水温が15度を下回ってくる頃からが本番入りとなる、和歌山・三尾沖のチヌ(クロダイ)。ここは乗合船から短竿+ダンゴと言う、かかり釣りスタイルで狙うの特徴だ。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
第二福丸でチヌのカカリ釣り
1月19日は、快晴で微風という釣り日和。午前7時前に出船した福丸観光漁業の第二福丸はゆっくりと日ノ岬方向へ。
三尾沖のチヌ釣り場はシーズン当初が三尾沖からスタートして、徐々にポイントを移動して春には関電沖と呼ばれるエリアに移行していく。これは水温変化で動く、チヌの溜まり場を追いかけるためだ。
水温が高めに推移
水温の高い現在は、三尾沖がメイン漁場となる。操船する福田隆治船長は、古くからこの海域でのチヌ釣りをしているベテラン船長で、チヌの動向などは熟知しているが、「まだまだ水温が高くてチヌがポイントに入り切っていない。もう少しで適水温になるんやけどね」と話す。その適水温とは15度を下回ったくらいだそう。

で、当日の水温は15.8度。数週間前には17度近くあった水温が、ようやく15度台まで下がってきて、チヌの食いが立ち始めるのは、今日か、それとも明日か…と言った狭間な状況なのだ。
下り潮が本命
当日のポイントは三尾沖の水深25mライン。ここに船長が連日エサをまきに来て、チヌのポイント作りをしている、いわゆる飼い付け場となっている。船は風や潮の流れを受けてもあまり大きくズレないように、前後の2丁アンカーで固定する。
予定ではスタート時は御坊方面へ流れる上り潮、比較的早い段階で潮止まりを迎えた後、日ノ岬方向へ流れる下り潮になる。
タックルは2種類
この日、大西さんが用意したタックルは2種類。一つはフロロカーボンライン1.7号の通し仕掛け。もう一つはPEライン+水中ウキを使用した独特の構成だ。PEラインを使うのはやはり感度が非常に良い事。ただ潮や風に影響を受けやすいデメリットもあるのだが、高比重PEラインの登場によって、かなり使いやすくなったと言う。

感度のよいPEラインと水中ウキの組み合わせで、底から少し浮かせたタナをフワフワと自然に流すようなイメージで釣る仕掛けとの事だ。

当日のダンゴエサ配合
大西さんが愛用する、このエリアでのダンゴ配合は、マルキユーのニュー赤だんごチヌ1箱、大チヌスペシャルハイパー1袋、細びきさなぎ(徳用)1袋にニュー活さなぎミンチ1袋を混ぜ、これにアミエビ、生オキアミをアンコではなくマゼ(ダンゴの素材に混ぜ込む)で使用する。理由はダンゴそのものに集魚力を持たせたいから…。

アミエビは完全に解凍したものを約1.5kg、同じく解凍した生オキアミは約1kgを手で小さく潰して混ぜ込む事で、ダンゴを水深25mの深場まで割れずに送り込めるように設定する。

当日用意したさしエサ
さしエサは生オキアミメイン。この日用意したのは、まきエサに混ぜ込んだブロックの生オキアミ、くわせオキアミスペシャルチヌ、くわせオキアミ食い込みイエロー(L)と、いずれも生オキアミながら、硬さやカラーを含めて少し変化を持たせる。

釣りにくい潮の流れ
スタートしてダンゴを投入すると、道糸は船の下へ入る。潮が押してくるように流れている。潮止まりまでは我慢の釣りとなるのだが、この時はできれば流し込まずにオモリを打つなどしてやや止め気味に釣る。

ただ、潮の押しは強く後方へ流されるのであまり送り込めば道糸が船底を擦ってしまう。逆に止めてしまうとエサが浮き上がってしまうと言う釣りにくさ。
同船者に良い引き
だが、道糸が潮に引っ張られるの状態に合わせて、ズルズルと送り込んでいた同船の松田さんがいきなりアワせた。クンクンと頭を振るような引きは本命か。上がってきた魚はチヌとは色が違う。40cm級のマダイだった。お土産に持ち帰るゲストとしては嬉しい魚だ。

潮に恵まれず本命アタリなし
しばらくは船の後方への潮が速く、押しも強いのでなかなか釣りにならず。我慢して釣っていると、やや押しが弱ってきた。いよいよ潮がわりか・・・と思っていると、今度は地方(岸側)に向けて潮が流れ出した。つまり、釣り座からすると横へ流れる潮だ。
後方へ流れるよりは流し込むのも楽だが、いかんせん、魚礁は前方にあるためあまり流れとしてはよくないのだ。
大西さんもエサをダンゴ周りにステイさせてみたり、潮の先に送り込んだり、中層を自然に流してみたりと、このポイントでの実績ある釣りをローテーションさせていたが、時折アタリがあるのはフグ、カワハギなどのエサ取りだ。
強烈な引きの正体は?
昼過ぎの納竿が迫った頃、何気なく竿を持ちかえようとした大西さんの竿先に大きめのアタリが出た。大きくアワせると、これがとんでもない引き。一気に竿をひん曲げて、指で押さえているスプールが逆転してラインが飛び出していく。到底チヌとは思えない引きで、そのままラインブレイク。結局、正体は分からないままだった。

ラスト1投ではショウサイフグ
その後、少しエサが取られるようになって、そろそろラストにチヌが来るか・・・と、思っていた矢先、フッと穂先を押さえ込むアタリ。大きくアワせると、それほど重量感はないものの頭を振るような引きに、チヌかマダイか・・・と期待が高まったが上がってきたのはショウサイフグ。残念。と、ここで残念ながら納竿時間となってしまった。
今後の展望
今回は釣果に恵まれなかったが、原因はやはり水温が高めに推移している事と、気圧配置の関係か、潮が釣り時間を通してまったく予定とは違う方向に流れてしまった事だろう。
水温に関してはこの日が15.8度との事で、例年、本番に入るのが1月で15度を切ってからと言う事を考えると、かなり遅れてのシーズンインとなるだろう。

水温の低下とともにチヌがポイントに集まりだし、その後は群れで徐々に移動するのを追いかけていく。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>
▼この釣り船について福丸観光漁業
出船場所:和歌山県日高郡美浜町