6月7日、東京競馬場でGⅠ安田記念(芝1600m)が行なわれる。

安田記念はアーモンドアイ以外で勝負。超GⅠ級マイラーが成長し...の画像はこちら >>

昨年11月のマイルチャンピオンシップを制したインディチャンプ

 11頭のGⅠ馬が登録する超豪華メンバーになった今年の安田記念。
最大の注目は、前走のGⅠヴィクトリアマイル(東京/芝1600m)を4馬身差で圧勝し、GⅠ7勝目を飾ったアーモンドアイ(牝5歳/美浦・国枝栄厩舎)だろう。昨年3着に敗れたリベンジ戦でもあるが、今回は初めて中2週での競馬というのが最大のポイントになる。

 陣営が使ってくるからには不安がないと見ていると思うが、繊細な牝馬のこと。馬自身がリズムの変化に違和感を覚えて力を出せないことも十分に考えられる。今年はまだ1戦しかしていないが、3月末には、現地入りしながらレース6日前に中止が決まったドバイターフで使えずにそのまま戻ってくるなど、この春は順調に過ごしていたわけではない。断然1番人気だったGⅠ有馬記念(中山/芝2500m)で9着に敗れた例もあるだけに、実力ナンバーワンであることは認めつつも、今回はちょっと嫌ってみたい。


 アーモンドアイを嫌いたくなる理由は、ほかにも”超GⅠ級”のマイラーが揃っているということもある。まずはインディチャンプ(牡5歳/栗東・音無秀孝厩舎)。言わずと知れた昨年の勝ち馬で、昨年はGⅠマイルチャンピオンシップ(京都/芝1600m)も勝利して最優秀短距離馬に輝いた。

 今年の初戦になったGⅡマイラーズC(京都/芝1600m)でも直線で楽に抜け出して突き放す圧勝で、幸先がいいスタートを切っている。この馬も4月末の香港GⅠチャンピオンズマイルの遠征を予定していたが、世の情勢から早々に目標を安田記念に切り替えたため、アーモンドアイに比べると臨戦過程も順調だ。

 東京の芝1600m戦では、昨年の安田記念、GⅢ東京新聞杯の2戦2勝。

ここまでのレースぶりから、過去の名マイラーの中に入っても遜色ない力の持ち主と見ており、昨年に続くアーモンドアイの撃破も夢ではない。父ステイゴールドは、自身も7歳時にGⅠ香港ヴァーズ(芝2400m)を勝利するなど成長力に長けていて、産駒もその傾向が強い。5歳を迎えたインディチャンプが、昨年以上に力をつけていることも期待できる。

 また、グランアレグリア(牝4歳/美浦・藤沢和雄厩舎)も相当な能力の持ち主だ。昨年のGⅠ桜花賞(阪神/芝1600m)を、アーモンドアイを上回るレースレコードの1分32秒7で制し、暮れの阪神C(阪神/芝1400m)も5馬身差の圧勝。現役屈指のスピードを持っている。


 前走のGⅠ高松宮記念(中京/芝1200m)は2着に敗れたが、重馬場でスタートダッシュがやや遅れながら直線でものすごい末脚を見せており、まさに「負けて強し」の内容だった。今回と同じ舞台で行なわれた昨年のGⅠNHKマイルCでは、やや気負ったようで力を出せず5着に敗れた。しかし4歳になり、精神的にも成長したようで、今ならよほどのことがない限り力を出し切れるだろう。

 中間に熱発のアクシデントがあったものの、影響は少なそうで、調整期間が長くとれたことはプラスに働きそうだ。最近は差す競馬が多いが、桜花賞では4コーナー先頭から押し切っている。安田記念でもそんな競馬ができれば、インディチャンプもアーモンドアイも捕らえるのは簡単ではない。

グランアレグリアが早めに抜け出すシーンを見たいところだ。

 以上、今年の安田記念は、インディチャンプとグランアレグリアを中心に楽しみたい。