
東京五輪世代
ポジション別スター候補(5)
サイドアタッカー
サイドアタッカーの定義は、ますます難しくなっている。
昔はウィングと簡潔に呼ばれたポジションだろう。タッチラインまでピッチを広く使い、鋭いステップでドリブルを行ない、精度抜群のクロスで得点を演出する。脇役的な立場だった。
しかし、今の仕事はそれにとどまらない。ウィングの名残のある選手、ゴールゲッターに近い選手、プレーメイカーの色合いの濃い選手。そのタイプは多岐にわたっており、境界線もあいまいだ。
来季の所属チームにも注目が集まる久保建英(マジョルカ)
たとえばバルセロナのリオネル・メッシは、左サイドから中盤、そしてトップと変幻自在に動き、ゲームを作りながら、徹底的にダメージも与える。ひとりで何役もこなす。サイドアタッカーというより、「メッシ」というポジションにも捉えられる。
リバプール、マンチェスター・シティ、チェルシー、レアル・マドリード、バルセロナ、ドルトムントなど、チャンピオンズリーグ16強のクラブの多くは3トップを用い、サイドアタッカーが攻撃の担い手になっている。リバプールはサディオ・マネ、モハメド・サラーの2人が得点源。ライプツィヒのティモ・ヴェルナー、バイエルンのセルジュ・ニャブリは、よりストライカー的か。
サイドを拠点にした攻防が勝負を決める。それが時代の流れで、いまやスーパースターが闊歩するポジションと言えるかもしれない。
東京五輪世代で、時代の先駆者になるのは――。
実績で1、2を争うのは、ウスマン・デンベレ(22歳、バルセロナ)、ヴィニシウス・ジュニオール(19歳、レアル・マドリード)の2人だろう。いずれもトップリーグでの試合を重ね、決定的な仕事も見せている。ただし、デンベレはケガでたびたび戦線を離脱し、バルサが移籍金200億円近くを積んだほどの価値は見せられていない。ヴィニシウスはコロナ感染拡大でリーグ戦が中断される前のクラシコではゴールしたものの、決定力に難があると言われる。
むしろ本命は、スペインU-23代表アンス・ファティ(17歳、バルセロナ)、日本代表FW久保建英(18歳、マジョルカ)という10代の2人かもしれない。
2人に共通するのは高いテクニック、プレースピード、そしてゴールに近づいても落ちないプレー精度だろう。バルサの下部組織ラ・マシアでは徹底的に攻撃センスを鍛えられるが、厳しい戦いを触媒に変身を遂げつつある。
久保選手もU23日本代表もA代表の日本代表も中国代表も韓国代表もイラン代表もオーストラリア代表もその他の代表チームも頑張って下さい