ありえない軌道で変化した「幻のナックルボーラー」三浦清弘の魔球

「令和に語る、昭和プロ野球の仕事人」 第9回 三浦清弘・後編 (前編から読む>>)

 平成の世にあっても、どこかセピア色に映っていた「昭和」。元号は令和となり、昭和は遠い過去になろうとしている。個性あふれる「昭和プロ野球人」が残した貴重なインタビュー素材を発掘し、その真髄に迫るシリーズ。

 今も”日本で唯一、本物のナックルボールの使い手だった”といわれる三浦清弘さんから”魔球の出自”が明かされた前編に続き、後編では鶴岡一人監督のもと最強を誇った当時の南海ホークス、そして投手も捕手も制御できないがゆえに”幻”となりがちなナックルボールへの思いが語られていく。

ありえない軌道で変化した「幻のナックルボーラー」三浦清弘の魔球

1966年、南海のリーグ3連覇を祝う(左から)三浦清弘、渡辺泰輔、野村克也、皆川睦男(写真=共同通信)

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 人並み外れて大きい掌(てのひら)を生かし、ボールに爪を立てて投じられる三浦清弘さん(元・南海ほか)のナックルボール。だが、あまりに不規則で大きく変化するためキャッチャーが捕球できず、試合で決め球に使うには難しいところもあったようだ。

「そやね。野村(克也)さん、なっかなか、サインを出さんのです。で、出したら立ち上がるんです。ボールを叩き落とそうってね。そしたら、バッターは全部わかるわけでしょ? でも、わかっても僕のナックルは打てんねん」

 スピードがあって制御不能で、捕手が中腰になって構える──。[フォークボールの元祖]杉下茂さんに聞いた話と似通っている。杉下さんは「本来のフォークボールはナックルの一種」と言い、「キャッチャーが中腰になって、相手にわかっても打たれなかった」とも言っていた。

「うん。だいたいね、ナックルは上に上がるような感じがする。で、フォークは必ず落ちる。だからキャッチャーも捕りやすい。だけど、ナックルはね、フワッファッ、ブワーッと行くような……。一口で言えんわね」


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