GIフェブラリーS(2月23日/東京・ダート1600m)の重要なステップレースとなるGIII根岸S(東京・ダート1400m)が2月2日に行なわれる。

 本番でも有力視される実力馬が数多く出走してくるなか、過去10年の1番人気の成績は、3勝、2着3回、3着0回、着外4回。

可もなく不可もなくといった感じだが、3連単で10万円超えの高配当が続出していた先の5年に比べると、直近5年はやや固い傾向にある。

 はたして、今年はどちらに転ぶのか。周期的にはそろそろ波乱が起こりそうななか、デイリー馬三郎の吉田順一記者が、まずはレース展開を分析。そこから導き出した”穴馬”の名前を挙げる。

「ポイントとなるのは、馬場ですね。週の前半に雨が降ったので、その影響がどこまで残るのか。
今年は暖冬の影響で、凍結防止剤が使用されておらず、雨が降った場合は締まった砂質の状態が持続しやすく、速い時計の決着になると見ています。

 そこで狙いたいのが、ワイドファラオ(牡4歳)です。昨年の下半期は、GIチャンピオンズC(12月1日/中京・ダート1800m)を目標としたローテーションを組んでいましたが、持ち味であるスピードが生きることなく、GIIIみやこS(11月3日/京都・ダート1800m)が5着、最大目標となるチャンピオンズCも14着に終わってしまいました」

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根岸Sでの巻き返しが期待されるワイドファラオ

 昨年の3歳春には、GIIニュージーランドトロフィー(4月6日/中山・芝1600m)、GIIIユニコーンS(6月16日/東京・ダート1600m)と、芝、ダートの重賞を制した異色のキャリアを持つワイドファラオ。吉田記者が同馬の巻き返しを期待するのは、こんな理由がある。

「ニュージーランドTは、ハイラップを刻んで押し切り、ユニコーンSでも初ダートながら、最初からビュンビュン飛ばして勝利を飾りました。スタートセンスとスピード持続力を生かしてレースを組み立て、後続に脚を使わせて体力勝負に持ち込むのが、この馬の理想形です。



 そういう意味では、緩急が多少必要になってくる1800m戦は、血統的にも、同馬の集中力的にも、少し長かった、ということでしょう。昨秋の、地方交流重賞のオーバルスプリント(9月12日/浦和・ダート1400m)では、前半から飛ばさなかったことが影響してか、2着に屈しましたが、今回はこの先も見据えて、この馬の得意戦法で挑むはず。スタートのうまい福永祐一騎手に手綱が戻ることも、プラスに働くことでしょう。

 また、基本的に今回は、差し・追い込み勢が多く、同型らしき存在はドリームキラリ(牡8歳)くらい。同馬を抑え込んで(ハナに)行ければ理想ですが、2番手でも外からのプレッシャーは少なく、速いラップを刻んで2頭で叩き合う形なら、容易に止まらない算段がつき、強力な差し勢の末脚も封じ込めると見ています。

 先週の調教ではCWで、福永騎手を背にして鋭い伸び脚を披露し、今週は坂路で、余力十分に切れのある走りを見せて、万全の態勢にあります。
年明け初戦、鮮やかな復活劇を飾ってくれるのではないでしょうか」

 同様のタイプとして、2005年のレースで圧勝したメイショウボーラーを思い出す。同馬は続くフェブラリーSも見事に制した。鞍上は、福永騎手だった。

 さて、吉田記者はもう1頭、推奨馬を挙げる。

「先にも触れたドリームキラリです。ワイドファラオとの先手争いがポイントになりますが、行くしか選択肢がないことは、同馬を管理する矢作芳人調教師はもちろん、同厩舎に所属し、今回の鞍上を務める坂井瑠星騎手なら重々承知しているはず。

フェブラリーSうんぬんではなく、年齢的にも初タイトルがほしいところで、思い切ったレースを仕掛けていくことは間違いありません。

 ワイドファラオを壁にして、長い直線を2頭で叩き合う形に持ち込むのが、理想の展開。東京コースは、9戦2勝、2着2回、3着1回、着外4回と相性は悪くないので、一発があっても驚けませんよ」

 一方、日刊スポーツの木南友輔記者は、今回が初ダートとなる、芝GI馬のあの馬に目を向ける。

「気になるのは、やはりモズアスコット(牡6歳)ですよね。人気がどうなるか、わかりませんが……。

 1週前の坂路でも動いていますし、能力が衰えているわけではありません。
同馬を管理する矢作厩舎のスタッフに聞いたところ、精神面での新鮮さを求めての”砂”(挑戦)のようです。

 実は、父フランケルの全弟にノーブルミッションという、GIサンクルー大賞(フランス・芝2400m)、GI英チャンピオンS(イギリス・芝2000m)などを勝っている活躍馬がいます。この馬がアメリカで種牡馬になっていて、初年度産駒のコートオブオナーがすでにGI2勝を挙げて、GIケンタッキーダービー(アメリカ・ダート2000m)でも2着と好走しています。

 とすれば、フランケル産駒も、ダート戦での期待が持てるのでは……。さらに、モズアスコットの場合、母がアメリカのダートで走っていた馬。こちらも、重賞を2勝していますから、期待がますます膨らみます」

 一昨年のGI安田記念(東京・芝1600m)の覇者であるモズアスコット。

その実績は、ここでは最上位となるが、ダート戦での適否はどちらに転ぶのか。人気薄なら、狙ってみるのも悪くない。

 木南記者ももう1頭、コース実績のあるワンダーリーデル(牡7歳)を推す。

「昨年のGIII武蔵野S(1着。11月9日/東京・ダート1600m)は、展開がハマった面もあるのですが、1分34秒6という走破時計には驚かされました。過去、良馬場の東京マイル戦で1分35秒を切ったのは、クロフネが勝った武蔵野S(2001年)か、GI戦のみ。つまり、ワンダーリーデルはそれだけの能力を持っているということ。目標はフェブラリーSですが、得意の東京ゆえ、ここでも変なレースは見せないと思います」

 東京開催の開幕週に行なわれる伝統のダート重賞。穴党記者が吟味した4頭が、久しぶりに高配当をもたらしてくれるかもしれない。