前に予約しておこう。
ダンゴの配合について
カカリ釣りにおいては、かなり重要なアイテムとなるダンゴ。私の場合、年間を通してほぼ同じ配合としているので、参考にしてもらいたい。
私がお勧めしたい配合は、素材工房のイエローステージプレミアム2箱、煎りぬか1袋、ガーリック粉末2袋、オキアミミックス4袋。これが一日分の目安。事前情報でボラやエサ取りが多い場合は、イエローステージプレミアムをさらに1箱追加している。
かなり量が多く感じるかもしれないが、数釣りシーズンは手返し勝負の要素があるので、なるべく数多くの打ち返しが必要となる。
魚が多い時期なので手返しが増え、それに伴いダンゴの使用量も増える。途中でダンゴがなくなってしまい、釣りが成立しないことは避けたいので、多めに持参して余ったら次回の釣行時に使用していこう。
前述が私の定番ブレンドだが、数釣りシーズンでシラサエビのエサがメインの場合は、軟らかいダンゴも有効となる。
その場合の配合は、素材工房のレッドステージプレミアム2箱、煎りぬか1袋、ガーリック粉末2袋、オキアミミックス4袋。水は最初から多めに入れてベタベタのダンゴにしてしまうと、上層にボラやコノシロが多い場合は底まで持たないので、状況に応じて追加していこう。
タックル
カカリ釣りクロダイのタックルについて解説する。
ロッド
1.5m前後のカカリ釣り専用で、あまり張りのあるものより少し軟らかめがいい。理由としては、使用するラインが細くなるので、張りのある硬めのロッドではラインブレイクの可能性が高くなるからだ。引きを吸収してくれるようなロッドをチョイスしよう。
リール
カカリ釣り専用の下向き(片軸タイプ)を使用したい。上向き(両軸タイプ)でもいいが、やはり潮が速いポイントでは、ラインのコントロールが非常に重要となるので、サミングしながらラインを出していくので下向きが有効だろう。
ライン
カカリ釣り専用のフロロカーボンライン製1~1.2号をメインに通しで使用する。数釣りではクロダイのサイズが一回り小さくなるのと、三重県・鳥羽エリアなど潮流が速いポイントでは細いラインが有効となる。五ケ所湾のように潮流が穏やかなポイントでは、1.5号でもいいだろう。
ハリ
クロダイ用の1~2号がメイン。魚のサイズに合わせてチョイスするので、小型のハリが有効となってくる。
釣り方
アタリのとり方や実釣のポイントについて解説する。
アタリ
シラサエビのエサを使用した場合のアタリといえば、カツンと手元にくるような激しい前アタリ。クロダイがエビの頭をかみ、その後に吸い込んでいく。
ボラやコノシロなどのアタリは、ラインに魚体がこすれるスレアタリ。激しく穂先が上下するが、すぐ元の位置へ戻るような軽いアタリだ。
クロダイの本アタリは、前アタリの後に穂先がしっかりおじぎしたまま戻ってこない。このアタリをしっかり見極めていかないと、ボラなどばかりを掛けてしまい、せっかく作ったステージを台無しにしてしまうこともある。慌てずじっくり待ち、しっかりフッキングするイメージでアワセを入れていこう。
一日の釣りの組み立て方
一日の流れだが、まずタックルの準備をする前に、使用するだろうエサをアンコにしたダンゴを数個投入し、ポイントをしっかり作っていく。
つぶしたアケミ貝、シラサエビ、ミンチサナギ、オキアミなどをアンコや混ぜにして5個ほど投入し、その後にタックルの準備をしてから、いよいよ実釣の開始だ。
数釣りの場合、釣り座の周りを探るよりも、私はまずオキアミのダンゴ釣りからスタートして、エサ取りやボラの反応を見て、シラサエビのエサに替えていく。
3ケタ釣りができそうなぐらいクロダイが寄っている場合は、初投から釣れる場合や2~3投目から反応してくることも多い。そのような場合はアンコにするシラサエビの量を減らしていき、食いが落ちたらまくなどメリハリをつけ、オキアミや小ボケをローテーション。目先を変えながら釣りを組み立てていくと食いも持続する。
エサ取りが多い場合はボラを寄せたい。大型魚のボラが寄れば、小型のエサ取りが遠巻きになってクロダイが捕食しやすくなるのと、ボラが乱舞してダンゴの濁りが拡散すると、クロダイの警戒心が薄れて活性が上がるからだ。しっかりダンゴを打ってボラを寄せ、時合いを作っていこう。
クロダイが寄ればこちらのもので、1匹ずつ確実にフッキングしていくことが釣果にもつながっていく。慌てて素バリを引いたり、ボラを掛けてばかりでは、せっかく寄ったクロダイを散らしてしまうので注意しよう。
カカリ釣りを始めよう
いろいろ解説してきたが、年間を通して一番クロダイに出会えるチャンスがある秋。イカダ&カセで狙うカカリ釣りのクロダイをしてみたいと思っている人は、ぜひこの時期に始めてほしい。
クロダイの数も多く、いろいろなアタリを見ることもでき、エサのローテーションの違い、さまざまなシチュエーションがあって、いろいろ試せる絶好のシーズンだ。
朝晩は冷え込む場合もあるが、昼間はまだ暑い日もあって、ウェアの選択が難しい季節でもあるので、余分に羽織る1着を持参して、準備万全で楽しんでほしい。
<週刊つりニュース中部版 橋本直 /TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2019年10月18日号に掲載された記事を再編集したものになります。