プレミア12に出場する韓国代表が、ちょっとしたパニックに陥っている。

 この大会は、来年開催される東京五輪・野球種目の予選を兼ねていることは、野球ファンの方ならご存知と思うが、この予選がじつに複雑な仕組みになっている。

プレミア12が正念場。韓国代表は東京五輪出場に黄信号でパニッ...の画像はこちら >>

東京五輪出場へ負けられない戦いが続く韓国代表

 東京五輪の出場権をかけた戦いは、プレミア12を含めた4つの大会があり、そのいずれかを勝ち抜いたチームに与えられる。その大会は以下の4つになる。

1.アフリカ・ヨーロッパ予選

今年9月18日から22日までイタリアで開催され、今年のヨーロッパ選手権大会の上位5チームと、アフリカ野球選手権大会の優勝チームの計6チーム(イスラエル、オランダ、チェコ、イタリア、スペイン、南アフリカ)で争われた。近年、WBCで好成績を残すなど、躍進著しいオランダが本命視されていたが、イスラエルが優勝して東京五輪の出場権を得た。

2.プレミア12

アジア・オセアニア大陸の上位1チーム(開催国の日本は除く)と、アメリカ大陸の上位1チームが出場権を獲得。

3.アメリカ大陸予選

来年3月にアメリカ・アリゾナで開催され、プレミア12で東京五輪の出場権を逃したアメリカ大陸の6チームと、パンアメリカン競技大会リマ2019の上位2チームの計8チームで争われる。

この大会で優勝したチームに出場権が与えられる。

4.インターコンチネンタル予選

来年3月に台湾で開催され、10月に台湾で行なわれたアジア野球選手権で敗退した上位2チーム(すでに東京五輪に出場決定のチームは除く)、アフリカ・ヨーロッパ選手権の2位チーム(オランダ)、アメリカ大陸予選の2位、3位チーム、オセアニア予選の優勝チームの計6チームが出場。この大会で優勝したチームが東京五輪の出場権を得る。

 複雑なシステムだが、東京五輪での野球の参加は6カ国と少なく、そこから開催国の日本が除かれるので、かなりの狭き門である。単純な選び方をしては強豪国が並ぶだけのため、こうして2度、3度とチャンスを与えることで、各国のモチベーションを上げているのだ。

 その典型が韓国だろう。

じつは、韓国は10月に台湾で開催されたアジア野球選手権でメダルなしの4位に終わってしまった。代表選手が大学生主体だったこともあるが、それでも金メダルを獲得できる、少なくとも決勝に進出できると思っていたのだろう。だが、急成長中の中国に予選ラウンドで敗れ、さらに決勝ラウンドでも6-8と、まさかの連敗を喫してしまった。

 韓国代表にしてみれば、アジア野球選手権でインターコンチネンタル予選の出場権を得てから、プレミア12に臨みたかったはずだ。だが、アジア野球選手権で4位となったため、東京五輪の最終予選にあたるインターコンチネンタル予選の出場権を獲得できなかった。つまり、自力で東京五輪の出場権を獲得するには、プレミア12で好成績を残す(スーパーラウンドに進出したうえで、日本を除くアジア・オセアニア大陸の最上位になる)しかない。

 韓国にとってプレミア12は、まさに生死をかけた戦いになる。金卿文(キム・ギョンムン)監督はペルーで開催されたパンアメリア大会まで足を運び、北中米の選手を熱心にチェックするなど、準備に余念がない。

 ちなみに、もしプレミア12でアジア・アセアニアの韓国、台湾、オーストラリアがスーパーラウンドに進出できなかった場合、11月12日からこの3カ国で東京五輪の出場権をかけた決定戦を台湾で行なうことになっている。

 まだまだ東京五輪出場の可能性は残されているとはいえ、韓国にとって茨の道は続く。